先月、とあるワインショップ兼ワインバーで、「最近のワインは高くなったね」といったワイン談義で盛り上がった。 ボルドーのメドック格付け第一級のワインたちは15年前の約三倍の価格。ブルゴーニュワインの値上がりはもっとひどくて、昔は三千円ぐらいだった品が、今では一万円、なんなら二万円になっていたりする。あれもこれも品薄になってしまいましたね、大事に飲むしかないですねと言いながら、慈しむようにグラスを傾ける。 慈しむのはワインだけじゃない。自分の財布もだ。たまたま隣同士になったお客さんと私が飲んでいるのは、ワイン好きなら必ず知っているだろう、ドメーヌ・ルフレーヴの白ワイン。確かに美味いが、値段も高い。 「十年ほど前は、このワインもムチャクチャな飲み方をしていましたね」 白髪のお客さんがそう呟く。 よくわかる話だ。ドメーヌ・ルフレーヴはワイン愛好家の間では有名だったが、それでもエントリークラスなら五