東日本大震災が日本経済に及ぼす影響の全貌はまだわからないが、一つはっきりしていることがある。東北地方で20兆円を越す資産と生産能力が失われ、首都圏では電力不足が向こう数年は続くといわれるなど、深刻な供給不足が起きていることだ。 短期的には、復興需要でGDP(国内総生産)は上がるので、経済成長率はややマイナスになる程度にとどまるだろうという予想が多い。政界には、日銀が国債を大量に引き受けて景気を浮揚させろという意見もある。阪神大震災のあと成長率が上がったことを引き合いに出して「日本株は買いだ」とあおる向きもある。しかし、この話はおかしくないだろうか。もし国土を破壊すればするほど成長率が上がるなら、景気をよくするために政府はもっと国土を破壊したほうがいいということになる。 もちろん、これは間違いである。それをたくみに表現したのが、ラリー・サマーズ(元米財務長官)のCNBCでのコメントだ。彼は「