前から読みたいと思っていた「市場・メディア・著作権」と副題された栗原裕一郎著『<盗作>の文学史』(3800円+税 新曜社刊)を昨日から読んでいたのだが、読了してまず思ったのは「この著者は文学というものをどう考えているのか」ということであった。 というのも、「索引」を含めると492ページという大部の著作で取り上げた「盗作」を問題視された作品を果たしてきちんと読んでいるのか、この本は「盗作」や「盗用」、あるいは「剽窃」の疑いを掛けられた作品に関する「情報」によって書かれたもので、それが本当に「盗作」なのか否か、自分の判断を捨象しているのではないか、と思ったからに他ならない。しかも、その「情報」も不十分で、僕がこれは問題だなと思ったのは、「盗作」疑惑をかけられた現存作家に例え断られルようなことがあったとしても、なぜ「取材」しなかったのか、彼ら・彼女らにも「言い分」があったのではないか、という点で