集団的自衛権行使の正当化に向けた憲法解釈の変更の動きについて、安倍首相は我が国をめぐる安全保障環境の険悪化を理由にしている。確かに中国の軍事的存在感は大きくなり、領土をめぐる緊張が高まっていることは事実である。しかし、このような現実を前に、いたずらに緊張を煽るのは無能な政治家のすることである。 三十数年前に日中平和友好条約を結んだ時、そもそも覇権を求めないという原則を強調したのは中国の方であった。今まさに、日中平和友好の原点に戻り、互いに派遣を求めないという理念を確認し、中国との対話の窓口を開くことこそ、指導者の責務である。 軍事的緊張を煽るという点では、日本にも問題がある。石原慎太郎都知事の時代、尖閣諸島を東京都が購入しようとして、募金まで行った。当時の野田首相と石原知事がこの問題で会談した時、石原氏はこれを契機に尖閣で日中の武力衝突が起こっても構わないと発言したと伝えられた。のちに、私