日本の心理学研究論文における Mann-WhitneyのU検定の誤用とその対策 富 原 一 哉 Mann-Whitneyの∪検定使用における前提条件 Mann-WhitneyのU検定(以下U検定)は,独立する2標本間の中央値の 差の検定として,最も頻繁に用いられるノンパラメトリック検定の一つであ る。ノンパラメトリック検定であるので,一般に母集団の分布特性に関わり なく検定を用いることが出来ると解されている。しかしながら, U検定は確 かに母集団の分布の型に関しては特定の仮説を持たないものの,他の多くの 順位に基づくノンパラメトリック検定と同様,比較に用いる2つの標本集団 の元となったそれぞれの母集団における散布度の等質性を前提としている (Kasuya, 2001; Siegel & Castellan,1988)。 U検定の帰無仮説は, 「2つの 互いに独立な累積分布関数F(x