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blog.goo.ne.jp/oceandou
「抗命」(文春文庫)によると、第十五軍司令部の部付将校、中井悟四郎中尉が司令部で仕事をしていると、牟田口軍司令官が、参謀の藤原少佐の机の所にやってきて、中井中尉ら部付将校のいる前で、いとも弱々しげな口調で次のように言った。 「藤原、これだけ多くの部下を殺し、多くの兵器を失ったことは、司令官としての責任上、私は腹を切ってお詫びしなければ、上御一人や、将兵の霊に相済まんと思っとるが、貴官の腹蔵ない意見を聞きたい」 中井中尉らは仕事の手を休め、この興味深い話に耳を傾けた。軍司令官は本当に責任を感じ、心底からこんなことを言い出したものだろうか。自分の自害を人に相談するものがあるだろうか。言葉の裏に隠された生への執着が、言外にあふれているような疑いが、だれしもの脳裏にピンときた。 藤原参謀はと見ると、仕事の手を一瞬もとめようとはせず、作戦命令の起案の鉛筆を走らせていた。軍司令官には一瞥もくれようとは
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