サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
bunshun.jp
「『希望の塾』に集まった人材の中から、都議選の候補者を出すつもりでいます。次の都議選を勝ち抜くこと。今はその一点です」 小池百合子東京都知事(64)が、評論家・立花隆氏(76)との対談で、今夏の都議選で多くの候補者を擁立することを明言した。「東京大改革」を阻む最大の勢力である自民党都連への宣戦布告ともいえる発言だ。 立花氏は、『文藝春秋』2016年11月号の「都庁伏魔殿」と題した巻頭随筆で、小池氏を〈日本の政治を面白くしていく人だろう〉と評していた。そこで文藝春秋編集部が二人の対談を企画し、実現した。 「正直に言うと、都知事に当選されるまで、私は小池さんに注目したことがあまりなかった」と立花氏は語りかけた。しかし、小池氏が『文藝春秋』2008年1月号に寄稿していた論文『小沢一郎と小泉純一郎を斬る』をあらためて読んで評価が一変したという。 「これが実に面白い。私は、小池百合子という人物をかな
gekkan.bunshun.jp
真田丸と千姫 日本再生68 立花 隆 意外な魚 北方謙三 「退位」の近代史 伊藤之雄 捜査のグローバルスタンダード 金髙雅仁 小豆島で獣と暮らす 内澤旬子 SMAP、国民の「BEST FRIEND」 西寺郷太 双葉を見守る 宮下奈都 「きょうの料理」六十年を振り返って 土井善晴 帰国中に考えたことのいくつか 日本人へ164 塩野七生 75年前、日本中が圧倒的な勝利に酔いしれた――。 破局へと向かった原点にこそ、現代への教訓がある 真珠湾「失敗の本質」 開戦から半年間の「勝利期」を見つめ直せ 保阪正康 生前退位考――昭和を知らない世代の天皇観 森 健 愛子さま長期欠席とダイエットの真相 友納尚子 連合会長「民進は共産と握手するな」 神津里季生 「アベノミクス」私は考え直した 内閣官房参与 浜田宏一 元常務が過労死の背景を解き明かす 電通
週休三日制の導入、新幹線や自転車を使っての通勤の解禁、新卒一括採用の廃止と、転職も含めた三十代以下の通年採用――。 一九九六年の創業から二十年が経った二〇一六年、ヤフージャパンでは、社員の働き方を大きく見直そうと動き始めました。特に週休三日制を発表したときは思っていた以上に反響が大きく、改めて世間の関心の高さに驚いています。 こうした改革を打ち出した背景には、会社の競争力を高めるために優秀な人材を集め、彼らに気持ちよく働いてもらって高いパフォーマンスを出し続けて欲しいという私の期待がありました。 ヤフーでは毎年、少なからず退職者が出ます。退職者に行なったインタビュー調査を読むと、給与が低い、ヤフーでは成長できない……など、耳が痛くなるような辛辣な指摘が並んでいて、正直へこみます。簡単に解決できない問題もありますが、よりフレキシブルな働き方が実現できれば、より多くの人材がヤフーに興味を持ち、
ふるや つねひら/1982年北海道生まれ。立命館大学文学部史学科卒業。著書に『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コア新書)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)、『草食系のための対米自立論』(小学館新書)など。 この著者の関連記事 公開館数六十八館と小ぶりながら、口コミが口コミを呼び観客動員十二万人突破(十一月二十一日現在)で配給会社(東京テアトル)の株価がストップ高になるという、空前の盛り上がりを見せているアニメ映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)。様々な論者が憲法や社会問題について寄稿するWEBサイト『マガジン9』掲載の匿名ライター中津十三氏の評が秀逸だったので紹介したい。 戦前・戦中・終戦直後の広島県呉市を舞台に、主人公すずの日常が描かれる本作。これまで、空襲や原爆を描いたアニメや映画、ドラマ等で繰り返し強調されるのは「戦時下の非日常性」と「強烈な反戦・反核メッセージ」の二つ
