気づけば冷蔵庫はチーズだらけ、けれど最初はただの偶然だった。 本格的に沼に落ちるきっかけは、地元のイタリアンで食べたモッツァレラ。 それまではピザやパスタの具として「何となく旨い」くらいに思っていた。 でも、ある日、皿に乗ったカプレーゼの白いモッツァレラをフォークで切った瞬間、 プニッとした弾力、スッと立ち上るミルクの香り。 口に入れたら、柔らかさと淡い塩気、ほんのりした甘みが混じって、 「これ、牛乳の延長じゃない。別物だ」と脳天を砕かれた。 あの日、トマトとバジルとオリーブオイルとモッツァレラ。 今まではスーパーのプロセスチーズしか知らなかった俺が、その一皿で世界が広がった。 「本物」を知った瞬間だった。 それから家でも試してみたくなり、スーパーで水に浸かって売られているモッツァレラを買った。 最初はちょっと高いな、でもどうしても再現したくて、家でカプレーゼをつくった。 結果は、正直、レ