同じく2000年に竣工した「馬頭町広重美術館(2000年)」です。ここでは歌川広重の描く雨の粒っぽさを表現したいと思いました。雨を粒っぽく描くという画法は、日本では当たり前ですが、西洋絵画ではとても珍しいことです。広重のほぼ同時代に、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851年)やジョン・コンスタブル(1776〜1837年)といったイギリスの風景画家が風景画というジャンルを確立しますが、彼らの描く雨は、もやっとしている。雨を粒っぽく描くのは、日本的センスと言えるかもしれません。 実は、西洋にも広重の画法に大変な影響を受けた人がいます。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)です。ゴッホは広重の浮世絵の影響を強く受けて、粒っぽく描くことを始めます。正確に言うと、同じく印象派のジョルジュ・スーラ(1859〜1891年)がゴッホより早く、粒子的な点描画法を始めている
サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン 2002」で使ったネットワーク状のストラクチュアを仮設物ではなくて、今度は建築に応用してみようと思いました。表参道にTOD'Sというイタリアのブランドの商業ビルを依頼されたのですが、そこでネットワーク状のストラクチュアを再現しようと思いました。同じく表参道に位置する「ルイ・ヴイトン表参道ビル」(青木淳建築計画事務所)や「ディオール表参道」(妹島和世+西澤立衛/SANAA)に比べると敷地条件が悪く、L字になっていて、道路には二面接するのですが、メインの表参道に面する間口は10メートルはどしかありません。建物の形状もL字になるので、敢えてフアサードの六面全体を同じパターンでつくりたいと思いました。 表参道には、きれいな並木があるので、それをシルエットにしてファサードに展開する計画としました。この建物では「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2002」の
妹島去年の12月に竣工したクリスチャン・ディオールの日本のメインのショップです。表参道にありますので、ご覧になった方も多いと思います。 私たちができることは、ストラクチャー、構造ですね、それとベーシックな設備のシステムと外観がどうなるかということでした。インテリアについてはディオールがインハウスでやるということでしたので、本来は外観とインテリアがきっちりわかれるような提案の方がそれぞれスムーズにデザインできたと思います。しかし、私たちは何とか外装デザインと内装デザインがわかれた状態ではないもの、内部と外部がそれぞれ影響を与え合うようなものをつくれないかと思い、四面ともガラスで、内部が見えてしまうようなものをつくりました。 西澤全体としては、基本的にはワンフロア一室でそれが垂直に積層されていって、ふたつの小さなコアで全体を支える構成になっています。それぞれの階でインテリア空間に差をつけるため
名古屋、銀座に続くルイ・ヴィトンの仕事で、コンペで選ばれました。 敷地は、同潤会アパートの向かい。名古屋や銀座とはずいぶん違う立地条件です。同潤会アパートがあることからもわかる通り、もともとこの地域は住宅地でした。お店がたくさんあって、商業的に成功しているこの地域は、都心に近い、良質な住宅地としてスタートしたのです。そのせいか、参道には並木が育ち、通りを一本中に入ると、まだ戸建て住宅があって、そこには人が住んでいます。 この同潤会アパートは、もうすぐ取り壊されます。僕は、このことで、同潤会が建っているところだけでなく、この街全体に取り返しのつかない打撃を与えてしまうだろうと思っています。表参道が表参道足り得るのは、この同潤会のアパートがあるおかげで、それによってこの街がほかの街とすごく違うことになっているんじゃないかと思うのです。 この表参道には、路面商、つまり歩道にものを並べて売っている
次世代に文化遺産を託し、伝統に由来する技術と創造性を守るというブランド哲学を持つボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)。クリエイティブ・ディレクターのトーマス・マイヤー(Tomas Maier)を筆頭に、消滅の危機に瀕する日本のモダニズム建築への関心を高めるための活動を行って来た。第一弾では、ホテルオークラ東京の本館で撮影した写真にでハッシュタグ「#MyMomentAtOkura」を付けてInstagramに投稿をすることで誰でも参加できるプロジェクトを始動し話題を集めたが、このほど、その第二弾の内容が発表となった。 「日本モダニズム建築の継承と関心を高める活動」の新たなステージとして、6月18日に公式サイトにてホテルオークラ東京を称える特設ページを公開。現在、建築家の森俊子やデザイナーのマーク・ニューソン、現代美術家の杉本博司といったサポーターが、ホテルオークラ東京というモダ
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