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この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 今週、私は由緒あるTEDの40周年記念イベント「TED 2024」で講演した。バンクーバーのステージで、ル・ポール、ケシャ、そして2人の宇宙物理学者とともに登壇したのだ。 持ち時間は15分だったが、17分使って47枚のスライドを矢継ぎ早に映し出しながら、私の考える「米国が直面する最大の課題」について語った。それは不平等でも気候変動でも中東での戦争でもなく、これらの脅威を結びつける問題、すなわち、「米国の若者に対する戦争」である。いわば「相互確証破壊」の戦いだ。 ある社会の成功度を測るための適切な指標は、「子供たちがどう扱われているか」である。個々の親た
農業分野で世界のトップに立つオランダのワーゲニンゲン大学は、教育機関としてのみならず、研究機関としての役割も担う。「農業をこのままの体制で続けることは不可能」と主張する同校の学長だが、だからといってすべてを有機農業に移行すればいいわけでもないという。それではどうしたら、持続可能な農業を営むことができるのか。「農業界のスタンフォード大学」の取り組みを、フランス誌が取材した。 「環境や生物多様性を尊重しつつ、世界人口に対応する食糧を確保することは可能です」 すがすがしいほどに楽観的な意見だが、ワーゲニンゲン大学の学長ショーケ・ヘイモヴァーラの言葉なのだから、重みがある。ワーゲニンゲンはアムステルダムから南東に90キロのところにある小さな自治体だ。同大学は、あらゆる世界ランクのトップに君臨する農業界の権威として、この分野のスタンフォードとも謳われる。 オランダ政府の「シンクタンク」とも目され、気
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 金属商社を経営する中国出身のハヤシ・トモさん(45)は昨年、東京に移住した。すぐさま日本名を名乗り、湾岸エリアの高級マンションを約1億円で購入した。3月には家族を呼び寄せ、息子2人は日本の小学校に通い始めた。 ハヤシさんは東京の高級不動産ブームをけん引し、この都市のあり方を変えつつある多くの裕福な中国人の一人だ。 不動産業者や中国人富裕層の国外脱出の動向を注視する人々によると、中国の専制主義的な政治体制への不満──新型コロナウイルス規制による唐突なロックダウン(都市封鎖)の最中に高まり、その後も膨らむ一方だ──が国外流出に拍車をかけている。中国の景気減速と株式市場の不振も中国を出る動機になっているという。 ハヤシさんは東京への移住は大変だ
ロシアとウクライナの戦局は、どちらの側にも立たない中国からはどう読めるのか? 中露関係が専門の北京大学教授・馮玉軍(フェン・ユジュン)が、英誌「エコノミスト」で明快な主張を展開し、国際的に話題になった論考を全訳でお届けする。 ロシアとウクライナの戦争は、両国にとって悲惨なものとなっている。どちらかが圧倒的に有利なわけでもなく、それぞれの政治的な立場も完全に反目しており、この戦いがすぐに終わるとは考えにくい。 だが、明白なことがひとつある。この戦争は、冷戦後の転換点であり、世界的に重大で、永続する影響をもたらすだろうということだ。 4つのおもな要因がこの戦局に作用するだろう。 その第一は、ウクライナ人たちが示した抵抗と挙国一致の度合いであり、これはいままでのところ並外れている。 第二は、ウクライナに対する国際的な支援だ。最近は同国の期待に応えられていないものの、その支援はなお広範なものだ。
トランペット、ピアノ、ターンテーブル、ゲーム機、テレビ、本、画材……これらはすべてアップルの新製品「iPad Pro」のプロモーション動画で破壊されるものだ。 巨大なプレス機であらゆるものを圧縮粉砕して消滅させたところで、「最薄」とうたう新iPadが登場するというわけ。 「クラッシュ!」と題されたこの動画、公開直後から日本で炎上しているが、世界的にも不評を買っているようだ。動画を発表したティム・クックCEOのXの投稿には、批判的なコメントが連なっている。 Meet the new iPad Pro: the thinnest product we’ve ever created, the most advanced display we’ve ever produced, with the incredible power of the M4 chip. Just imagine all
