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京都大学大学院農学研究科の宋和慶盛助教らと村田製作所、BioSerenTach(バイオセレンタック、京都市中京区)は、脂肪を燃料とするバイオ電池を開発した。脂質を加水分解する酵素リパーゼが入った極小の針を搭載し、脂肪の加水分解で生成するグリセロールを燃料とする。試作パッチを作製し、牛肉の脂肪分から出力0・1ミリワットで発電できると実証した。 バイオ電池は酸化還元酵素の触媒反応を利用し、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料を参加する酵素を負極に、酸素を還元する酵素を正極に付けて電気を取り出す。今回は極小の針で脂肪分解酵素リパーゼを脂肪に注入して加水分解しグリセロールを生成後に、針からグリセロールを取り込み燃料として発電する仕組みとした。 今回は牛肉の脂肪を燃料に発電したが、将来はヒトの脂肪を使った安全な稼働の確立に取り組み医療分野への応用を目指す。利用する酵素を変更すれば脂肪以外の
パナソニックホールディングス(HD)の電子部品事業会社、パナソニックインダストリーは、2025年内に透明度の高い電磁波シールドフィルムを発売する。電磁波を遮断・減衰するシールド性能と透明度を両立したフィルムは開発が難しいとされてきたが、独自の透明導電フィルムを活用し実現した。電磁波ノイズ対策が必要な工場自動化(FA)機器向けなどで需要を見込み、28年度までに年間10億円超の売上高を目指す。 パナソニックインダストリーが発売する電磁波シールドフィルムは、厚さ50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の透明導電フィルム「FineX」、同50マイクロメートルの光学用透明粘着シート(OCA)、剥離用保護フィルムで構成する。 フィルム状物質の電気抵抗を表し、値が低いほどシールド性能が高いことを示すシート抵抗は1・5オームパースクエア。電子回路やモーター、液晶、Wi―Fi(ワイファイ)、第5世代
三菱商事は17日、ノルウェーのサーモン養殖加工会社を買収すると発表した。買収額は継承する負債を含めて総額約1450億円。世界的な人口増加や新興国の経済発展を背景に良質なたんぱく質の需要が伸びており、サーモン養殖の需要が拡大すると判断した。養殖サーモンは生産適地が限られることを踏まえ、安定供給体制の構築につなげる。 三菱商事は子会社でノルウェーのサーモン養殖大手セルマックを通じ、同国のグリーグ・シーフードのノルウェー北部、カナダ西海岸、同東海岸のサーモン養殖事業を取得する。買収は10月をめどに完了する予定だ。買収と生産性向上により、セルマックの生産量を2027年度に現状比4割増の年間約28万トンに増やす計画。生産量は世界2位級に浮上する見込みだ。 セルマックはノルウェー、チリ、カナダでサーモン養殖事業を展開している。三菱商事は安定収益が期待できるノルウェー事業と需要が堅調な米国市場に供給する
国策パワー半導体受託生産(ファウンドリー)の実現は中国勢の攻勢を前に夢破れた。日本政策投資銀行(DBJ)系の投資ファンドなどが出資するJSファンダリ(東京都港区)が破産手続きを申請した。ロームやルネサスエレクトロニクスもパワー半導体では苦戦を強いられる。衰退を続けた日本の半導体にとって競争力を残すパワー半導体にも「中国の野望」が忍び寄る。(総合1参照) JSファンダリは米オン・セミコンダクターとの契約が終了して以降、工場の低稼働率に苦しんできた。このため従業員をラピダス(東京都千代田区)などへ出向させてきた。JSファンダリ関係者によれば中国メーカーから買収提案があったというが、経済安全保障上の懸念から頓挫した。台湾のパワー半導体企業とも交渉を続けたが出資を得られず、破産手続きを申請することになった。 パワー半導体の苦境の背景には、中国勢が補助金による設備投資で増産を開始したことがある。技術
地元企業と連携、生産性・技術力を向上 熊本大学は企業などとの半導体に関する共同研究を加速させる施設を完工した。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出が全国的にも注目される中、熊本大は2024年、工学部に半導体技術・研究者の育成に特化した学士課程「半導体デバイス工学課程」を創設している。地場で育てる半導体人材に加えて、共同研究に携わる企業などを呼び込む施設が整備される。“熊本イコール半導体”の確立には地元大学の奮闘が欠かせない。(九州中央支局長・林武志) 熊本大が黒髪南地区キャンパス(熊本市中央区)に設けたのは、半導体のオープンラボ「SOIL(セミコンダクター・オープン・イノベーション・ラボラトリー=ソイル)」と、半導体やデジタル変革(DX)などの教育棟「D―Square(ディースクエア)」。ソイルは5階建てで延べ床面積は約3000平方メートル、ディースクエアは6階建てで同3700平方メート
