今日は、ビジネス寄りで面白かったノンフィクションをひとつ紹介したい。 ギャリー・スティーヴンソン著、千葉敏生訳『トレーディング・ゲーム 天才トレーダークソったれ人生』である。 トレーディング・ゲーム 天才トレーダーのクソったれ人生 著者はロンドンのシティバンクで活躍したトレーダーで、この本はその自伝的ノンフィクションなのだが、気さくな語り口で読みやすい。 経済やトレーディングに関心の薄い人でも、この本は楽しく読めること請け合いだ。なぜなら、この本は「カクヨム」か「小説家になろう」といったweb小説の世界でランキング上位になっていそうな楽しさとスピード感を伴っているからだ。 ロンドン郊外のスラムから始まるトレーディング成功譚 この本の前半パートについて、あらましを紹介しよう。 主人公にして著者のギャリーはロンドン東部の下町に生まれ、兄のおさがりの服を着てぼろぼろのサッカーボールを蹴って過ごす