アイジャはそれまでもたくさんのイマジナリーフレンドを作ってきたが、彼女が2歳になる頃に現れた「ニナ」は、他とは明らかに違っていた。 アイジャによるニナの説明はつねに一貫していた。アイジャいわく、ニナは悪い人たちが自分を捕まえにくること、そして食糧が足りなくなることを恐れているという。ときにはアイジャ自身がニナとして話すこともあった。 母親のマリーがフードプロセッサーを使っていたときのことだ。アイジャはその音に怯え、「戦車をここから出して!」と叫んだ。なぜ娘が「戦車」という単語を知っているのか、マリーは不思議に思った。 またあるときには、アイジャはこう言った。「ニナの腕には数字が書かれていて、それがニナを悲しくさせるの」。そしてその数字が書かれていたと思われる場所を指差しながら、「ニナは家族が恋しいの。ニナは家族と引き離されちゃったのよ」と言った。 ホロコーストのことなど何も知らないはずの娘
イスラエルによるガザへの攻撃に抗議するデモを米国中の学生たちが展開した結果、約2000人が拘束される事態にまで発展した。いまではヨーロッパでも同様の抗議活動が広まっている。 イスラエルと緊密な関係を築いてきた米国だが、若い世代はイスラエルに対し、これまでの米国人とは違った感情を抱いているようだ。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が、この問題の背景についてまとめている。 次世代は別の道を選ぶのか 76年前、ユダヤ人によってイスラエルが建国されて以来、同国と米国の関係はほぼずっと緊密であり続けてきた。 イスラエルは米国の資金、武器、外交や防衛を頼りながら存続・繁栄している。米国のこうしたイスラエルを支援する姿勢は、超党派の議会や政治家、多くの有権者から支持されており、最近までは揺るぎないものだった。 ホロコースト生存者の避難所として形成されたイスラエルは、しばしば犠牲者とされてきた。そして国際的に
起死回生のポイントは、「真のニーズ」を離さなかったこと 「90年代から2000年代初期は『米国で人気』となれば何でも売れる時代でした。G-SHOCKは、その絶頂期においても『真のニーズ』から離れなかった。『タフさ』というコアを持ち続けていたことが、低迷からの脱却とその後のブランド育成に繋がったと考えられます」 そう分析するのは、ニッセイ基礎研究所で若者向けマーケティングを専門とする廣瀨涼研究員だ。 1983年の発売以来、これまで4500を超えるモデルが発売された。審美性ありきで設計されたかのような洗練されたモデルでさえ、タフさという根幹から離れたことはないと上間は断言する。
名車「Golf」で栄えた街が一転… 「多くの人々が驚きました」と、フォルクスワーゲンの工場に25年以上も勤務するマイケル・フックスは振り返る。誰もが「いったい何が起こるんだ?」と思っていたと、フックスは語る。 フォルクスワーゲンは、人気モデルの「Golf」の製造を停止し、6種類のEVモデルを製造すべく、工場をリフォームした。工場の出口は高速道路「アウトバーン」に直結している。新工場では1分間に1台の車を製造でき、それを列車で出荷する。 当時、大工場がガソリン自動車からEVに完全移行するのは珍しかったため、ツウィッカウは自動車業界にとって重要な参考事例となった。 ガソリン自動車に比べ、EVのパーツはきわめて少ない。ラジエーターもいらなければ、排気用パイプもいらない。ファンベルトもいらないし、複雑なギアボックスもいらない。その結果、工場の労働者を削減することになり、世界的に失業率が激増するので