お飾り社長に「院政」、無責任体制に不正の隠蔽……、わかっちゃいるけど、やめられないのはなぜ? その原因は、家族類型にあった 文鹿島 茂 (仏文学者) プロフィール かしま しげる/1949年神奈川県生まれ。明治大学教授。博覧強記を活かして、文学、歴史、書物を横断する著作活動を続ける。『馬車が買いたい!』(白水社)、『ナポレオン フーシェ タレーラン』(講談社学術文庫)、『大読書日記』(青土社)など著書多数。 この著者の関連記事 一八六七年三月、渋沢栄一は徳川昭武の随行として、まだ工事中だったスエズ運河を通過し、マルセーユへと向かったが、このとき渋沢を心底驚かせたのが、スエズ開削のような巨大なプロジェクトが国家によるのでなく、フェルディナン・ド・レセップスが創ったスエズ運河株式会社によって担われている事実だった。 このとき以来、渋沢は株式会社というものの巨大な潜在可能性に思いを馳(は)せ、こ
吸ってー、吐いてー。今年四月にニューヨークに移住してからというもの、本場のパワーヨガをするのが私の日課だ。クラスでは深呼吸に合わせて体を伸ばしていく。身体中がほぐれ、気分よく更衣室に戻ると、このところヨガ仲間と話題になるのは大統領選についてばかりだ。「トランプが大統領になったらどうする?」「私は国外にでるわ」「カナダがいいわね。トルドー首相素敵」。汗を拭きながら、せっかくクラスで体得した深い呼吸が一気に浅くなるのを感じる。眉間に皺がよる。ニューヨークという土地柄か、ヨガを習う人たちならではの特性か、民主党支持者が多い。「じゃあヒラリーに頑張ってもらわないとね」と私がいうと「ヒラリーか。彼女もどうもねぇ」「ヒラリーも嫌いだけど、しょうがないかー」と、今度はクラスでも見せなかったくらい深く長い溜息をつくのだった。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス」の世論調査の平均(八月二十八日から
時は大航海時代、日中欧が入り乱れる中国の巨大市場。それを支えたのは、世界の三分の一を占める日本の銀だった 文岡本 隆司 (京都府立大学准教授) プロフィール おかもと たかし/1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学、宮崎大学助教授を経て現職。著書に『日中関係史』(PHP新書)、『近代中国史』(ちくま新書)など。 この著者の関連記事 日本の戦国時代というと、どんなイメージを抱くだろうか。教科書的な説明なら、一五世紀の末、北条早雲の崛起(くっき)からはじまり、一七世紀の初め、徳川家康の統一におわる国盗り、群雄割拠の天下争覇というところ。その間およそ百年あまり、戦乱やまぬ不幸な時代という印象をもつかもしれない。 確かに一理ある。戦乱があいついで起こったのは事実だし、往々にして悲惨な運命を人々に強いたというのも、決して誤りではあるまい。しかし、それだけではなかった。 戦乱があい
福岡 今日はお目にかかれて光栄です。私は、「ビッグバン宇宙論」を有名にした『宇宙創成はじめの3分間』からワインバーグ先生の著作の読者なんです。新刊 『科学の発見』 (小社刊)は、科学史に登場する偉人たちの「誤り」を次々に暴いていく大胆な本ですね。 その書きぶりがまた刺激的で、古代ギリシャのプラトンは「馬鹿げている」、アリストテレスは「退屈」、ガリレオは「時代遅れ」、デカルトは「間違いだらけ」。舌鋒鋭いストレートな意見は、日本の読者も楽しむと思います。 ワインバーグ そんなにきっぱりとは言っていませんよ(笑)。プラトンは時々馬鹿げていたと言ったのです。アリストテレスの著作を読むのは退屈ですが、他の点ではリスペクトしています。ただ、デカルトの間違いは本当に我慢できません。 スティーヴン・ワインバーグ教授(83)の著書『科学の発見』は、昨年2月に発売されるや、欧米で大論争を巻き起こした。現代
