今年の初夏に祖父が死んだ。 私は死んだ人間の人格について、とやかく言うつもりは無い。というか、好きではない。自分が死んで生前の私についていろいろと憶測を述べられるのは癪だ。己の欲せざる所は人に施す勿れ、である。私自身、祖父については結局小指の爪ほども知ってなどいなかったのだろう。何を知らなかったとして、私がそれを補って語る資格など無い。 よってここでは祖父の遺体の話である(それは良いのかよ)。 私が実家から呼び戻されたのは祖父が亡くなる3日ほど前だった。一月前に、一度具合が悪くなって入院したということで帰った時は、彼は自力で歩くことが出来たし、話すこともした。それから退院して自宅でしばらく過ごした後、容態が急変したとのことだった。私が三重に到着した頃には、自発呼吸はあったものの意識は無かった。命日から逆算すれば、長く苦しい闘病生活などはほとんどなかった計算になる。そのことは、私の取るに足ら