Text by Pathom Sangwongwanich, Zheng Li, Nguyen Dieu Tu Uyen, Quynh Nguyen, Lisa Du, David Scanlan, Tao Zhang 風水の専門家によると、バンコクのプラチャラットバンペン通りの中央部はドラゴンの腹に似ている。それは縁起の良い土地であることを意味する。ここに住んだり、事業を営んだりすれば、繁栄する可能性が高いという。 そのため、コロナ禍のさなか、中国人起業家が大挙して押し寄せ、不動産が熱い注目を浴びた。地元の人々にとっては、一階に商業スペースのある自宅を売ったり貸したりする一世一代のチャンスだった。 長年ここに住むチャナフォン・リッタヤマイ(52)は、隣人の家が1500万バーツ(約6200万円)で落札されるのを目にした。チャナフォンは自分の店を買い取りたいという複数の申し入れを断った。「こ
日本には、電気自動車(EV)が普及するための条件が完璧にそろっているという。だがテスラ社のイーロン・マスクも日本市場には苦戦していると認める通り、普及は遅々として進んでいない。その原因はどこにあるのか。同じく普及が停滞する米韓の状況と合わせ、米経済メディア「ブルームバーグ」が分析した。 日本はEV普及の「ラガード」 日本は電気自動車(EV)の先駆者となるための、あらゆる条件を備えている。世界平均を上回る所得、堅調な自動車産業、高い新車購入率、技術を称揚する文化などだ。 しかしながら、2023年の日本におけるEVの新車販売比率(新車販売台数に占める特定の自動車の割合)はわずか1.8%だった。 2024年3月、ブルームバーグの気候変動ニュースメディア「ブルームバーグ・グリーン」は、完全電気自動車(BEV)の普及拡大が見込まれる31の国を調査した結果を発表した。するとそのなかで、普及率が思いのほ
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 中国では大規模な不動産不況を受け、鉄鋼メーカーが大量の売れ残り在庫を抱え込んでいる。各社は現在、それを大幅な割引価格で輸出している──そして、それに反発しているのは米国だけではない。 ジョー・バイデン米大統領は4月17日、米通商当局に対し、中国製鉄鋼の輸入関税引き上げを要請した。米政府は中国の安価な輸出品が米国および世界市場を席巻しているとして、それを締め出す政策を幅広く展開している。 中国の鉄鋼輸出はこの1年で33%増加した。国内の建設活動が枯渇する中、巨大鉄鋼メーカーは輸出を通じて在庫を解消しようとしている。中国の税関データによると、今年2月までの12ヵ月間の鉄鋼輸出量は9500万トンだった。これは米国の2022年通年の鉄鋼総消費量の
かつて腕時計は軍人、資産家、一流ビジネスパーソンたちの腕に巻かれていた。だが、その光景を変えた日本発の腕時計がある。全世界出荷台数1億4000万、年間700億円以上を売り上げるカシオ計算機(以下カシオ)のG-SHOCKだ。 「壊れない腕時計」としてニッチ層をターゲットに誕生したG-SHOCKが、世界の若者のファッションアイコンとなり得たのはなぜか。紆余曲折を経ながら進化を遂げていったグローバルブランドの軌跡と、これからに迫る。 「体験型」イベントで業界関係者の心を動かす 2023年12月、インド最大の都市ムンバイで、カシオが主催するG-SHOCKのPRイベント「SHOCK THE WORLD MUMBAI’23」がおこなわれた。 赤色のライトに照らされた壇上に、EDMを響かせながらG-SHOCK開発者の伊部菊雄が登場し、観客に語り掛けた。 「NEVER, NEVER, NEVER GIVE
ジョー・バイデン米大統領が「日本は外国人嫌いで移民を望んでいない」などと発言したニュースは海外メディアも一斉に報道した。なかには、記事のコメント欄に異例の数の書き込みがあった欧米メディアもあり、この報道に対する読者の関心の高さをうかがわせた。 「中国やロシアと一緒くた」に違和感 米紙「ワシントン・ポスト」は、「バイデン、選挙イベントで同盟国日本を中露のような『外国人嫌い』と呼ぶ」と見出しをとった5月2日付の記事で、問題となっている発言に触れ、「米国の同盟国を中国やロシアといった権威主義的なライバル国と同じグループに入れ、移民不足が『経済がひどく行き詰まっている』理由ではないかと示唆した」と記した。
