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ドラクエ3
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米マイアミに拠点を置くSea Cheetahは、水素を動力源とする地面効果翼機の開発に取り組んでいる。地面効果翼機とは、地面や水面に近い高度を飛行すると揚力が大きくなる、地面効果という性質を利用して低空で飛行する航空機または船舶のことで、Sea Cheetahの地面効果翼機は水面から約3m以下の高度を飛行する。 地面効果翼機はボートなどの船舶より速く、通常の航空機と比べて積載量が大きいのが特徴で、同社は開発中の地面効果翼機について「ボートより10倍速く、積載量は航空機の3倍、燃料効率はボートや航空機の10倍」と強調する。 最高で135ノット(時速約250km)超の速度に達し、燃料補給なしで数百kmを飛行する。また、同社が開発する水素燃料供給システム「H2Hub」により、現地生産した水素を補給することもできる。 同社は地面効果翼機について3タイプ(旅客輸送、貨物輸送、個人利用)を開発中で、「
カナダのウォータールー大学は9月11日、同大学と香港理工大学の共同研究チームが、太陽エネルギーの93%を利用して海水から飲料水を製造する装置を開発したと発表した。 海水淡水化は、世界の人口と水消費量の急速な増加による水不足に対して、多くの沿岸国や島国の淡水利用に不可欠な技術だ。「国連世界水開発報告書2024」によると、世界でおよそ22億人がきれいな飲料水を利用できない状況にあり、淡水を生成する新技術の必要性が高まっている。 従来の海水淡水化技術は、海水を膜に通して塩を分離する方法であり、エネルギー集約的で運転上の問題が生じやすい。特に、装置表面に蓄積する塩に対して頻繁なメンテナンスを必要とし、連続運転を妨げる。 そこで、研究チームは、自然の水循環過程から着想を得て、樹木が根から葉へと水を運ぶ仕組みを模倣した装置を開発した。 同装置は、ニッケルフォーム表面上の多孔質ポリドーパミン層と熱応答ス
カナダのウォータールー大学で数学を専攻するHudZah氏は2024年8月24日、自身の寝室で核融合装置を構築し、プラズマを生成したとX(旧Twitter)に投稿した。ハードウェアの組み立てや回路設計の経験がまったくない中、Anthropicの生成AI「Claude 3.5 Sonnet」と友人たちの支援を得て、たった4週間でこのプロジェクトを成し遂げた。Claude 3.5 Sonnetについては、PDFなどをAIの知識源としてアップロードできる「Projects」機能を活用した。 HudZah氏は、Olivia Li氏の「ニューヨークのアパートの6階に核融合炉を構築する」プロジェクトに影響を受けている。Li氏が目指したのは静電核融合炉で、静電場を使ってイオン(ここでは重水素)を中心点に向かって加速し、そこで衝突させて融合させるというものだ。その組み立てには、高真空、高電圧、重水素ガス源が
ニューサウスウェールズ大学(UNSW)は2024年8月5日、同大学の研究チームが太陽光を利用して廃液中の硝酸を肥料用の硝酸アンモニウムに変換する「人工葉」を開発したと発表した。従来のアンモニアの工業的製法とは異なり、製造過程で温室効果ガスを発生しないため、環境に優しい肥料製造の道を開く可能性がある。 アンモニアは、世界の農業と食糧生産を支える肥料の生産に不可欠だ。しかし、従来の製造方法は水素を必要とし、高温、高圧の条件下で合成されるため、化石燃料を必要とする。 研究チームは温室効果ガスを排出することなくアンモニアを生産する技術の開発に取り組み、人工の葉のように働くソーラーパネルのみを使って、硝酸塩を含む排水からアンモニウムイオンを生成する技術を開発した。この技術は光合成に着想を得ている。従来のシリコンソーラーパネルの表面に導入された銅と水酸化コバルトからなる薄いナノ構造層が、光電気触媒(P
航空宇宙企業の米Rocket Labが2024年8月8日、新型ロケット「Neutron」用エンジン「Archimedes」の初燃焼試験に成功したと発表した。 Neutronは2段式ロケットで、1段目は再利用可能、2段目は最大1万3000kgの積載物を運搬でき、打ち上げのサイクル短縮とコスト削減が可能になる。Archimedesは1基当たり最大推力16万5000ポンド(約734kN)を発揮し、Neutronの1段目に搭載できる9基合計の推力は145万ポンド(約6450kN)に及ぶ。推進剤には液体酸素と液化天然ガスLNGを混合した極低温推進剤が使用され、多くのエンジン部品が3Dプリンターで製作されている。 初燃焼試験でArchimedesは102%の出力に達するなどの試験目標を達成し、2025年半ばに予定されているNeutronの初飛行に先立ってエンジン性能を実証した。スケジュールどおり進めば
