目の前に大好物がある。それを食べようとするとき、人間はどのようにして食べようとするのだろうか。食べるまでの人間のアクションとしては、次の順番が考えられる。 (1)「大好物に手を伸ばそう」という意思を持つ。 (2)脳で手を伸ばす準備が始まる。 (3)実際に手を動かす。 恐らく多くの方がこの順番は自然だと考えていると思う。ところが、(1)と(2)は逆だということが研究結果で明らかになった。(伊古田敏夫著「脳から見た認知症」講談社ブルーバックス2012年10月初版) 人間は、そうしようという意思を持つ前に、実際には脳がそういう準備を始めている。まるで手が先に出る感じだ。好物には目がないとでも言うのか、それとも欲望の赴くまま思慮がないと言うのか。そうではなく、しっかりした意思を持つ前に人間はすでに予感がしているようなのだ。 脳の研究は今盛んに行われているが、まだ多くのことが分かっていない。思考だと