離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応 (MINERVA人文・社会科学叢書) 作者: A.O.ハーシュマン,Albert O. Hirschman,矢野修一出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2005/05/01メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 164回この商品を含むブログ (34件) を見る第1章 序論と学説的背景 人間社会は、生存維持水準を上回る余剰の存在によって特徴付けられ、こうした余剰が存在するからこそ、社会の進歩においてかなりの衰退を甘受してきた。これは、生産性を向上させ、自らを取り巻く環境を支配するようになったことと無縁ではない。ところが、完全競争モデルでは、それぞれ孤立する個別企業は全体的にぎりぎりの状態にあり、その結果、僅かな過ちが破滅にいたる。厳しい緊張経済のイメージが、経済分析において特権的地位を占める。 永続的緊張経済という伝統的モデ