――会長就任から2年が経ちました。官民ファンドには社会的意義と儲けの両方を追求しなければいけない難しさがあります。経営で意識していることは何でしょうか。 個々すべての案件で必ずリターンを得るのは難しい。われわれは全体のポートフォリオの中で、結果的に国民のおカネを失うことのないようマネジメントしている。個別に利益を出そうとすると、民間のベンチャーキャピタルのようにある程度利益が出る見込みがある企業にしか投資できない。創薬ベンチャーなど、国民の役に立つ企業に成長するかもしれないがリスクの高い企業への投資もわれわれは行う。要はバランスだ。ある程度リターンが見込めるプロジェクトもやりつつ、リスクをとっている。 ――その結果、民間ファンドより収益性が低いという指摘もあります。 収益管理は民間とほぼ同じ意識でやっている。ただ、民間と違うのは、社会的意義を考えイグジット(投資回収)する点。「誰でもいいか