日銀の2%の物価上昇目標が黒田東彦総裁の任期中に達成できない見通しになったことは、強気の目標をぶち上げて人々のデフレ意識払拭(ふっしょく)を目指した「黒田流」の手法が、名実共に壁に突き当たったことを意味する。日銀は1日の金融政策決定会合で追加緩和を見送り、目標達成に向けて短期決戦から持久戦への転換を鮮明にしたが、日銀に対する世間の期待感は大きく後退しているのが実情だ。【坂井隆之、安藤大介】 ◇追加緩和見送り持久戦 「何をもって責任とするかは難しい問題だ」。決定会合後の記者会見で、任期中の目標達成が困難になった責任を問われた黒田総裁は、苦笑いを浮かべ、質問をはぐらかした。 長引くデフレからの脱却の切り札として2013年に登用された黒田総裁は、就任直後の同年4月、日銀が銀行などに流すお金の量を2年で倍増させるなどの「異次元緩和」を断行。2%の物価上昇目標を「2年程度で実現する」と宣言した