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大谷翔平
blog.livedoor.jp/book_news
2018年04月28日12:30 カテゴリまとめ記事 宇佐美圭司壁画処分問題と悪い場所『芸術崇拝の思想 政教分離と新しいヨーロッパの神』について 今回ご紹介するのは『芸術崇拝の思想:政教分離とヨーロッパの新しい神』です。5月下旬に新装版が刊行される予定ですが、もともとは2008年に刊行された本です。政教分離という近代の流れのなかで、「芸術」が宗教に代わる新しい崇拝の対象とされていったという議論です。少し前に、美術作品に高値がつく理由を自称「アホの人」が「芸術学の先生」に尋ねに行くという記事がネットで話題になりましたが、そこでまったく触れられていなかった構造です。自分は「アホ」ではないと思う人にはぜひチェックしてもらいたい内容。 さて、ネットで話題になったと言えば、今回の記事のタイトルにも書いていますが、いわゆる「宇佐美圭司壁画処分問題」という事件がありました。ご存じない方はググっていただき
2018年02月17日12:30 カテゴリまとめ記事 無人島に持っていく1冊のことなんか考えないでいい。殺されそうなときに何を思い出すかが問題なんだ。『収容所のプルースト』(チャプスキ著) 今回ご紹介するのは『収容所のプルースト』。先週ご紹介した哲学者の三浦俊彦氏による『涼宮ハルヒの憂鬱』アニメ版におけるいわゆる「エンドレスエイト」事件を扱った論考『エンドレスエイトの驚愕』に関連して、ぜひ本書を紹介したいと思ったのですが、先週はその余裕がありませんでした。 前回を前半、今回を後半として読んでいただけたら幸いです。さて、この『収容所のプルースト』、どんな本かといいますと、第二次世界大戦の端緒とされる1930年代末の独ソ両国によるポーランド侵攻によって捕虜となったある将校が、収容所でおこなったプルーストについての講義を書籍化したものです。こう書くとかなりあっさりとしていますが、まずこの収容所、
2018年02月10日12:30 カテゴリまとめ記事 東大教授(哲学者、58歳)が10年前のエンドレス事件を一生けんめい論じている『エンドレスエイトの驚愕』(三浦俊彦著) 今回ご紹介するのは『エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える』。東大教授にして哲学者(1959年生、御歳58才)の著者が10年近く昔に放映され当時はたいへん話題になったアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の、いわゆる「エンドレスエイト」事件を中心にあつかった一冊です。何十冊と著作がありながら、なんと自ら初めて企画を出版社に持ち込んだという気合の入れようです。しかしアカデミシャンがトチ狂ったという駄本ではありません。 これは涼宮ハルヒ論であり、単なる涼宮ハルヒ論ではなく、エンドレスエイト論であり、しかしまた単なるエンドレスエイト論でもありません。世の中の良い本、面白い本がたいていそうであるように、きわめて変な本です。いわゆ
2017年08月05日12:30 カテゴリ カメラータ試論(作曲家:水谷晨さんからの寄稿) 寄稿をいただいたの掲載します。執筆者は気鋭の現代作曲家、水谷晨さん。 ◆序 本稿の目的は、西洋音楽史の分析を通じて、文化における革命を論じる事である。ルネサンス期、16世紀のイタリアにおいて、ある運動が起こった。「カメラータ」と呼ばれる彼らの革新は、西洋音楽の在り方を今日に至るまで抜本から覆すものであった。ここでは、彼らの行った革新の意義を、作曲技法の二つの側面「ポリフォニー」と「ホモフォニー」の対立から解き明かし、さらには音楽と社会、歴史との関わりへと考察を広げていこうと思う。 ◆ポリフォニーとホモフォニー まず多くの読者にとって耳慣れないであろう「ポリフォニー」と「ホモフォニー」、これらの言葉の意味をみてみよう。ポリフォニーとは、幾つもの旋律が同時に、しかしそれぞれ独立して組み合わされるような音
