松田鉦(まさし)氏は本当に日本の武術を愛している。 いや生活の全てになっている様だ。 小学生の頃から、少年雑誌にのっていた空手の訓練を見よう見まねで、一人で始めている。 たとえ、巻きわらをたたくだけでも、何年もたたいていれば自ずと、ある段階へ行くだろう。 地方であるため、適当な師を得られぬままに14才の時に愛知大学の空手部に、特別に習いに行き、高校の時には、自から、同好会を作り、コーチに来た、愛知学芸大のキャプテンをたおしてしまった。 夜は、名古屋迄空手クラブに通って研究し、その範囲も広がり、神道無想流の棒術、示現流兵法、大東流の合気術、そして中国拳法へと、その安む事のない追求はつづいている。 特に、空手の外に心をとられたのは、示現流の精神で、それは、武道の心の真理を現わしているとして、強く買っているようである。 "一の太刀をうたがわず一の太刀にすべてをかけ二の太刀は負けと思えとそれは教え