ミズドエル大陸の南には、古い時代に作られた街道沿いにいくつもの王国が並んでいる。大陸中央部にはいくつもの高山を持つシュバレード山脈が東西に連なっており、山脈の北は魔族の支配する土地だ。南の王国は、度々シュバレード山脈の峠を越えてくる魔族の脅威に晒されていた。 どうにか魔族の脅威を凌いでいたブリガンディ王国。その王国に代々に渡って優秀な軍人を送り出してきたオリガン家の次男は、いくら訓練を積んでも剣の腕は上がらず、魔法すら使うことも出来ずに成人の日を迎える。 全くの無能というわけでもなく、弓や近頃使われだした銃の腕は誰も驚くほどだ。 だが、貴族の男子であるなら弓より剣が貴ばれる。それが出来ねば魔法で才覚を出すことになるのだ。 16歳を過ぎた春分の日。父親の勧めにより辺境の砦に仕官するため、レオンはオリガン家を後にする。 不思議な縁で従兵を手に入れたレオンが到着した砦で、獣人族で構成される弓兵部