ハワイ地域開発局(HCDA)は、2024年7月3日、ホノルルに日本のクリーンエネルギー技術を導入するため、Kanoa Windsと提携して研究実証用の風力タービン1基を稼働し、ハワイ島での実現可能性を調査すると発表した。 ハワイへの導入が予定されているのは、日本で15年以上にわたって交通ハブの近くや産業施設、住宅地に設置され、効果的に使用されてきたトルネード型風力発電機だ。 Kanoa Windsの創設者兼CEOであるKaname Takeya氏は「日本のトルネード型風力発電機には鳥が巣を作ることが知られており、この技術の安全性と鳥類との共存を証明している。日本ワシタカ研究センターは、環境への影響を最小限に抑えながら、安全性と信頼性を備えたこの技術を承認している」と説明した。 こうした安全性に加えて、トルネード型風力発電機の重要な特徴の一つは広い範囲の風速で発電できることだ。従来の水平軸風
アメリカ・ペンシルベニア州立大学は2024年6月26日、同大学の研究者らが高い導電性を持ち、伸縮可能かつ自己組織化する新素材を開発したと発表した。皮膚と接するひずみセンサーや筋電位センサーといったウェアラブルな医療機器を、3Dプリントによって容易に造形することができる。 研究チームによると、伸縮性を備えた導電体の開発は10年程前から進められているが、従来の製造方法で作成した素材は導電性が高くないといった欠点がある。液体金属ベースの導電体を使うことで導電性を高められるが、その場合は造形した素材に導電性を与えるため、二次的な加工を施して活性化する必要があった。具体的には延伸や圧縮、せん断摩擦、焼結、音波による加圧、レーザーでの活性化などが使われるが、いずれも複雑なプロセスであり、加工時に液体金属が漏れ出して電気回路が短絡し、デバイスの故障につながる危険性があった。 研究チームは、液体金属とPE
ニュージーランドの宇宙関連スタートアップ企業であるDawn Aerospaceは2024年7月12日、同社のロケット推進無人航空機「Mk-II Aurora」が、超音速を含む無制限の速度で高度8万フィート(約24km)までの飛行許可を民間航空局より取得したと発表した。これにより制限空域なしで目視外飛行(BVLOS)が可能となる。 Mk-II Auroraは、高度100kmまで1日2回の飛行を想定して設計されている。2021年7月の初飛行以来、ロケットとジェットの両動力で50回の飛行試験を完了した。2023年の飛行では高度約2.7kmで時速約370kmを達成。以来、広範囲のアップグレードを重ねてきた。 同社CEOのStefan Powell氏は、「Mk-IIはフルパフォーマンスでは、現在の記録保持者であるSR-71を含め、滑走路から離陸するこれまでのどの航空機よりも速く、2.5倍高く飛行しま
米ジョージア工科大学を中心とした研究チームは2024年6月3日、物理実験とシミュレーションを組み合わせた研究により、編み物の技術的なノウハウに対しての数学的な裏付けが明らかになったと発表した。糸の操作や編み目のデザインによって、ニット生地の伸縮性や硬さを変えられる編み物に着目したこの研究は、ソフトロボット、ウェアラブル、ハプティクスといった最先端のインタラクティブ技術に応用できる可能性を提示するものだ。 古くから続く手工芸の1つである編み物が、先端製造業用途への転用の可能性から再び注目を集めている。編み物は1次元の織り糸を、柔軟で耐久性がある2次元の生地に変える。何世紀にもわたり、手編み職人たちはさまざまな種類の編み目を使い、異なる種類の編み目を組み合わせることで、衣服の形状や伸縮性を調整してきた。 他の機械的メタマテリアルと同様に、ニット生地の伸縮性(弾性)は、織り糸自体だけに起因するも
名古屋大学は2024年7月9日、同大学大学院工学研究科の研究グループが、電力を使用せずに10kW以上の熱を輸送できるループヒートパイプ技術を開発したと発表した。 近年、これまで活用されていなかった工場排熱や太陽熱などの熱エネルギーを有効活用する技術が注目を集めている。同技術を実用化するにあたっては、排熱源から離れた利用先まで熱を損失なく運ぶ技術が必要となる。 既存の機械式ポンプは電力を必要とし、顕熱輸送で効率が悪く、機械的な機構の寿命も短いといった点が課題となっていた。このため、無電力で半永久的に、高効率で熱を輸送する技術が望まれていた。 同研究グループが今回開発したループヒートパイプは、電力不要の熱輸送デバイスだ。ウィックと呼ばれる多孔質体が液を吸収する「毛管現象」を、ポンプの動力に用いる仕組みとなっている。 ループヒートパイプの性能向上にあたっては、ウィックで運んだ液体を高効率で蒸気に
