読みやすい文章を書きましょう、みたいなことで金をもらっていたが、社会を悪くしたかもしれない、と思うときがある。少なくともアメリカでは読みやすい文章=バカの食べ物であり、インテリの食べ物たるためにわざわざ読み下しづらい修辞を用いるのが儀礼で、それを読みこなせるのがインテリの定義だ。
最近noteで読書日記的なものを書いている。 note.mu なぜ突然日記を書き始めたのかといえば、フリースタイル的な文章に憧れがあり、これまで何度も書いてきた(何度もやめた)延長と、noteで書き心地を試してみたかったから、という状況が噛み合ったにすぎない。なのでこの日記もいずれ止まるとは思うがとりあえず今はぬるぬると続いている。で、そもそもなぜ憧れがあるのかといえば、ひとつは森博嗣さんの日記が十年以上好きだからというのがあり、もうひとつは「書評」的なスタイルから離れた形で書いてみたいという願望があるからだ。 すべてがEになる I Say Essay Everyday 作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/12/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る「書評」は一冊ないし複数冊の本について書き、記事なり書評原稿なりには必ずその本の書名が入る。なので、
『The Elements of Style』の全訳 William Strunk, Jr.著、森田尚 訳 I. 序章 この本は、文章構成の練習と文学の研究とを兼ねた英語のコースで使われることを想定している。この本では、平易な英語のスタイルに関する一番大事な必要条件を、手短に示すつもりだ。この本では、いくつかの本質的要素、つまり最も間違えられることが多い語法のルールおよび文章構成の原則とに(第II章と第III章で)注意力を集中することにより、講師と生徒の負荷を軽減することをねらっている。セクションの番号は原稿を修正する際のリファレンスとして役に立つだろう。 この本は英語のスタイルという分野のほんのわずかの部分をカバーするに過ぎない。だが筆者の経験では、いったん本質的な要素をものにしてしまえば、生徒にとって一番効果が高いのは自分が書いた文章の問題点に基づいて個別指導を受けることであり、講
by rawpixel AI(人工知能)を用いた映像変換技術「Deepfake(ディープフェイク)」の文章版とも言うべきテキストジェネレーターを、イーロン・マスク氏らが出資する非営利のAI研究組織であるOpenAIが開発しました。しかし、あまりにも高精度のテキストを簡単に自動生成できるため、開発陣が「あまりにも危険過ぎる」と危惧しています。 New AI fake text generator may be too dangerous to release, say creators | Technology | The Guardian https://www.theguardian.com/technology/2019/feb/14/elon-musk-backed-ai-writes-convincing-news-fiction OpenAIが「GPT2」と呼ばれる新しいテキスト
仁川駅は思いのほか小さかった。この駅の最寄りに中央競馬の主要四場の一つがあるとは思えなかった。競馬場周辺の独特の空気がなかった。 しかし、競馬場はそこにあったのだから仕方がない。到着時にちょうど一レースの直線。仕込んでおいた馬券は負けた。おれはパドックに行く。 特徴的な屋根。 しかし、サラブレッドはどこでも美しい。この馬など、いかにもオルフェーヴルの子供という感じがするではないか。 世界のどの競馬場もつながっている。 馬がいて、騎手がいる。それを見ている数えきれない人生の敗者、そして一握りの勝者がいる。 ミルコ・デムーロがいる。うそだ。この日、ミルコ・デムーロは香港にいた。 パドックから建物をくぐり抜けるとそこにコース。なんとはなしに大井競馬場を思い出す。もっとも、おれが競馬場に出向いたのはいつ以来だろうか? とくに、中央競馬など、それこそオルフェーヴルの東京優駿以来ではないか? そんなこ
何年か前に新人賞をもらって兼業作家になったのだが、向いていなかったと判断したので今夜編集者に筆を折ることを連絡しようと思う。実名のブログに赤裸々に書くとファンが哀しむのでここに書く。 理由は「いい加減睡眠4時間の生活にケリをつけて休みたい」とか「金がない」とか「家族との時間が欲しい」とかもあるのだが、「小説を書くのは好きだけど商業小説を書くのは好きじゃない」ということに尽きる。 俺は自分の世界を文章の形で表現するのが好きで、子供のころからフィクションを書いていた。小説だったり漫画だったり、RPGツクールでゲームを作ったり形態は様々だ。文章はウェブに載せたり友達に見せたりはしていたが、特にそれで食うつもりもなく淡々と書いていた。そんなある日、気まぐれに新人賞にでも送ってみようかと考えて投稿した結果、まさかの大賞受賞。いつの間にか作家になっていた。 その後何冊か書いてきて、売れたものもあれば売