2017年04月15日12:30 カテゴリ つい床屋談義に花を咲かせてしまう恥ずかしい大人になる前に。『ゲンロン0』』(東浩紀著) 東浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』が刊行されました。副題は「観光客の哲学」。本書は、デビューからの約20年間に刊行されてきた著者の多様な論考を簡潔にまとめつつ、同時にルソー、カント、ヘーゲルといった歴史的な哲学者や、柄谷行人やネグリらのような現代の思想家にも言及しています。 冒頭に挙げた固有名詞に馴染みのない人でも安心して読めるくらい、本書は「読みやすく」書かれています。それぞれの専門家たちには、あまりに性急に議論が進められると思われるかもしれませんが、「そう読むことができるか!」という驚きもあるかも知れません。 本書で著者は、いわゆる現代思想で「他者論」が流行したことを紹介しつつ、それに代わる主体の在り方として「観光客」を提唱します。どこまで論じても捉えるこ
2017年03月04日12:30 カテゴリ 「崇高」に惑わされないための丁寧な考察『崇高の修辞学』(星野太著) 「崇高な」何か、その何ものかの「崇高さ」、それは何なのか。政治や宗教、あるいは文化的な場面で「崇高」という言葉を目にする機会は現代に生きる人々にとって珍しいことではありません。 もちろん普段の家庭生活やビジネスシーンで崇高について語るなんてことはまず無いでしょう。しかし、ちょっと特別な場面になら、すぐに「崇高」という言葉には出会ってしまう。政治家の演説、美術や音楽を評する言葉、フィクションのキャラクターが抱く理想、「崇高なもの」に出会わないようにする方が難しいくらいです。 今回ご紹介する『崇高の修辞学』は、古代ギリシャから20世紀のアメリカにいたる哲学の歴史の中で「崇高」がどのように語られてきたのかを辿る試みです。 冒頭で「崇高なものに出会わない方が難しい」と書きましたが、例えば
2017年01月07日12:30 カテゴリ 現代思想の入門に適した1冊。精神分析も脳科学も胡散臭いと思ってる人に。『新たなる傷つきし者』(C.マラブー著) この記事のタイトルに書いた通り、現代思想の入門にオススメしたい『新たなる傷つきし者』。本書では、現代思想の重要な軸の1つである「精神分析」が批判され、まさに新しい哲学を作り始めようというきっかけに満ちています。入門と断言するには本当はちょっとハードルの高い本ではありますが、意欲的な読者には是非お手に取ってもらいたい1冊。 反感を保留して先達の思想を読み解く余力のない読者にとって、19世紀に書かれたフロイトの著作は難敵です。心理学も神経学も現代からすれば大いに後進的だった当時、仕方のないこととはいえフロイトはさまざまなことを誤ったまま断言していました。本書はフロイトの精神分析について、彼が明らかに無視していた「脳の障碍」を主に論じています
2016年12月24日12:30 カテゴリ 『読んでいない本について堂々と語る方法』(ピエール・バイヤール著)をちゃんと読んで語る そもそも『読んでいない本について堂々と語る方法』など、必要無いはずなのです。なぜ、人は「読んでいない本について堂々と語る」にあたって、よりにもよって「本」で方法を知ろうとしてしまうのか。しかも買ったきりで、どうせ読まずに積んでしまうのに。 哲学者の千葉雅也は、この本を書評して読み落としがある、読んだそばから忘れていく、記憶は変質していく……。最後までページをめくったときのカタルシスは、形骸的なものでしかない。読書体験の実質は、律儀に最後までめくるのでも、ざっと流し読みするのでも、結局は不完全なのである。読書のこうした一般条件を確認することで、我々は積極的に、必要に応じての流し読みでも「読んだ」と言えるし、目次だけで構成を摑むのでも「読んだ」と言えるし、と、多様
2016年11月05日12:30 カテゴリ 考えないで感じるとして、その「感じる」ってどういうことなのかって話。『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』(デイヴィッド・J. リンデン著) 考えるな、感じろ。有名なセリフですし、会社の新人研修でも目にしたり耳にしたり、あるいは自分で口にしたりすることのある表現だと思います。 英語で言えば「Don't think, feel」。ここでいう「感じる feel」という言葉はしかし、科学的にはどのようなものなのでしょうか。 今回とりあげる『触れることの科学』は、既刊の『快感回路』で依存症と脳の関係を読みやすく紹介した著者が書いた、「感触」論。 五感でいえば「触感」。 本書の原題である「touch」は触るということですが、冒頭で挙げた「feel」の名詞形「feeling」は感情という言葉として使われています。本書ではなぜ「視覚」ではなく「
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