マサチューセッツ工科大学(MIT)は2024年6月3日、生成AIを用いて多種多様なデータを組み合わせ、多目的ロボットの学習能力を向上させる新技術「Policy Composition(PoCo)」を発表した。この研究は、同年7月15日~19日にオランダのデルフトで行われるRobotics: Science and Systems会議で報告される予定だ。 ロボットにツールの使い方を理解させるには、ツールの使用方法を示す膨大な量のデータが必要だ。しかし、ロボット向けのデータセットには、色や触覚といった幅広いモダリティや、シミュレーションか人間のデモかといったドメインなど、多様なソースがある。このようなたくさんのソースから得たデータを1つの機械学習モデルに効率的に組み込むことは難しい。そのため、1種類のデータのみを使用してロボットをトレーニングした場合に、未知の環境での新しいタスクをしばしば実行
フィンランドのスタートアップ企業Flowは、2024年6月11日、あらゆるCPUの性能を100倍に向上させるという、「Parallel Processing Unit(PPU)」アーキテクチャを発表した。同時に、北欧のVCなどからの総額400万ユーロ(約6億9000万円)の調達も公表した。 PPUは、従来のCPUにおける並列処理の問題を解決するもので、あらゆるCPUアーキテクチャ、命令セット、プロセスジオメトリに統合できる。既存のソフトウェアと下位互換性があるため、PPU用に再コンパイルすることで大幅に高速化される。 従来のマルチコアCPUでは、共有メモリの参照処理に起因する実行速度の低下や、コア間通信ネットワークでの遅延の増大などの問題があった。PPUは、メモリにアクセスしながら他のスレッドを実行することで、メモリ参照の遅延を隠す仕組みを持っている。 PPUコアの数、機能ユニットの種類と
CREDIT: ADAPTED FROM ACS APPLIED MATERIALS & INTERFACES 2024, DOI: 10.1021/ACSAMI.4C02741 中国の華東理工大学(ECUST)の研究チームが、非接触で物体を感知する柔軟なフィルムを開発した。まつげの近接を検出してまばたきを信号に変換する「まばたき検知メガネ」の実証にも成功している。研究成果は2024年5月22日、『ACS Applied Materials & Interfaces』誌に掲載された。 同フィルムには、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)が使われている。FEPは外部静電場を生成するエレクトレット(電石:磁場を形成する磁石のように、電場を形成し続ける物質のこと)で、物体が表面に近づくと固有の静電荷によりセンサーに電流が流れる。研究チームは、2~20mm離れたところにあるガラスやゴム、アルミニウ
ハーバード大学とGoogleの研究チームは、細胞とそのネットワークを鮮明に示す、これまでで最大のヒトの脳の3Dマップ化に成功した。3D化された脳組織は1mm3とわずか米粒半分ほどの大きさに過ぎないが、その中には5万7000個の細胞、230mmの血管、1億5000万個のシナプスが含まれている。すべての画像データを合わせると1400テラバイトになるという偉業だ。研究成果は『Science』誌に2024年5月10日付で公開されている。 脳3Dマップ化された脳組織は、てんかん患者由来のヒト側頭皮質だ。研究チームは約10年前から、ハーバード大学の電子顕微鏡イメージング技術とGoogleの最先端のAIアルゴリズムを組み合わせて、ヒトの脳のきわめて複雑な配線を色分けして再構築するプロジェクトに取り組んでいる。今回の研究成果は、その最新の進展だ。 今回の研究では、最大50個ものシナプスが結ばれる強力な軸索
スタートアップ企業の米Reach Powerは2024年5月23日、無線周波数(RF)を利用したワイヤレス給電(WPT: wireless power transfer)システムを開発し、無人航空機(UAV)に給電するデモの成功を発表した。 このシステムの開発は、米DARPA(国防高等研究計画局)のBAA(広域機関公示)資金提供プロジェクトに基づいて実施された。アメリカ航空宇宙局(NASA)でのデモでは、飛行中のドローンに向けて256Wの電力を照射した。 同システムは、送電側装置からの距離が約6mの範囲で飛行中のドローンに給電できる。デモでは、4台の送電装置がメッシュネットワークを構築して協調することで、ドローンに搭載された受電装置に50Wの電力を供給した。 この給電装置は、Wi-Fiのメッシュネットワークの動作と同じように、カバー範囲内にある機器に途切れることなく給電する。そのため、工場
