コロンビアの同じ病院で生まれた2組の一卵性双生児は、病院側のミスによって産後まもなく取り違えられた。「二卵性双生児」として育てられた青年たちは、20年以上の月日を経て片割れと再会することに──。これから全3回にわたってお届けするのは、彼らがどのようにして「もう1人」を見つけ、その後何が起きたのか、を明かす実話である。 2013年夏のある土曜日、コロンビアの首都ボゴタで、ジェネス・パエズはバーベキュー用のポークリブを探し求めていた。彼女は友人のローラ・ベガ・ガルゾンに、ボゴタ北部からさほど遠くないスーパーに寄ろうと提案した。 ジェネスの彼氏の従兄弟ウィリアムは、訛りのきつい優男で、そのスーパーの精肉カウンターで働いていた。牛肉をフィレにしたり、豚足を加工したりするのが上手だった。ジェネスは、ウィリアムが自分たちにリブを割引してくれるだろうと確信していたのである。 後から店に入ったローラがジェ