地球上で生きるにあたって、カニの姿はコスプレ衣装のようなものかもしれません。 3月9日に『Bio Essays』に掲載された論文では、甲殻類のカニ型へのフォームチェンジ(カニ化)が生命進化の過程で計5回、そしてカニ型から非カニ型への変化(脱カニ化)が計7回起きていることが示されました。 さらにそれぞれ全てが独立した進化イベントだったため、地球では「カニのような非カニ」と「カニっぽくないカニ」が各地で出没するようになったのです。 しかし、どうして甲殻類の形態変化はそこまで敷居が低いのでしょうか?
哺乳類は基本的に呼吸をするとき、肺内部の気流の方向が、吸うときと吐くときで入れ替わります。 しかし、鳥類は常に肺内部で気流が一方向に流れ続けています。 この事実は100年近く前に発見されていましたが、鳥の肺には弁やダイオードに相当するシステムはなく、どうやって実現しているか完全に説明できていませんでした。 3月19日に科学雑誌『PHYSICAL REVIEW LETTERS』で発表された新しい研究は、実験とシミュレーションを通じて流体をポンプで送るだけで、流れを制御するスマートな方法を発見したと報告しています。 鳥類の肺は、いかにして一方向の空気の流れを維持し続けているのでしょうか?
食べることで相手の遺伝子を取り込む…。 そんなSFのような現象が動物と植物の間に起きていたようです。 3月25日に『Cell』に掲載された論文によれば、コナジラミと呼ばれる小さな昆虫の遺伝子に、植物の遺伝子が紛れ込んでいることが判明したとのこと。 種の壁を超えた遺伝子の移動は菌類同士などではよく起こり得ますが、植物と動物という根本から大きくかけ離れた種間の遺伝子移動が確認されたのは、コナジラミ以外、あまり知られていません。 コナジラミはいったいどんな遺伝子を植物から盗んだのでしょうか? PLANT DNA FOUND FOR THE FIRST TIME IN ANIMALS, BIZARRE STUDY REVEALS https://www.inverse.com/science/plant-dna-found-in-animal-dna-study Aphid-Like Insect
ワームホール航法の基礎理論が発表されました。 3月9日に『Physical ReviewLetters』および『Physical Review D』に掲載された論文では、既存の物理学の常識を破らずに、ワームホール内部を航行し、銀河のあらゆる場所に1秒未満で到達する方法が提案されています。 ワームホール航法というと、なにやら怪しげな雰囲気を感じますが、論文が掲載され『Physical ReviewLetters』および『Physical Review 』誌は権威ある科学雑誌であり、信ぴょう性は高いでしょう。 つまり、ガチよりのガチな超光速理論というわけです。 有名な科学雑誌の査読に耐えた超光速理論とは、いったいどんなものなのでしょうか?
民間人が滞在できる宇宙ステーションZOZOの前澤氏が、2023年に予定されているスペースXの月周回旅行に参加すると発表したり、民間人でも宇宙旅行できる日が近づいていることは多くの人が実感していることでしょう。 しかし、実際民間の宇宙旅行とはどういったものになるのでしょうか? 窮屈な宇宙船に乗って、ぐるっと地球の回りを飛んで帰ってくるだけなのか。 旅行という以上、宇宙へ行ったらしばらくそこに滞在したいと考えてしまいますが、それはできないのでしょうか? 2018年にゲートウェイ・ファウンデーションが設立したOACは、そんな夢を実現しようとしています。 OACは、熟練のNASAのパイロット、エンジニア、建築家のチームによって、低軌道に「宇宙ホテル」ともなるボイジャーステーションを組み立てる予定を発表しました。 ボイジャーステーションは、NASAのアポロ計画の主要メンバーであったロケット科学者ヴェ
SFが現実になり、人類初の光駆動浮揚システムが開発されました。 2月12日に『Science Advances』に掲載された論文によれば、光を浮力に変換して重力圏内を飛行するディスクが開発されたとのこと。 信じがたい話ですが、論文が掲載された雑誌は権威のある『Science』系列であり、信ぴょう性は確かなようです。 しかし、いったいどんな仕組みで光を浮力に変えているのでしょうか?
