といっても ”私” の微分積分法ではなく、吉田耕作著『私の微分積分法 解析入門』(ちくま学芸文庫)のことです。この本はもともと1981年に講談社から出版され、久しく品切れ状態であったのが、今年の四月にようやく文庫として再刊されたものです。 微分積分法の本には、だいたい二種類あって、一つは実数の話であるとか論法を厳密に記した由緒正しいもの、そしてもう一つは微分積分法の機動性を重視した本です - 最近はこの二つとは別のタイプとして一般向けと称する触りの部分だけの本も流行っているようですが、これは除いて考えることにします。最初の二つのうちどちらが良いのかは読者のニーズに依りますが、純粋数学を専攻したいのであれば、前者の本で学ぶというのが正道とされています。また執筆者側も数学者に書かせると大概は前者のタイプの本になり、応用家に任せると後者になる傾向があるようです。本書の執筆者はと言えば、日本を代表