今、韓国で映画『鬼郷』が社会現象となっている。日本軍による朝鮮人少女たちの強制連行、性暴力、虐殺などが描かれたこの映画が一般公開されたのが二月二十四日。以来、三週連続一位を記録、観客動員数三百万人突破と快進撃を続けている。 物語は両親とともに平和に暮らしていた少女ジョンミンが、ある日突然訪ねてきた日本軍によって強制的に連行されたところから始まる。ジョンミンが連れていかれた場所は中国にある日本軍慰安所。ここで少女は地獄のような生活を送ることになる。日本軍は無慈悲に暴力をふるい、失神した少女を強姦し、軍刀で脅し、容赦なく鞭を振り下ろす。 映画のラスト近く、日本軍が少女たちを集団虐殺した後、死体に火を放つシーンがある。最も話題となっている場面だが、これは元慰安婦・姜日出(カンイルチュル)さん(87)の絵と証言をもとにして作られたものだと盛んに喧伝されている。しかし、そこには観客をミスリードする非
堺 それはショックだなあ。実は今回、信繁の刀を短めにして、構えも逆手にさせてもらったんです。それだと非力な人間でも、身近な敵に対しては扱いやすい。忍者刀というものがあるとしたら、そういった長ドスのような短いものの方が効率的ではないか。そう考えて小道具さんに相談して作ってもらったんですが、嘘だったかと思うと、小道具さんに申し訳ない(笑)。 NHK大河ドラマ『真田丸』が好調だ。第10話までの平均視聴率は約18%、最高視聴率は20.1%を記録した。 今作の主な舞台は戦国時代末期の信濃・上野の国。主君の武田家滅亡後、織田・徳川・北条・上杉と有力大名に領国を狙われながらも、戦略と巧みな外交で動乱の世を生き抜いた国衆・真田家を中心に物語は描かれる。主役の真田信繁を演じる堺雅人は、大河ドラマ3作目の出演。脚本家の三谷幸喜とは、2004年の『新選組!』以来のタッグとなる。 三谷の脚本を裏で支えるのが時代
六年半のあいだにいくつかの雑誌に発表された作品が一冊にまとまると、長篇としての新しい姿を見せた。第二次大戦頃のフランスを生きたルーシェという未知の“詩人”の痕跡を、堀江さん自身を思わせる“私”が探し続ける物語だ。 「最初の一篇は独立した短篇として書きました。書き終えて、何か余るものが体の中にあり、次に短篇を書く機会があると、もう一度、それを咀嚼し直し、新たな一篇を書く。それを少しずつ積み重ねる。時間や空間もあちこち飛ぶので、それぞれがどうつながるか、六、七年書いているあいだに、こういうことなのかもしれない、と少しずつ自分にも見えてきました。それでも、まだ完全に終わってはいないような気がしています」 フランス留学中に古物市で手に入れた、古い絵はがきに書かれた詩を通して“私”はルーシェを知る。本職は会計検査官だったという彼の足跡をゆっくりとたどりながら、その周囲にいた人たちと、やりとりする中で
シブサワ・コウ インタビュー メガヒットゲーム『信長の野望』創造と破壊 日本人の歴史観を変えたゲームはいかにして生まれ、進化してきたのか? 文シブサワ・コウ (コーエーテクモホールディングス代表取締役社長) プロフィール しぶさわ こう/コーエーテクモホールディングス代表取締役社長 本名襟川陽一。1950年栃木県生まれ。慶応義塾大学商学部卒。1981年に発表した「川中島の合戦」以来、『信長の野望』『三國志』など、歴史シミュレーションゲームの分野でメガヒット作を生み出してきた。 この著者の関連記事
キャンベル 国立公文書館が1年ほど前、『江戸時代の罪と罰』と題する展示会を催しました。本書はその企画者である著者が展示内容を再構成し、江戸から明治初期という時代に行われていた処罰や処刑について、膨大な資料から詳細に描いた労作です。特に興味深いのは〈信じがたい無差別殺人〉である「辻斬り」が江戸初期と末期に集中していたこと。幕末維新期の江戸では動物まで斬られていたとか。〈傷つけられなかった犬を一匹たりとも見ることは実際珍しい〉というので驚きです。 実は新年早々、山内先生とは歌舞伎座でお会いしたんです。その時の演目は『梶原平三誉石切』。 山内 そうでしたね。石切梶原は、正月歌舞伎座の定番ですから(笑)。 キャンベル 梶原は刀の目利きで六郎太夫が持っている刀の鑑定を頼まれる。罪人を2人重ねて斬る「二つ胴」で試し斬りをすることになるのですが、その1人が実は太夫だと気づく梶原はわざとしくじります