義足のアーティストとして知られる片山真理がスペインでの作品展示をきっかけに、現地紙の取材に応じている。 記者は、片山に障害があるという点に着目し、いわゆる“感動の物語”をまとめようとしていたようだが、こうした「思い込み」を持って取材に向かうことの危険性を痛感したと正直に記している。片山はいったいどんなコメントをしたのだろう? 現代の巨匠を彷彿とさせる作品 アーティスト、歌手、そして注目の新星でもある片山真理の子供時代については特筆すべきことが二つある。一つは、家庭のなかに裁縫が根付いていたこと。「母も祖母も曾祖母も裁縫をしていました。私はその技術を受け継ぎました。鉛筆を持つよりも先に、針と糸を使っていました」と、片山は説明する。 スペイン・マドリードで展示されている片山の写真は、ふんだんに装飾が施され、パンクのテイストを帯びたブラックジョークが効いている。自身を題材にしたこれらの作品群は米
【今回のお悩み】 「どうしたら自信を取り戻すことができますか?」 自信を失うと怖気付いてしまい、一歩を踏み出すのが難しいことがあります。一度失ってしまった自信を回復するにはどうしたらいいのでしょう。アドラー心理学に詳しい、岸見一郎先生に聞いてみました。 自信があるかと問われて、「ある」と断言できる人は少ないでしょう。もちろん、あらゆることについて自信がないわけではありません。確実にやり遂げられると予想できることであれば、自信があるといえるでしょうが、これまで一度でもうまくいかなかった経験、たとえば、仕事で失敗したとか、好きな人に振られたというような経験をした人であれば、次はうまくいくと自信を持って答えることはできないでしょう。 実際、次はうまくいくと限りません。仕事についていえば、努力すれば必ずよい結果を出せるというものではありません。猛勉強しても、入学試験や入社試験に合格できないことはあ
「わび・さび」はいまや海外でも“Wabi-Sabi”として知られているが、この日本独特の概念を定義するのは日本人でも難しいだろう。ワシントン大学で日本語や日本文学を教えるポール・アトキンス教授が、「わび・さび」が日本国外に広まった経緯と、その美学に外国人が惹かれる理由を解説する。 日本に逆輸入された 先日ニューヨークを訪れた際、マンハッタンにある日本の書店に立ち寄った。日本に関する英語の本が並ぶなか、「わび・さび」専用の棚があり、『わび・さびの恋愛術』『わび・さび道』『芸術家、デザイナー、詩人、哲学者のためのわび・さび講座』などのタイトルが陳列されていた。 いったい「わび・さび」とは何なのか、そしてなぜ「寿司」や「空手」といったジャンルと並び、独自のコーナーが設けられるほどの扱いを受けているのか? 「わび・さび」は、一般的には伝統的な日本の美意識と説明されている。「傷がある」または「未完成
この記事は、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載「新しい“眼”で世界を見よう」の最新回です。 ウクライナがEU(欧州連合)に加盟する可能性があるが、それを認めるべきだろうか。この問いの答えはイエスだ。ただし、それを機に欧州統合の構想を再考するのが条件である。すなわち、EUを法の支配と民主的多元主義のための政治共同体として、再定義する機会とすべきなのだ。 この数十年間、EUを築いていくにあたって支配的だったのは、自由貿易と競争がありとあらゆる問題の解決策となると説く「経済教」という宗教だった。その経済教という宗教から抜け出すときがきている。 ロシアからウクライナを守ることに死活的重要性があるとするなら、それは民主主義の擁護という政治的理由があるからだ。ウクライナは、その隣国のロシアとは異なり、選挙を通じた民主制、政権交代、権
激化する新たな「南北対立」 ──新著『ホロコースツ(Holocaustes)』(未邦訳)とは、ホロコーストの複数形です。ホロコーストという言葉には宗教的な意味合いがあるため、フランスでは抵抗を感じる人もいるかもしれません。 フランスでは、映画監督のクロード・ランズマンの影響もあり、ナチスによるユダヤ人の組織的虐殺を、ヘブライ語の「ショア」と呼ぶようになりました。一方、英語圏では、依然としてホロコーストという用語が一般的に使われています。この言葉を、本書で私は「宗教的な性質を持った殺戮」という本来の意味で用いました。複数形にしたのは、多数の人たちに関わることだったからです。 というのも、10月7日にハマスによって行われた対ユダヤへの襲撃も、イスラエルによるガザでの大惨事も、政治的でも宗教的でもあります。両者は交じり合っており、明確には分けられません。こうした状況を理解せずには事の重大さを正し
