印象派時代に活躍した素朴派を代表するフランス人画家。魔術的とも比喩される夢想的で異国的な密林の情景や、都会の風景やその中に配した人物像などを描き、画業の当初は批評家たちの嘲笑の的となっていたものの、晩年には高評価へと一変し、現在では同時代を代表する画家として広く知られている。その詩情的で想像力に溢れた独自の画風は20世紀最大の画家のひとりパブロ・ピカソやイタリア出身の詩人ギヨーム・アポリネール(ポーランド人)らが高く評価していたほか、新印象派の創始者ジョルジュ・スーラや後期印象派を代表する画家ポール・ゴーギャンなど同時代の一部の画家たちからも注目されていた。素朴派の確立は19世紀末、アンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)出品作家に対して、評論家がそう称したことに始まり、西欧の伝統的な美術知識の乏しさゆえの素朴な作風を意味している。1844年フランス南西部ブルターニュ地方の小都市ラヴェ