毎場所予想だにしない展開が訪れるから,大相撲はおもしろい。昨年に琴奨菊・豪栄道が優勝したという予兆はあったが,「あの稀勢の里が」という話である。以前から言われていたように,稀勢の里に足りなかったものは精神面の強さであった。とはいえ精神は簡単に鍛えられるものではなく,最後まで何ともならないことさえある。その精神面が整うまで,稀勢の里の場合は約15年かかったということなのだろう。間に合っただけよしと見るべきなのかもしれない。 稀勢の里の横綱昇進問題で世間が割れているが,甘めの条件でもう1場所見るべきというのを基本線として,そこまで忌避感があるわけでもないというのが私見である。「綱取り要件で1場所敢闘すること」が綱取り場所の試練ではあり,突発的に綱取り場所になるのはやはり奇妙である。とはいえ昨年の年間最多勝は考慮されるべきであり,2差ついたとはいえ優勝次点・12勝で3横綱撃破というのも大きかろう