激化する米中貿易摩擦 2001年、中国は世界貿易機関(WTO)に加盟した。歓喜に沸いた当時でさえ、米中政府は異なる夢を見ていた。 当時の米国大統領ビル・クリントンは、中国はWTO加盟によって政治改革が推進されると称賛した。一方、当時の中国の指導者・江沢民は、米国の本当の動機は「社会主義諸国を西洋化し、分裂させること」にあると警戒していた。 それから20年以上経ったいま、両国の軋轢は激しく拡大した。2年に一度のWTO閣僚会議では、米中が激しく対立する。
島根県雲南市吉田町はかつて、日本古来の製鉄法「たたら製鉄」によって栄えた地だ。映画『もののけ姫』の舞台のモデルになったといわれ、日本で唯一現存する「菅谷たたら」のあるこの町を、作家・写真家のクレイグ・モドが訪問。伝統的なたたらの技法を体験した。 まるで錬金術 2023年の秋、私は島根県雲南市吉田町にある「たたら炉」の前に立っていた。上部が開いたこの巨大な製鉄炉の中は木炭でいっぱいで、火が勢いよく燃えている。さながらルシファーの寝床といったところだ。 オレンジ色に燃える炉の底には、大きな鉄の塊が横たわっている。これは「鉧(けら)」と呼ばれ、その中には最上質の「玉鋼」と呼ばれる鋼鉄が含まれている。 玉鋼は歴史上、長きにわたって日本刀の材料とされてきた。実際に使用できる玉鋼がここにあるというのは、あえりえない話のように思われる。もし現実なら、それはまさに錬金術の世界だ。というのも、私たちがこの2
フランスでも非常に人気が高い日本のマンガ。その評価は初めから高かったわけではなく、長年かけて徐々に定着していったという。日本のマンガはフランス社会でどう受け止められてきたのかを、仏高級紙「ル・モンド」上での40年以上の報道から読み解いていく。 フランス中が悲しんだ鳥山明の死 とうとう孫悟空が孤児になってしまった……。史上もっとも有名なマンガのひとつで、世界で2億6000万部を売り上げた『ドラゴンボール』の作者、鳥山明が68歳で亡くなった。3月1日のことだったが、遺族がそれを公表したのは1週間後だった。 こうして日本から世界にマンガを広げた主要人物の一人がいなくなってしまった。仏紙「ル・モンド」にウィリアム・オーデュロー記者はこう記した。 「2013年にアングレーム国際漫画祭で特別賞を受賞。2019年にはフランスの芸術文化勲章『シュバリエ』を受章した。地方に暮らすことを好んだマンガ家の鳥山明
必死に働けば、良い生活が待っている。賃金も男性と同等の額をもらえるようになる。そう叩き込まれ、これまで必死に走り続けてきたミレニアル世代の女性たち。だが、現実は良い生活どころか生活費の高騰で日々暮らしていくのもやっと。男女格差はいまだに埋まることがない。 それなら、自分を幸せにしてくれることに時間を費やすべきではないか──こうした考え方が、ミレニアル世代に浸透しつつあるようだ。 ローズ・ガードナー(42)の人生は完璧だった。学生時代の成績はオールAで、名門大学をトップで卒業後に修士号を取得し、出版社に就職。その後は業界で名高い会社を渡り歩いて順調にポストを駆け上がり、ある報道機関に転じる。そしてロンドンの高級マンションを買うまでに至った。しかし彼女自身は、人生の新しいステージに到達するたびに、心からの喜びを感じられなくなっていった。 「こんなことを言うとなんてワガママな、と怒られそうですが
数十年ぶりの株価高騰に円安と、日本経済が激動の時代を迎えるなか、日米関係はどう変わるのか。英経済誌「エコノミスト」は「失われた数十年」から脱却しつつある日本に対し、米国は新たな役割を期待していると指摘する。 「失われた数十年」は解消に向かっている 1982年、戦後の日米関係において最も肝を冷やす事件のひとつがデトロイトで起こった。 自動車工場に勤務していた2人の白人男性が、中国系米国人を日本人だと思い込んで撲殺したのだ。 加害者2人は有罪になったが、3年間の保護観察処分と約3000ドルの罰金の支払いを命じられただけだった。この度を越して寛大な判決は、米国政府の上層部にまで蔓延する時代の雰囲気を反映している。 80年代に日米貿易摩擦が激化すると、経済大国の地位を日本に奪われることを危惧した米国は強硬な対応をとった。貿易規制を敷いて日本の国内市場をこじ開け、円高ドル安を推進した。90年代に日本
