【下司佳代子、小宮山亮磨】iPS細胞(人工多能性幹細胞)が世界で初めて、人の病気の治療に使われることになった。26日、目の難病・加齢黄斑変性の臨床研究計画に関する国の審査が実質的に終わり、来年にも移植手術が行われる。マウスでの作製発表から7年でiPS細胞は、再生医療応用に向けて大きく動き出した。 研究は2月、理化学研究所(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーらのチームが申請した。審査委は、人工的につくられるiPS細胞が移植後に異常な振る舞いをしないか、安全性について集中的に議論。3回にわたる議論を経て科学的、倫理的に妥当と判断した。7月半ばに開かれる厚生科学審議会の科学技術部会に報告後、厚労相から正式な了承の意見書が通知される。 対象は、重症の加齢黄斑変性の患者。日本人に多い滲出型(しんしゅつがた)と呼ばれるタイプでは、網膜の下にある「色素上皮」という組織に不要な血管などができ、網膜