「働いても、十分な食事がとれない人が増えている」 『ナショナル ジオグラフィック日本版』2014年8月号「米国に広がる新たな飢餓」で、そんな米国におけるワーキングプアの実態がリポートされている。 記事の冒頭に取り上げられたアイオワ州のある家庭。夫妻には住む家があり、職にも就いている。にもかかわらず、食べ物が底を尽くことがしばしばある。そうなると、母親は3歳の息子を朝食抜きで幼稚園に送り出す。その描写が痛々しい。 筆者のトレイシー・マクミランは、こう述べている。 「食料不安を抱える人は、2012年には全米で4800万人に達した。これは1960年代末の5倍に当たり、90年代末と比べても57%増えている」 ここでいう「食料不安」とは、日々の食料を確保できない場合がある状態のこと。米国では、6人に1人が1年に1回は食料不足に陥っているというのである。そして、その割合は欧州諸国では、20人にひとり程