一見したところ手が込んでいて、難しそうに見えるのに、実は簡単、失敗なし、おまけに美味しくて片付けもラク。もはや作らない理由はない、ニューヨーク・タイムズ・クッキングの一押しワンパン(ワンポット)レシピをご紹介します。
理論生物学から始め、歴史を自然科学のように研究してきた進化人類学者のピーター・ターチン。その独得で大胆な主張は、世界から注目を集めてきた。ターチンから話を聞いた、英紙「フィナンシャル・タイムズ」のヘンリー・マンス記者が、その主張を鋭く分析する。 危機を予測した進化人類学者 2010年、英誌「ネイチャー」は、各分野の専門家らに自分の分野が10年後にどうなっているか、予測するよう求めた。グーグルのリサーチ・ディレクターは、インターネット検索がタイプ入力ではなく、ほとんど音声入力でなされるようになるだろうと述べた。 そこにはピーター・ターチンのものもあった。もともと生態学者であった彼の予想は、なかでもおそらく最も大胆だった。「次の10年は米国と西欧が不安定化する時期になる」というのだ。特に「2020年ごろに一気に不安定化する」と示していた。 この予想がなされたのは2010年2月のことだ。同年末に
「稼げる」というイメージから、海外へワーキングホリデーに行く日本の若者が急増している。米メディア「ブルームバーグ」が、彼らを海外へ向かわせる日本の現状と最新ワーホリ事情を取材した。 給料は日本にいたときの3倍 オーストラリアの田舎の食肉加工施設に勤めるヨシハラ・トモキ(25)は、朝5時からシフトに入り、週に約50時間働く。彼はここで、日本で自衛隊員だったときの3倍の給料を稼いでいる。 2023年度、オーストラリアが日本人向けに発給したワーキングホリデー(ワーホリ)ビザの数は、過去最多となった。ヨシハラもそうした日本人の一人だ。彼らがオーストラリアに惹かれる理由のひとつは賃金の高さだが、これは円安傾向によっていっそう魅力的なものとなっている。 「給料の面からいえば、こちらのほうがはるかに良いです」とヨシハラは言う。彼は月に手取りで約3300ドル(約52万円)もらっており、シドニーの南にあるゴ
つい最近まで、マッキンゼーをはじめとするコンサル業界は絶好調であるかのように思われた。しかし、ここにきて風向きが変わった。英「エコノミスト」誌は、コンサル業界が今回の成長の落ち込みから復活するのは難しいと予想する。 2024年3月、ある匿名のメモがインターネット上に一時拡散した。メモの著者は複数人で、いずれも「マッキンゼーの元パートナー」と称していた。彼らは輝かしい業績を誇る戦略コンサル会社が近年、「成長ありきの無責任体制」に陥り、とくに経営陣に対しては「戦略的目標が欠如」していると手厳しく非難した。そしてマッキンゼー出身者らしい控え目な書き方ながら、「真に偉大な組織」が存亡の危機に瀕していると警告した。 このメモはすぐに削除されたが、それはマッキンゼー社員の直近の不満にほかならなかった。1月、同社マネージングパートナー(一般企業のCEOに当たる)のボブ・スターンフェルズは、最初の社内投票
警察が見た目や人種を理由に職務質問や捜査の対象を選ぶ「レイシャル・プロファイリング」の問題が、日本でも徐々に認知されはじめている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、日本でこうした理由から頻繁に職質され続ける人々の置かれた現状を取材した。 「別にドレッドヘアが悪いわけではないですけど」 通勤中の人々が東京駅を足早に通り過ぎていくなか、警官が若い黒人男性に丁寧に説明する。「私の経験上ですよ、ドレッドヘア、おしゃれな方って、けっこう薬物を持っている方がいままで多かった」 2021年にアロンゾ・表側(28)が受けたこの職務質問の動画は、日本におけるレイシャル・プロファイリング(人種や肌の色を理由に捜査対象を選別すること)についての議論を引き起こし、警察の内部調査につながった。だが表側にとっては、13歳で初めて職質を受けて以来、ずっと抱え続けている問題の一部にすぎなかった。 「警察はただ自分の仕事を
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