ゼミナール(77) 電気新聞 2014 年 12 月 22 日掲載 競争環境下で原子力事業を成立させるためには何が必要か? 田邉 朋行 2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画で、 原子力は 「重要なベースロード 電源」と位置づけられた。しかし、電力システム改革の下、その担い手である電力会社を取 り巻く事業環境は不確実性を増しており、政策の実現が課題となっている。 【原子力に特有の事業環境整備は不可欠】 原子力は巨額の初期投資を必要とする上に、 廃炉や廃棄物処理等、 収益を生まなくなった 後も、長期間に亘り事業を継続させる必要がある。また、再処理等の核燃料サイクル事業は 各電力が共同で実施する。さらに、事故で損害が発生した場合には、巨額の賠償責任が、事 業者に集中して負わされる。このように、原子力には他電源に見られない特殊性がある。 電力会社はこれまで、 総括原価方式による料金規制