「最貧困女子? あれエロいよな」 とんでもない台詞を聞いてしまった。金曜日、23時の電車。酔客で混雑する車内は雑談が飛び交う。この会話をまともに受け止めたのは私だけのようだった。 『最貧困女子』は高齢者やシングルマザーなど、弱者に光を当ててきたルポライター、鈴木大介氏の代表作。発売から1年が経過した今も、幻冬舎新書ランキング7位という脅威のロングセラー作品だ。※1 働く単身女性の1/3が年収114万円未満。その中でも「最貧困女子」は親から見捨てられ、社会から孤立し、そして風俗でも「週1副業女子」に職を奪われる。残される道は格安風俗か、ハードプレイを売りにするか。生活保護を受けようにも制度を理解する知能すらなく、知的障がい者すら食い物にされている現場へ迫るルポは衝撃を呼んだ。そして「貧困」は書籍のテーマとして一般的に販売部数を稼ぎにくい中、稀有な成功例となった。 だが、よりによって救い出すべ