私が持ち続けてきた課題意識として、「商業と工業を組み合わせられないか」というテーマがあります。ジンズはアイウエアを自社で開発し、店舗で販売しています。もともとは商業性の強い事業です。古くからの商業では、店員の愛想がよいとか、自分のことをよく知って好みを覚えているとか、サービスがよいといったことが重視されてきました。これは非常に重要なことです。今も昔も、良い商品やサービスを、適正な価格で、利便性よく購入したいというお客様のニーズが常にあります。これに加えてお客様は、気持ちの良い購入体験を得たい、自分が特別でありたい、といった欲求を持っています。これらを実現しながら自社の利益を確保することが企業にとって大切です。 考えてみると、昔は商業を商業として営んでいればよい時代だったかもしれません。しかし、私はずいぶん前から「等しく良質なものを、大量に、迅速に、低コストで提供するにはどうすればよいか」を