「絵描きの目で書いたすごく深い内容になっている」――21日夜に文協ビルの県連会議室で行われた『ブラジル日系美術史』刊行記念会で、宮尾進サンパウロ人文研顧問は、田中慎二さんの著書をそう称賛した。当日は芸術家仲間らを中心に約50人が出席し、初めての本格的な日系美術史の刊行を祝った。 最初に本山省三人文研理事長は「田中さんにしか書けない本」と紹介し、画家仲間の若林和男さんも「今まで耳で聞いてきただけの諸先輩の生き様を、今回の労作は文章にしてくれた。すべての日系芸術家にとって感謝に堪えない」と著作の意義を語った。豊田豊さんが音頭を取って乾杯し、和やかに談笑した。 田中さんは1935年1月に福岡県博多市で生まれ、55年にボリビアのサンファンへ移住、60年に出聖してパウリスタ新聞に入社した。その後、『農業と共同』誌で宮尾編集長の下で10年ほど記者を務め、週刊『コチア新聞』でも各地の単協デポジット(流通