研究論文:ジェンダーと精神分析におけるヒステリー Research Paper: Gender and Hysteria Discourse in Psychoanalysis 5 � ジェンダーと精神分析におけるヒステリー � 大木清香 1 はじめに フロイトの精神分析に関する著作が 1900 年を境に次々に刊行されたことにより、これまで は全く未知の領域であった人間の無意識が初めて近代的な方法によって学術的に解明されるよ うになった。フロイト自身が彼の著書『夢判断』に記述しているように、無意識への関心はす でに古代ギリシャから端を発しているが―例えばアリストテレス以前の古代の人々は夢を人間 心理が作り出すものではなく、神のお告げだと考えた 1 ―、患者の症状を分析することによっ て、その無意識を体系的に明るみに出すことに成功したのはフロイトの精神分析からと言え る。 『夢判断』によって