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学は2024年5月7日、超音波を使って、味を損なうことなくコールドブリュー(低温抽出)コーヒーを3分以内で作る方法を開発したと発表した。この研究についての論文は『Ultrasonics Sonochemistry』に掲載されている。 ホットコーヒーと比べて、滑らかで酸味や苦みが少ないコールドブリューコーヒーを好む人は少なくない。しかし、冷水でゆっくりと風味を抽出するのには12時間から24時間かかるため、飲みたい時に手軽に用意できないのが難点だった。 研究チームは、コールドブリューの抽出プロセスをスピードアップすることを目指し、挽いたコーヒー豆の抽出を早めるために超音波リアクターを使用する手法を開発した。具体的には、既存のBrevilleのエスプレッソマシンに、研究チームが特許を持つ独自の音波伝達システムを搭載。ボルトで固定された変換器を、金属のホーン
長期水力エネルギー貯蔵システムを開発しているイギリスの企業RheEnergiseは2024年4月29日、水の2.5倍の密度を持つ流体を用いた、高密度水力貯蔵システム「HD Hydro」の実証機を建設すると発表した。この種のシステムの実証機建設は世界初のことだという。建設作業は間もなく開始され、9月には試運転が開始される予定だ。 長期エネルギー貯蔵技術のHD Hydroシステムは、低コストでエネルギー効率が高く、環境にも優しいのが特徴だ。水力発電は、高い所に貯めた水を低い所に流すときに生じる位置エネルギーを利用して電気を生み出す仕組みだが、このシステムでは水の代わりに、同社が開発した高密度の流体を使用。密度は水の2.5倍になるという。それにより、スコットランドのハイランド地方やウェールズなど世界各地で稼働している従来の低密度水力発電システムと比較して、2.5倍のエネルギーを供給できる。 今回
インド宇宙研究機関(ISRO:Indian Space Research Organisation)は、2024年5月10日、3Dプリント技術によって製造した液体ロケットエンジンの高温試験を実施し、665秒間の燃焼に成功したと発表した。 試験の対象は、ISROの主力ロケット「PSLV」の第4段で使用される「PS4」エンジンが使用された。酸化剤として四酸化二窒素、燃料としてモノメチルヒドラジンを使用し、真空中で7.33kNの推力を発生する性能をもつ。 従来、このエンジンは機械加工と溶接で製造されてきた。ISROの液体推進システムセンター(LPSC:Liquid Propulsion Systems Centre )は、3Dプリント技術の一種である積層造形に適した設計コンセプト「DfAM(Design for Additive Manufacturing)」によって、PS4ロケットエンジンを再
イギリスのノッティンガム大学化学工学科の研究チームが、金属機械加工産業における廃棄物である切削屑の表面に、プラチナ(Pt)やコバルト(Co)の原子をスパッタリングで堆積させることで、水の電気分解用途の高効率な触媒を作製することに成功した。チタンやニッケル合金の切削屑の表面にある数10nmの溝や段差が、PtやCoのナノ粒子やナノフレークの形成に適しており、実用化されている触媒と比較して10分の1のPt量とCo量で、水の電気分解により効率100%で水素(H2)と酸素(O2)を製造できることを確認した。研究成果が、2024年4月16日にイギリス化学会の『Materials Chemistry A』誌に公開されている。 H2は熱や自動車などの動力を発生するのに使用できるクリーン燃料であり、燃焼によって生じる副産物は水蒸気だけだ。H2製造技術の多くは原料として化石燃料に依存しているが、水と電気からH
