核物理学:常温核融合は夢にすぎなかったのか 2019年6月6日 Nature 570, 7759 ほぼ30年前、「常温核融合」という見出しが世間をにぎわせたが、その当初から懐疑的な見方は広がっていた。簡単な卓上の装置からの安価でクリーンな核融合エネルギーという夢は出来過ぎており、本当とは思えなかった。そして、その証拠を徹底的に調べれば調べるほど、それが期待に沿うものではないことが明らかになった。その結果、一連の研究は、確証バイアスを受けやすく結局のところ避けた方が良い「病的科学」の一例として、現在はほぼ退けられている。しかし、より安価でクリーンなエネルギー源を求める社会のニーズは消え去ったわけではなく、これに後押しされてC Berlinguetteたちは最近、この常温核融合の物語を見直すことにした。今回彼らは、その広範な取り組みについて報告している。まず、悪い知らせは、2年に及ぶ徹底的な調