安倍一強時代の陥穽 日本再生58 立花 隆 五十歳と、放浪の画家 磯﨑憲一郎 本当の真田丸を探して 千田嘉博 出前映画、お届けします 松方弘樹 からくれなゐのモンシェリ 北村 薫 すべてがそこではじまった 水沢 勉 京都人のあしらいぶり 井上章一 夫・遠山一行が遺したもの 遠山慶子 消費税も頭の使いよう 日本人へ154 塩野七生 「置かれた場所で咲きなさい」著者が初めて明かす 九歳の時に目の前で銃弾を浴びた陸軍大将の父。 私は五十年後に初めて青年将校の弟に会った―― 2.26事件 娘の八十年 (ノートルダム清心学園理事長)渡辺和子 聞き手・保阪正康 テロはなぜ起きるのか。今こそ昭和史を学び直せ 「新しい戦争」と日本軍の教訓 半藤一利×佐藤 優 世界の敵はイスラム恐怖症だ エマニュエル・トッド 中国経済まだまだ悪くなる (富士通総研主席研究員)
のぐち ゆきお/1940年生まれ。63年東京大学卒業。大蔵省に入省。72年にエール大学でPh.D(経済学博士号)を取得。現在、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。著書に『戦後経済史』など。 ホームページ http://www.noguchi.co.jp この著者の関連記事 『ソーシャル物理学』によると、人間は他の人から単純な法則に従って影響を受ける。集団は集団的知性を持つ。これは個々の構成員が持つ知性とはほとんど関係がない。本書が紹介するコールセンターの実験では、それまでオペレーターがバラバラに休憩時間をとっていたのをチーム単位で取ることにした結果、生産性が上がった。これは、オペレーター間の交流量が増えたからだ。会話の参加者が平等に発言できる組織のほうが集団的知性が高くなる。相手の社会的シグナルを読み取る能力は、女性の方が高い。誰もが会話に参加することで、チームがアイディア製造マシンとし
しまだ ひろみ/1953年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。著書に『戦後日本の宗教史』(筑摩選書)、『キリスト教入門』(扶桑社新書)など多数。 この著者の関連記事 世界には、キリスト教徒が二十三億人、イスラム教徒が十六億人いると言われる。 ところが、日本のキリスト教徒はカトリックとプロテスタントを合わせても百万人程度で、人口の一%にも満たない。イスラム教となれば、日本人の信者は一万人程度で、外国人を合わせても十万人をわずかに越えているに過ぎない。 これは、注目されていいことだが、世界の国々のなかで、これほど一神教を信じる人間が少ない国はほかにない。日本は一神教が浸透しなかった最大の国なのである。 イスラム教の場合には、これまで日本人が接する機会はほとんどなかった。国内に海外からイスラム教徒が入って
欧米でイスラム教に改宗する人々が増えている。その背景には欧米社会の行き詰まりがあった 文浅川 芳裕 (ジャーナリスト) プロフィール あさかわ よしひろ/1974年山口県生まれ。カイロアメリカン大学(中東史学)、カイロ大学(セム語学)中退後、アラビア語通訳、ソニー中東本社、編集者を経て、2014年に独立。著書に『日本は世界第5位の農業大国』(講談社+α新書)など。 この著者の関連記事 イスラム教は今、世界最速で成長している宗教である。その信者数は世界最大の人口を誇るキリスト教に肉薄し、二〇七〇年には追い越すと予測されている(米ピュー・リサーチ・センター調査、二〇一五年)。 キリスト教が信者数で世界最大の宗教になったのは大航海時代が始まった一五世紀以降のこと。六〇〇年を経て、イスラム教に信者数第一位の座を明け渡すことになる。人類史における大転換点と言えよう。 その要因は三つある。一つめはイス