科学論文誌のNatureは、2024年4月6日、室温超伝導スキャンダルの渦中にある物理学者のRanga Dias氏についての調査結果を発表した。趣旨として同氏が、データの捏造、改ざん、盗用をしていたことを明らかにした。 今回の調査は、ロチェスター大学が採用した独立した科学者グループが10カ月にわたり実施した。同グループはDias氏に対する16件の不正行為の申し立てを調査し、それぞれのケースにおいて、科学的な不正行為があった可能性が高いと結論づけた。 この調査は、同誌に掲載された2件の論文において、Dias氏が室温超伝導を示すデータをどのように歪曲したか、また、それらのデータを学生たちに知られないかたちで、どのように操作したかという詳細を明らかにした。 Nature誌の論文でDias氏は、最初は炭素と硫黄と水素(CSH)、次にルテチウムと水素(LuH)による化合物で、室温で電気抵抗ゼロの室温
塩分を含む水を新鮮な飲料水に変える、太陽光発電駆動の新しい淡水化システムが開発された。これは従来の手法よりも20%以上安価で、世界中の農村部で導入可能だという。この研究は英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)と米マサチューセッツ工科大学(MIT)らが共同で行ったもので、2024年3月26日付で『Nature Water』に掲載された。 世界の人口のおよそ4分の1は「極めて高い」レベルの水ストレス下にあり、水不足に陥る可能性が非常に高いという。水ストレスとは、淡水需給がひっ迫して日常生活に不便が生じている状態のことだ。 世界の農村人口のうち16億人は水不足に直面しており、その多くが地下水に依存している。しかし、世界の地下水のうち56%は塩分を含んでおり、飲用には適していない。この問題は特にインドで顕著で、国土の60%で塩水が存在するため、飲用に適さない水を抱えている。 しかし、従来の脱塩技
弾性熱量効果(Elastocaloric effect)を利用し、ニッケルチタン(NiTi)合金であるニチノールで作られた「人工筋肉」で冷却する世界初の小型冷却機が開発された。この研究は独ザールラント大学と独メカトロニクス・自動化技術センター(Center for Mechatronics and Automation Technology:ZeMA)によるもので、ドイツのハノーバーで2024年4月22〜26日に開催された国際見本市「Hannover Messe 2024」でプロトタイプが展示された。 弾性熱量効果とは、弾性体の形状が急激に変形する際に発熱や吸熱が起こるというものだ。円筒形のプロトタイプに組み込まれている新技術は、ワイヤーに力を加えて引き伸ばしてから力を取り除き、ワイヤーが元の状態になると、その際に空間から熱が取り除かれるという単純な原理に基づいている。 研究チームは、熱を
米コーネル大学の医学部と工学部の研究者らは、最新の組織工学技術と3Dプリンターを使って、見た目や感触が実物に近い移植用の耳を作製した。 この研究に取り組んでいるのは同大学で形成外科を専門とするJason Spector教授が率いるチーム。今回Spector氏らは耳のレプリカのために、構造を保持しながら細胞の増殖を促す足場となるスキャフォールドを、3Dプリンターを用いてプラスチックで作製した。 以前の研究では、コラーゲンで作られたスキャフォールドに動物由来の軟骨細胞を植え付けていた。この方法だと、初めはうまく成長するのだが、時間が経つにつれてタンパク質の網目構造に引っ張る力が加わり、形成された耳の大きさが半分程度に縮んでしまった。 この課題に対処するために3Dプリンターを導入し、移植対象者の一方の耳からデータを取り、精巧な耳の形のプラスチック製のスキャフォールドを作製した。 コラーゲンででき
ドイツのデザイナー兼職人のKevin Noki氏は、2024年3月18日、自身のYouTubeチャンネルで、Macintosh 128Kの外観を再現したPCを発表した。同氏は、自作PC「Homebrew」とMacintoshの名称を組み合わせて、「Brewintosh」と命名した。 Brewintoshのハードウェアは、プロジェクト始動時に半導体不足に遭遇したことでRaspberry Piが入手できなかったため、代わりに旧型のシンクライアントを使用した。 ソフトウェアは、OSとしてLinuxを搭載し、さらに、1984年から1996年までに販売された初期のMacintoshのソフトウェアを動かすためのエミュレータ、「Mini vMac」を改造して搭載した。 外装は、故障したMacintosh「Plus」の筐体を利用して、パーツを3Dプリントし、研磨してオリジナルと同色で塗装した。ディスプレイ
