猪瀬直樹さんとはだいぶ長いおつきあいになる。つい最近までは、「日本ペンクラブ」の言論表現委員会で、彼は委員長、私はヒラの委員だった。 小泉政権時代、道路公団民営化で辣腕(らつわん)をふるった手腕を買われてだろう、石原慎太郎都知事から、副知事就任の誘いがあった。猪瀬さん曰く、両方とも“変人”だから、気が合うそうだ。 西口公園の前、天を裂くようにそびえ立つ都庁の中は、驚くほどの広さである。 車寄せの前に、カメラマンたちがたむろしていた。新銀行東京の不良債権問題で頭を抱える、石原都知事を待ちかまえているのだ。 都知事のいる階の下に、猪瀬さんを含めた4人の副知事の部屋がある。思っていたほど広くはない。「俺はラインの副知事じゃないからな。ほかの副知事の部屋はもっと広いよ」と猪瀬さん。 1時間の予定が2時間近くにもなった。終わって、猪瀬さんに見送られ副知事室を後にしながら、やはりあの人は、戦