機能改善 EV向け需要増 富士経済(東京都中央区、菊地弘幸社長)は、全固体電池向け固体電解質の世界市場調査をまとめ、2045年の硫化物系固体電解質の市場規模が24年比164・2倍の7553億円になるとの予測を示した。30年以降、硫化物系全固体電池の性能が改善され、電気自動車(EV)への搭載が広がるとみる。完成車メーカーや電池メーカーはEV向け硫化物系全固体電池の量産を27年から30年にかけて始めると公表しており、固体電解質の開発競争も激しくなりそうだ。 硫化物系全固体電池はEV向けとして注目されているが、本格的な実用化には至っていないのが実情だ。使用される硫化物系固体電解質もサンプルや試験用出荷が中心であるため市場は小さく、25年の市場規模は91億円にとどまりそうだ。 ただ、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなどはEV向け硫化物系全固体電池の量産を27年から30年にかけて開始すると発表。トヨ
東京大学の河原塚健人講師と井上信多郎大学院生、岡田慧教授らは、ミスミで買える金属部品で作る4脚ロボット「MEVIUS」を開発した。板金部品で機体を構築するため3Dプリンター製の樹脂部品で作るよりも頑丈になる。壊れたパーツはEC(電子商取引)で購入できるため保守が楽になり、部品の在庫量を抑えられる。 ミスミの電子カタログサービスとの機械部品調達サービス「meviy」で買える部品で4脚ロボを構築する。最小限の部品構成となるよう設計し、胴体や脚など全部で10種類の部品で構成できた。 設計段階では構成部品を8種類まで抑えられたが、コスト面から10―12種の構成が最適と判断した。各脚にサーボモーターを三つ配置し、全体で12個のモーターが必要になる。金属溶接部品で作るため樹脂製よりも頑丈になる。金属部品は約50万円。サーボモーターは一つ7万円で、制御機器を含めると全体では180万円ほどになる。部品の設
JR東日本は山形新幹線車両「E8系」が17日に走行不能となったトラブルについて、補助電源装置の半導体素子が損傷していたと明らかにした。補助電源装置は1編成に2台設置されており、4編成のうち6台の内部にある半導体素子が激しく損傷。E8系は17日に4編成がほぼ同時に走行不能となり、現在もE8系の単独運転は取りやめている。損傷の原因は調査中で、単独運転再開の見通しは立っていない。 走行不能となった車両はE8系11編成のうち、2024年12月と3月に営業運転を開始した車両と、これから営業運転を始める予定だった2編成の計4編成。いずれも新しい車両であるのが共通点だ。新幹線統括本部新幹線運輸車両部の小谷德隆車両ユニットリーダーは「4編成で同時に損傷が起きるのは、これまでに例がない」と、異例の事象に困惑を隠さない。 損傷した半導体素子は、形が大きく崩れているものの、熱などで溶解したような形跡はなく、「温
人は自分で考えて文章を書くのではなく、AIが生成したテキストを承認して責任を負うことが役割となりつつある(イメージ) 文化的に偏ったコンテンツ急増 生成AI(人工知能)が“書く”仕事を変革している。専門的な原稿であってもAIが自然な文章を出力するようになった。書き手は自分で考えて書くのではなく、AIが生成したテキストを承認して責任を負うことが役割となりつつある。そしてこの流れを、AIによる支援で自信を付けた“素人上司”らが加速させている。生成AIは人を愚かにするのだろうか。この問題を解くには、人間が論理的に感じていた文章とは何だったのかを探る必要がある。(小寺貴之) 「あまり時間は残されていないかもしれない」と東京大学の影浦峡教授は指摘する。生成AIは執筆業のあり方を大きく変えた。特に英語圏での影響は甚大だ。ジャーナリストやテクニカルライター、翻訳家といったほぼすべての書き手が、業務の再構
JR東日本は新たな電車線設備「SMART インテグレート架線」を、高崎線・新町駅―倉賀野駅間(2・2キロメートル)に導入する。従来の架線に比べて電線本数が少ないため、設備のスリム化と省メンテナンス化を図れる。効果を検証後、全社的に導入を拡大する方針。 同架線の導入は、JR東日本で初めて。直線区間のため検証しやすく、塩害などの腐食環境ではないといった条件を満たしているため選定された。下り線への導入が完了しており、上り線は2026年2月に完了の予定だ。 従来のツインシンプル架線は電線6本、インテグレート架線は同3本で構成している。一方、SMART インテグレート架線は同2本で、アルミニウム系電線を新規採用して軽量化し、風による抵抗も低減している。保守作業の負担を軽減できるため、働き方改革につながる。