試合終了三分前、南アフリカのゴール前でペナルティをもらった瞬間、エディーさんは「3点だ! 3点だ!」と叫びました。入れば同点となるペナルティゴールを狙えという指示です。私も間髪を入れず、「ショットです! ショットです!」とグラウンドに伝えました。 ところが、選手たちは同点ではなく、逆転トライを狙ってスクラムを選択した。エディーさんは信じられないといった表情で、「どうしてスクラムなんだ!」と怒鳴り、私に対して「ちゃんと伝えたのか!?」と声を荒らげました。そして、スタンドから奥のコーチボックスに戻ると、激しく机を叩きつけるなど、怒りはなかなか収まりませんでした。 試合が再開し、体をブルブル震わせながら戦況を見守っていたエディーさんは、カーン・ヘスケスが逆転のトライを決めた瞬間、感情を爆発させました。 いつもは勝った後も淡々としていて、スタッフと握手を交わすだけなのに、この時ばかりはみんなとハイ
アトランタで行われた環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の閣僚会合が十月五日に終わり、大筋合意することができました。 安倍総理からTPP交渉を担当するようにと指示を受けてから二年七カ月。厳しい交渉だっただけに、今回の大筋合意には万感胸に迫るものがあります。 TPPによって、世界の国内総生産(GDP)の四割を占める巨大な経済圏が誕生します。その中をモノと人と資本が自由に行き交い、新しい商取引にも対応できるようになる。経済的結びつきが強くなることにより、アジア太平洋地域の安定にも寄与します。日本にとって歴史的瞬間と言えます。 当初、二日間の予定だったアトランタの閣僚会合は、延長に次ぐ延長を重ね、合意発表が六日目までずれ込みました。 一般的な通商交渉では、すでに事務方レベルで話がまとまっていて、大臣同士が話し合う段階になれば“シャンシャン”で終わるものです。ところが、TPPの交渉では、毎回
日韓最大の懸案を解決するには、一九九〇年代以降の両国関係の変質を理解しなければならない 文木村 幹 (神戸大学教授) プロフィール きむら かん/1966年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。博士(法学)。著書に『韓国における「権威主義的」体制の成立』『日韓歴史認識問題とは何か』など。 この著者の関連記事 従軍慰安婦問題が日韓関係における「のどに刺さった骨」になって久しい。とりわけ朴槿恵(パククネ)政権成立以後の韓国政府はこの問題を重要視し、この問題の進展なしに、首脳会談を開催する事すら難しくなっている。 とはいえ、その事はこの問題が一貫して日韓関係において重要な問題としての位置を占めてきた事を意味しない。一部ではよく知られているように、日韓両国間においてこの問題が大きな問題として取り上げられるようになったのは、一九九〇年代、とりわけ一九九一年八月一四日に、金学順(キムハクスン)
books.bunshun.jp
文藝春秋 1600円+税 片山 本書は、岸富美子さんという映画編集者の一代記です。編集とは、フィルムを切り貼りして、画面をつないで、映画に意味とリズムをもたらす重要な仕事ですね。15歳で映画業界に進んだ岸さんは、1939年に満洲に渡り、満洲映画協会(満映)という国策映画会社で働きはじめます。そして終戦後も53年まで中国に残り、戦後中国映画の出発に大きく貢献しました。本書は岸さんの手記を基として、ノンフィクション作家の石井妙子氏が岸さんにインタビューを取り直し、「解説」も加えて丁寧にまとめられています。 戦時期の映画で国際色が豊かというと、『新しき土』(1937年)と『私の鶯』(1942年)を挙げたくなるんですが。前者は、ドイツからアーノルド・ファンク監督を招いて原節子の出た、ドイツ語の飛びかう特撮パニック映画。後者は、ハルビンが舞台で李香蘭が出た、ロシア語の飛びかうオペラ映画。岸さんはなん