CREDIT: ADAPTED FROM ACS ENERGY LETTERS 2024, DOI: 10/1021.ACSENERGYLETT.4C00072 中国中南大学の研究チームが、水の波エネルギーを電気に変換する環境発電装置の電極配置を最適化し、発電効率を増大させる方法を見いだした。同研究は波力や海流発電など、海の力である「ブルーエネルギー」を利用する環境発電の基礎になるという。 同研究成果は2024年4月3日、「ACS Energy Letters」誌に掲載された。 波を利用した管状の環境発電装置は「摩擦電気ナノ発電機(TENG)」と呼ばれている。管の中に銅電極を配置した装置で、管と水の界面接触による帯電電荷を電極から取り出して発電する。低周波で高エントロピーの電力源による発電が可能なため、波力や海流発電などのブルーエネルギー発電技術として注目されている。 研究チームは、TEN
フランスのスタートアップ企業であるSpare Parts 3Dが2024年3月19日、部品の2D図面から3Dモデルを自動作成するAIソフトウェア「Théia」を発表した。 通常、3Dプリンティングに必要な3Dモデルを2Dの図面から変換するには時間とコストがかかるが、Théiaは、変換過程を自動化して変換期間を数日から数分に短縮することができる。同社の3Dプリンティングソフトウェア「DigiPART」と組み合わせることで、部品をタイムリーに大量生産できるため、世界中の実物在庫を持つ必要がなくなり、年間340億ドル(約5兆2468億4600万円)のコスト削減が可能だという。 開発にあたり同社と提携したパリ・サクレー大学のNabil Anwer教授は、「Théiaは、AIと既存のコンピュータービジョン技術、図面の意味解析を組み合わせて開発されました」と説明した。同技術により、Théiaは図面上に
アメリカのドレクセル大学の研究チームが、コンクリートに相変化材料「PCM(phase change material)」を導入することによって、温度が氷点下に近づくとコンクリート自体を自発的に暖めて、表面上の雪や氷を溶かすことのできるコンクリートスラブを製作することに成功した。PCMとして凝固温度約5.6℃の液体パラフィンをコンクリートに混合し、液体から固体になる際に発生する凝固熱を利用する。大学キャンパスに設置した実環境試験によって、気温が氷点下になってもコンクリートの表面温度を5.5~12.8℃に最大10時間維持できることを確認した。冬季に寒冷な気候に曝され、除雪や融雪塩散布が欠かせない北西部の歩道やハイウェーに活用できると期待している。研究成果が、2024年3月18日にアメリカ土木学会の『Journal of Materials in Civil Engineering』誌に公開され
英サリー大学とケンブリッジ大学、中国科学院などの共同研究チームが、太陽光を両面から取り込んで発電できる、両面太陽電池パネルを開発した。両面パネルは、コストをかけずに既存片面パネルより効率良く発電可能だ。 同研究成果は2024年3月12日、「Nature Communications」誌に掲載された。 コンクリートや草地などの表面からの反射光が、太陽光の20%以上を占めると従来の研究で報告されている。両面パネルは、周囲の反射光を含んだあらゆる方向からの太陽光エネルギーを取り込んで発電できる。 今回開発された太陽電池パネルはフレキシブルなペロブスカイトでできている。これまでの太陽電池パネルは、前面に透明電極、背面に金属電極を張り合わせた構造を持ち、前面からしか光を取り込めなかった。 研究チームは、ペロブスカイト型太陽電池の基本構造である、電子輸送層/ペロブスカイト層/ホール輸送層の両面に、単層
米テキサス大学オースティン校は2月29日、同大学を中心とする研究チームが、安価で豊富にある材料を使用して、火災の危険性を大幅に減らした新しいナトリウム電池を開発したと発表した。スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車(EV)などに電力を供給するリチウムイオン電池の代替品として期待できる。この研究の詳細は、2024年2月19日付で『Nature Energy』に掲載された。 電池による火災はまれだが、電池の使用量が増えていることから発生件数は増加傾向にある。電池の電解液に含まれる複数の液体溶媒は、時間の経過とともに他の部品と反応して電池を劣化させ、危険につながる。また、リチウムの代替物質として使われるナトリウムは反応性が高く、この種の電池に採用するには大きな課題がある。デンドライト(樹枝状に成長する結晶)が析出成長することで、電池のショートや、場合によっては発火や爆発を引き起こす可能性があ
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