江戸時代の伊賀国で、忍者修行を始める者が、「(忍術を)親兄弟にも他言しない」などと誓った起請文(きしょうもん)が、伊賀市内の旧家で見つかった。確認した三重大・国際忍者研究センター(伊賀市)の高尾善希(よしき)准教授(44)によると、〈忍びの誓い〉が見つかったのは初めてという。 起請文は「敬白天罰霊社起請文前書」(縦33・5センチ、横41・5センチ)と題され、1716年(正徳6年)、津藩の伊賀者(忍者)になった木津伊之助が、同じ伊賀者の長井又兵衛に宛てて書いた。伊之助の子孫で伊賀市大野木の木津俊夫さん(68)が今年2月、センターに持ち込んだ先祖伝来の古文書の中から見つかった。 〈誓い〉は六つあり、主に門外不出と伝わる忍術書「万川集海」を学ぶ決意が中心。「御相伝の忍術、忍器(忍び道具)共にたとえ親子兄弟たりといふとも他見他言仕(つかまつ)るまじく候――」などと、秘密を守ることを約束している。