作家 高橋弘希さんの寄稿 朝日新聞には、A賞受賞時にもエッセイを寄稿した。一般の読者は知らぬと思うが、とゆうか私も知らなかったが、A賞を受賞すると各新聞紙へのエッセイ寄稿が慣例である。 しかし「私がA賞を受賞して」というテーマで、何紙にもエッセイを書くので、すぐにネタが尽きる。結果として本紙に寄稿したエッセイは「私がA賞を受賞して」ではなく「私が竜王を諦めた理由」になってしまい、本紙文化部からは完全にひんしゅくを買ったものと思っていた。 しかしそこは懐の広い本紙である。この度、再びエッセイの依頼がきた。一月初旬の掲載なので、干支(えと)について記せ、あるいは亥(いのしし)年なので猪突(ちょとつ)猛進をテーマにしても可、とのことだ。 亥と言えば、私は過去に秩父で猪鍋(ししなべ)を食べたことがある。豚肉とは違い、脂身に軽さがあり、しかしながら淡泊とも言い難い芳醇(ほうじゅん)な味わいがあり、大
Nickはロシアのセントピーターズバーグ出身のソフトウェアデベロッパー/ブロガーです。彼による他の記事はこちらをご参照ください。 UXライティングとは、プロダクトとユーザー間のインタラクションを支援し、プロダクト内のユーザーを導くUIのコピーライティングのことを指します。UIのコピーには、ボタンやメニューラベル、エラーメッセージ、セキュリティの注意喚起、利用規約、その他のプロダクト使用に関する指示などが含まれます。 UXライティングの主な目的は、ユーザーとデジタルプロダクトのコミュニケーションを解決することです。この記事では、効果的なUXライティングに関する実践的なヒントを提供します。 ※編注:当記事はあくまで英語におけるUXライティングについての紹介になります。 なぜUIのテキストをいじることがデザインプロセスにおいて重要なのか 多くの場合、プロダクトの開発者は、UIのテキストをプロダク
9月21日・金曜日の夜、「新潮」編集部から電話がかかってきた。おかしいな、と思った。今月は締め切りがないはずなんだが。イヤな予感がした。おれは、少しの間ためらった後、電話に出た。案の定だ。「新潮45」問題について書いてくれ、というのである。確かに、おれは、その問題についてツイッター上で少しだけ発言をした。それだけだ。面倒くさいし、何のためにもならない。一晩考えさせてくれ、といっておれは電話を切った。でも、おれは引き受けることになるだろう、と思った。「面倒くさくて何のためにもならないことは引き受けろ」は、高橋家の家訓なのである。 書くことを引き受けてすぐ、「新潮45」の休刊が決まった。この問題については、考えなければならないことが多すぎる。休刊の是非、雑誌や出版社、あるいは著者のあるべき姿、休刊の直接的な原因となったであろう小川榮太郎氏の論文の問題点、当該特集号の各投稿それぞれが抱えている異
ウェブ制作や開発の仕事で文章を扱う機会は多いはず。書き手は不自然に思っていない文章でも、読み手は違和感をもっていることがあります。文章校正テクニックを覚えるだけでおかしな表現は少なくなり、読みやすい文章を書けるようになります。 本記事では、ICS MEDIAで実践している文章校正の一例を紹介します。 レベル1、基本的な校正ルールを使う いろんな場面で使える基本的な文章校正テクニックから紹介します。 テクノロジー系の名詞は正しく記載しているか テクノロジー系の名詞を間違って使うと、「本当に技術に詳しいの?」と読者からの信頼度が下がります。名詞は大文字小文字、スペース有無含めて正確に記述しましょう。 Github → GitHub(Hは大文字) Javascript → JavaScript(Sは大文字) After Effect → After Effects(複数形の「s」を忘れてはいけな
UX(ユーザーエクスペリエンス)は、アプリの見た目や挙動だけではなく、言葉の選び方や開示の仕方も含めて考えなければいけない。これが**「UX Writing」**という、比較的新しい分野の考え方です。 先日、丸の内WeWorkで開催されたAll Turtlesのイベントで、プロダクト担当の部長であるジェシカ・コーリアさんによるUXライティングについての講演を聞く機会がありました。 私はデザインやUXの専門家ではありませんが、お話されている内容はとても興味深くて奥深いものがありましたので、私の言葉で可能な範囲で紹介したいと思います。 UXライティングとはなにか? ジェシカは英文学の博士号をもっているとともに、英語講師としての経験をもっており、その経験をプロダクトデザインという分野に適用するべくEvernoteにジョインしてから7年ほどUXライティングに関わってきた専門家です。 彼女によればU
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