とうとう言い始めた。トランプ米大統領が日本の為替政策を「通貨切り下げだ」と名指しで批判したのだ。 これに上品に反論するならば次のようになる。トランプ氏が為替介入について批判しているのなら、「最近、日本は介入していない。もっとも、国際ルールでも急激な為替変動があれば介入可能だ」と説明する。また、緩和的な金融政策を批判しているのであれば、「日本の金融緩和はデフレ脱却が目的であり、為替介入を意図していない」と反論することができる。浅川雅嗣財務官も同様の説明をしている。「リーマン・ショック以降、米国も量的緩和を行い、ドル安円高だったではないか」との反論もできる。 もっとも、以前のこのコラムで指摘したように、トランプ氏はかなり賢く計算ずくで発言している。仮に「日本は為替介入していない」と言った場合、「それ以前の介入はひどかっただろう。戦後一貫してやってきたではないか」と再反論されてしまう恐れもある。