感情を強制起動する脳のツボ脳に電気刺激を与えてうつ病を治す技術が大幅な進歩をみせている / Credit:Canva脳は心臓と同じく、電気的な臓器です。 そのため近年、うつ病患者に対して脳に電気刺激を行う手法が着目されています。 ただ既存の電気刺激法は非常に大味であり、脳全体に大電流を流す方法がメインでした。 そこでカリフォルニア大学の研究者たちは、5年もの長期に及ぶ臨床試験の結果を元に「神経マッピング技術」を開発しました。 この神経マッピング技術は脳の各地に差し込んだ電極から、患者一人一人の神経回路の特性を認識し、その患者にとって最適な治療部位(刺激場所)をピンポイントで探し出すように設計されています。 そして今回、マッピング技術の性能を確かめるために、難治性うつ病に苦しむ36歳の女性患者に対して、はじめての試験が行われました。 その結果は、まさに驚きでした。 女性患者は覚えている限り5
宇宙探索機を手掛けるイギリスの企業Spacebitは世界初の月面四足歩行ロボット「ASAGUMO(アサグモ)」を発表しました。 ASAGUMOは10×10cmに収まる小型ロボットであり、地球以外の天体を探索する最初の脚式ロボットになります。 2021年の夏には月面でのテスト調査が行われる予定です。
納豆を作るとき「大豆を蒸す理由」がやっと判明! “生きた大豆は納豆菌を嫌い、納豆菌は死んだ大豆が好き” 納豆を研究することで抗菌物質が開発されるかもしれません。 10月29日に『Scientific Reports』に掲載された論文によれば、生きている大豆はある種の抗菌物質を分泌しており、納豆菌によって納豆になってしまうのを避けているとのこと。 また納豆菌のほうも、生きている大豆(発芽能力あり)よりも死んだ大豆のほうを好み、死んだ大豆に反応する特殊な遺伝子群を備えていることが明らかになりました。 さらに納豆菌は死んだ大豆に接触することで、謎のフォームチェンジも行うのだとか。 普段何気なく食べている納豆には、どんな生命の神秘が潜んでいるのでしょうか? >参照元はこちら(英文)
液体は落下する直前に液滴をしたたらせる液体がこぼれる時は液滴がまず最初に現れる/Credit:depositphotos今回の研究は、誰もがみたことがある原理を元にしています。 液体の入ったガラス容器をひっくり返すと、当然ながら液体は重力に従って下に落ちます。 しかしながら、液体は固体のように全てがまとまって落ちるわけではありません。 よくみると落下する直前に、最下層部分に小さな液滴が形成され、続いて残りの部分の崩落が起こります。 この現象は粘度の高いハチミツを使えば確認することができるでしょう。 ハチミツの入ったボトルをひっくり返すと、やはり最初に真ん中あたりからドロ~と液滴の形成が起こり、その後に全体の崩壊が起こります。 そこで、パリ市立工業物理化学高等専門大学のエマニュエル・フォート氏は、この最初の液滴形成を阻害したら、いったいどうなるのだろうか…と考えました。 というのも、落下の最
お湯は冷たい水よりも先に凍ります。 この直感に反した不思議な現象について、最初に言及したのは2300年前のアリストテレスと言われています。 彼は著書において「お湯を早く冷ますには、まず日なたに置くべきである」と記しています。 しかしアリストテレスは「ウナギは泥から発生する」など現代ではとても科学的とは言えない記述も残しており、「お湯を冷ます前にまず温めろ」との言葉も、賢者の世迷言として長い間、忘れられてきました。 しかし1963年にタンザニアに住む13歳の少年、ムペンバ君は、熱い水のほうが冷たい水よりも早く凍ることを発見し、学校で研究成果を発表しました。 これははじめは学校中の生徒と先生に笑われましたが、物理学者が実際にムペンバ君の主張が正しいことを確認すると流れは一転。 熱いもののほうが冷たいものより早く凍るこの現象は「ムペンバ効果」と名付けられ、様々な研究が行われて来ました。 しかし、
MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームによって、はじめて人間サイズの巨視的な物体に「量子的ゆらぎ」が観察されました。 量子的ゆらぎとは、物体の位置が確率的にしか存在できない状態を意味し、これまでは微視的な世界でのみ確認されてきました。 しかし7月1日に「Nature」に発表された論文によれば、200キロワットのレーザービームを40キログラムの鏡に照射することで、鏡全体を10 -20メートルの幅で量子的ゆらぎ状態にすることができたとのこと。 40キログラムといえば、小柄な女性の体重に匹敵します。 ゆらぎの幅は非常に小さいものの(水素原子の大きさは10 -10メートル程度)人間サイズの巨視的な物体に量子効果が確認されたのは、はじめてとなります。 さらに、検出装置を調整することで、ゆらぎ幅の最小値を不確定性原理によって定められた標準値を突破できました。 不確定性原理とは、物体の位置は量子
一般の人にとって、プログラマーの持つ知識と技術は別世界のもののように感じられます。 海外の研究者にとってもプログラマーの持つ特殊技能は興味の対象であったようで、古くは1980年代から、心理学的手法を使ったプログラマーの「特別な脳」の分析が行われてきました。 そんな中、近年の急速な神経科学の発展により、MRI(核磁気共鳴)やEEG(脳波測定)を用いて脳活動を可視化することが可能になってきました。 しかし、これまでの研究で可視化した脳領域は、読書やゲームといった日常生活時にも使われる汎用的な領域であり、プログラム時にだけ働く特異的な領域ではありませんでした。 そこで今回、ドイツのケムニッツ工科大学の研究者たちは、プログラム時にだけ働く「プログラム脳」の特定に挑戦。結果は、予測とは大きく異なるものとなりました。 なんと、プログラム時に働く脳機能は数学的能力や論理的推察力ではなく、会話時における相
リンゴが半分に欠けているように見えますが、実際に切ったわけでもCGというわけでもありません。 実はこれ、日本の塗料メーカー光陽オリエントが開発した、世界一真っ黒に見えるアクリル塗料「黒色無双」が塗られているんです。 下の動画みたいに回転させると、リンゴが月の満ち欠けをしているように見えます。 完全な黒に近い塗料として「ベンタブラック」が有名ですが、塗装に高熱が必要なことや、人体への安全性が確立されていないなどの問題があり、一般人が手にすることはできませんでした。 しかし、今回発売される「黒色無双」は誰でも使うことができます。 プラモデル塗装などにも使ってみたいですね。 「黒色無双」をガンプラの台座に使用した例。中に浮いているように見えるが、右足を見ると黒く塗られた台座が分かる。 / credit: Youtube Kopro下の画像を見ると、その圧倒的な黒さがよくわかります。 左から 光吸
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