早稲田大学 教授 笹原 宏之 漢字は、一体いくつあるのか、誰にもわからないという、珍しい文字です。 体系をなしてはいるものの、これまでに作られた漢字が何文字あって、そのうちの何文字が今も使われているのか、はっきりしていないのです。 新しく作って、使う人がいれば、もうそれは新たな漢字と認めざるをえません。私は、珍しい漢字を見つけると、過去の文献や現在の使用例などを調べています。今日は、そのいくつかを紹介していきましょう。 ふつう「ゴリ」と読みます。よく「鮴押し」と使いますが、このゴリは、川底に暮らす小型の淡水魚です。川底にへばりついているので、休んでいるように見えたところから、魚偏に休むという字を作った人がいたのでしょう。江戸時代から辞書に載りました。とくに石川県の金沢の郷土料理やお土産品で、よく見られる字です。 この魚偏に休むという字は、パソコンやケータイに打ち込むことができるのですが、そ