【阿久沢悦子】近畿大学生物理工学部の北山一郎准教授(60)が、息を吸ったり吐いたりすることで、パソコン画面上のカーソル(矢印)を上下左右に動かせる「呼気マウス」を開発した。脊椎(せきつい)損傷や脳梗塞(こうそく)などで四肢が動かなくなった患者の意思疎通が、大きく前進する可能性がある。 北山准教授は3年前から同大の中川秀夫准教授(57)と重度障害者の介助犬ロボットの研究を続けている。その中で、落としたものを拾う、新聞を取ってくる、電気やテレビをつけるなどの入力装置として「呼吸スイッチ」を開発した。 2人は、「この呼吸が2段階、3段階に調節できれば、パソコンのカーソルを動かすのに応用できるのでは」と発想。パソコンに呼気を計測できるセンサーをつなぎ、管をつかって吸ったり吐いたりすることで、一定時間強く吹き続けると左、弱く吹き続けると右、強く吸うと上、弱く吸うと下にとパソコン画面に表示されたキーボ