證誠寺に伝わる伝説であり、いつ頃成立したのかは不明。『分福茶釜』(群馬県館林市)や『八百八狸物語』(愛媛県松山市)と並び、日本三大狸伝説の1つとされている。 内容は「秋の夜に和尚と何十匹もの狸が寺の庭で囃子合戦をした挙句、夜が明けたら腹鼓で調子を取っていた大狸が腹を破いて死んでいた」という面白くも悲しい物語である。證誠寺の境内には、この物語の結末で腹を破って死んでしまった大狸の供養のために作られたという狸塚がある。 この伝説を元に詩人の野口雨情が作詞、中山晋平が作曲して、1924年(大正13年)に童謡『証城寺の狸囃子』として発表した。 その昔、證誠寺の辺りは「鈴森」と呼ばれていた。そこは竹やぶが鬱蒼と生い茂り、昼でも薄暗く薄気味悪い場所であったという。また、この辺りには夜になると一つ目小僧やろくろ首などの物怪(妖怪)が現れると噂されていた。 そんな證誠寺に、ある日新しく1人の和尚がやって来