ヒロシマ・ナガサキ 核抑止の原点 今もなお平和は核抑止ぬきには考えられない。そのような世界で日本がなしうることは何か? 文三浦 瑠麗 (国際政治学者) プロフィール みうら るり/1980年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修了(法学博士)。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員。著書に『シビリアンの戦争』『日本に絶望している人のための政治入門』など。 この著者の関連記事 核兵器の存在ほど、広く日本国民に一種独特の感情を呼び起こすものはないかもしれません。広島・長崎における原爆投下の記憶は、文学や映画に刻印され、世代を超えて語り継がれてきました。原爆の記憶は、日本人が戦争というものの存在をどのように捉え、アメリカという同盟国をどのように捉えるかということに大きな役割を果たしてきたのです。 広島・長崎への原爆投下をめぐる評価については、人類史上最大の犯罪であるという立場から、戦争の終
いそだ みちふみ/1970年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。静岡文化芸術大学教授。著書に『武士の家計簿』『無私の日本人』など。 この著者の関連記事 自動車が崖に向かって猛スピードで走っている。車中の人々は、誰も前を見ず、ブレーキを修理したり、エンジンの調子を整えたりしている。運転手も視界が悪いと窓を拭くばかりで、肝心のハンドルを握っていない。 満州事変から敗戦に至る日本は、運転手がよそ見をして、ハンドルから手を放していたために崖から海に転落していった車に見えます。 運転手として、国のハンドルを切り、ブレーキを踏まなければならなかったのは誰か? それは戦前のエリートにほかなりません。政治家や官僚、軍人たちです。 なぜ、彼らは国の舵取りを誤ったのか? いや、それどころか、なぜそれを放棄してしまったのか? それは戦前日本の失敗を考えるとき、もっとも重要な問いの一つ
緊急提言 憲法学者たちはいつまでごまかしを続けるのか 憲法から九条を削除せよ 憲法を形骸化させ、安全保障論議を妨げる。戦後七十年の今こそ問う 文井上 達夫 (東京大学大学院法学政治学研究科教授) プロフィール いのうえ たつお/1954年大阪市生まれ。東京大学法学部卒。著書に『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(毎日新聞出版)、『世界正義論』(筑摩書房)など。 この著者の関連記事 今年五月十四日、安倍政権は集団的自衛権行使のための自衛隊出動を合憲とみなす閣議決定をおこないました。これは、従来、集団的自衛権行使を違憲としてきた歴代政権(内閣法制局)の立場を変える「解釈改憲」だとして多くの批判を呼びました。六月四日に、衆議院憲法審査会に呼ばれた憲法学者三人が、集団的自衛権を盛り込んだ安保法案を「憲法違反」とコメントし、マスコミなどで大きく取り上げられたことも記憶
あの夏の記録 日本再生52 立花 隆 フラガールとの五十年 早川和子 指輪に込められた思い マリコ・テラサキ・ミラー さようなら、たまちゃん 仁坂吉伸 終戦の樽砂糖 原田眞人 ナゼ、今、朝型勤務なのか 三島和夫 人生の先輩に聞く 松家仁之 『まれ』の音楽をまかされて 澤野弘之 なぜ、ドイツ人は嫌われるのか 日本人へ148 塩野七生 「戦後70年談話」の陥穽 両陛下の歴史への思いが通じない。問題は、内閣と天皇の「距離」だ 安倍首相 空疎な天皇観 保阪正康 自民党よ、総裁選を行え 古賀 誠 「安保と談話」安倍が拘った二つの悲願 赤坂太郎
「朝起きたらまずヤフーニュースをチェックしますよ。新聞記事から雑誌記事まで面白そうなニュースがパパッと読めますから」 筆者の周囲を見渡しても、日々の情報をヤフーニュースから得ているという人たちは少なくない。 月間ページビュー(PV=ユーザーがページを閲覧した回数)は約百億。利用者数はパソコンで二千二百八十万人、スマートフォンで二千三百七十万人(ニールセン調べ)にのぼる。単純比較はできないが、日本で最大部数を誇る読売新聞が約九百三十五万部だから、ヤフーニュースはいまや、日本で最も多くの人に読まれている“メディア”と言ってもいいかもしれない。 中でもトップページの画面中央に並ぶ八本のニュースは通称「ヤフートピックス(ヤフトピ)」と呼ばれ、圧倒的な影響力を持っている。ヤフトピに掲載されるだけで、その記事のPVは数百万単位に跳ね上がり、多くの人の知るところとなる。政治家や官僚、企業の社長も、このヤ
政界引退を宣言した大阪市長、橋下徹の存在の大きさを浮き彫りにする出来事だった。 「できうれば年内、年末までにと思っている。いろんな再編の形があるが、民主党だけではなく、その他の野党まで含めた幅広い結集ができればと思っている」 都構想否決の共同責任を取って辞任した江田憲司の後を継いだ維新の党代表の松野頼久が5月24日、熊本市内での記者会見で、年内に民主党と合流して100人規模の新党を結成すると明言した。 しかし、翌日の主要紙はこの発言をベタ記事扱いし、中には掲載しない社さえあった。その理由は明確だ。橋下がいなくなった維新に野党再編を主導する力はないと見切っているからだ。永田町の大方の見方も同じだ。 一方で、松野の足元である維新や、維新と連携したい民主の一部、そして何より首相安倍晋三、官房長官の菅義偉には「橋下再登場」というシナリオが早くも浮上しつつある。 特に堺市議出身で、橋下、松井一郎大阪
文藝春秋 1950円+税 山内 歴史というのは、モノを見る視点を変えると、全く違った姿が浮かび上がります。著者は、古代文明からリーマン・ショックまで、つねに国家の礎として会計が最も重要だったとし、帳簿から見た歴史の分析と叙述に挑んだ。これが実に面白い。 たとえば、ルイ16世の財務長官ネッケルは、1781年、国家、王家の収入・支出を初めて国民に公表します。経常支出の内訳を見ると、宮廷費用と王室費が2570万リーヴルであるのに対して、警察・照明・清掃が150万リーヴル、貧民救済費が90万リーヴルと圧倒的に少ない。さらに、4年後に起きた首飾り事件で、マリー・アントワネットの首飾りが200万リーヴルだったことが判明する。まさにこれがフランス革命の遠因になるとは実に明快。 また、家計簿や銀行通帳のように、現金の出入りだけを記す単式簿記ではなく、現金の増減とそれに伴う資産の価値をも表わす複式簿記の発達
篠田 私はディスカバリーチャンネルなどの巨大建築特集が大好きなんです。とてつもなく高い建物や長いトンネルや、ガテン系の男たちの活躍を見るとワクワクしてしまって、『エデン』という短編小説まで書いてしまいました。著者が日本全国の巨大施設や技術の現場を訪ねたという本書には、そうしたスケール感を、ガッツリ感を期待したのですが……見事に外されました(笑)。ガテンでなく知的、見た目は巨大でも、いかに緻密な最先端技術で組み立てられているか、いまグローバリズムのなかで失われつつある日本企業が鍛え上げてきた繊細な感性が描かれているんですね。 たとえば、3月に全線開通した首都高中央環状線の掘削工事では、地下トンネル部分約8.4キロを掘って誤差はわずか数ミリという驚異。理研の放射光科学総合研究センターのSACLAという長さ700メートルもある顕微鏡で見えるのは、極小の原子レベルのサイズだとか。緻密な構造の積み重
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『文春オンライン | 世の中の「ほんとう」がわかります』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く