世界最高水準の研究大学の実現を目指す政府の「国際卓越研究大学」制度に再挑戦する大学が出そろった。東京大学や京都大学などの国私8大学が認定に向け申請した。各大学は国際競争力を高める方策を体制強化計画に盛り込んだが、大学が抱える課題や目標は共通しているため、改革計画自体は似てしまう。差別化のポイントは応援団の存在だ。同制度では企業などからの大学への投資額と同等の額が助成される。大学と一緒に世界へ挑む事業者をどれだけ集められるか。(小寺貴之) 国際卓越研究大学制度は10兆円規模の大学ファンドの運用益を選抜された大学に配る仕組みだ。目標運用益は年間3000億円。助成額は大学が獲得した外部資金に応じて計算される。現在は過去5年間の平均獲得額と同等に設定されており、卓越大の第1号に認定された東北大学には2025年度分として154億円が交付された。 国立大学の外部資金獲得額は増加傾向にあるため、今後十数
日本企業の炭化ケイ素(SiC)パワー半導体戦略が曲がり角を迎えた。SiCウエハー大手の米ウルフスピードが米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用申請を行う準備を進めている。中国勢の攻勢で価格が下落。技術でも差が縮まってきた。同社と10年契約を結ぶルネサスエレクトロニクスだけでなく、ロームなど日本企業は戦略の再考を余儀なくされる。 ウルフスピードは複数の債権者から提示された法廷外での債務再編案を拒否した後、チャプター11による再建計画の策定を目指しているという。 ウルフスピードは財務面に問題を抱えており、以前から事業継続に疑義が呈されていた。同社はリストラなどを決めたものの、厳しい状況を抜け出せなかった。 SiCでは、中国勢の成長も著しい。ある業界関係者は「SiCにおいて、デバイスやウエハー、装置での中国メーカーの実力は相当高い」と話す。足元では中国のウエハーメーカーが日本企業への拡販を
政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が3月末、約15年間の活動に終止符を打った。日本の産業競争力強化に向け、事業再編・統合や創業期のベンチャー企業への投資を行いリスクマネーの供給を担った。その活動には政府関与や民業圧迫などの懸念がつきまとった一方、出資を受けて再建や上場を果たした企業も少なくない。活動の軌跡が今後、検証されることになる。 旧産業革新投資機構は2009年に官民出資で設立された。資金の大半は国の財政投融資による拠出で、政府保証枠を含め総額約2兆円の投資能力を有する規模のファンドとして活動した。設立当時は08年のリーマン・ショックと不況による信用収縮が深刻化しており、民間機関からの資金供給が細っていた。社会的意義のある案件に対し民間が抱えきれないリスクを同機構が補完することで、産業界の新陳代謝促進やベンチャー企業が成長するための基盤としての役割が期待された。 ファンドの原資
三菱マテリアルは高熱伝導性・低熱膨張性・加工性を持つ金属―セラミックス複合材料を開発した。同社の粉末冶金技術を駆使し高度に材料組織を制御。複合材料中の金属マトリックスがセラミックス粒子により分断されず連続的につながる組織構造を設計した。高度な熱マネジメントが必要な部品に対応する。2026年度の量産開始を予定する。 アルミニウムと炭化ケイ素(SiC)からなるアルミシリコンカーバイド(Al―SiC)を金属マトリックスの3次元ネットワーク構造で設計したことによって、SiCの微粒子が均一に分散され、アルミ部分が分断されず連続的につながった構造にした。これによりアルミ合金以上の熱伝導率を持ちながら、低い熱膨張係数を実現している。SiCの含有量が少ないため、アルミに近い優れた加工性を有し、一般的な金属加工方法が適用できる。 さらにAl―SiC以外の異なる金属とセラミックスの組み合わせやその配合比率を変
かみ応え・風味を改善 食べ応えのある培養肉を作製する技術が進化している。東京大学の竹内昌治教授らは独自開発の培養装置を使い、トリ由来の細胞を培養して内部まで生きたままの厚さ2センチメートル、重さ約11グラムの培養肉を作製した。かみ応えや風味も改善した。製法の工夫で、将来、1キログラム程度の培養肉を作製できる可能性もある。 新開発の培養装置は、毛細血管より少し太い外径0・28ミリメートルの中空糸を均等に並べた。培養時は細胞入りのゼリー状溶液を中空糸の束の部分に流し込み、中空糸の周りに細胞を配置する。特定の成分を透過する中空糸を使い、中空糸に流した栄養や酸素を糸の外側に染み出させ、培養肉の内部まで行き渡らせる仕組みだ。 竹内教授らはこの装置を使い、長さ7センチ、幅4センチ、厚さ2・25センチメートルの培養肉の作製に成功した。中空糸を除去した肉の重さは約11グラム。培養肉の内部の細胞が死ぬことも
収量は23%減 東京大学大学院農学生命科学研究科の加藤洋一郎教授らによる研究グループは、営農型太陽光発電が水稲生産に与える影響を6年間にわたって研究した。太陽光パネルが水田の27%を覆う環境下で食糧と電力を同時生産した。結果、太陽光パネルの設置による日射量の減少で水稲収量が平均で23%減少したものの、発電収入により総収益は従来の稲作単作の5倍以上に達した。 同グループは、営農型太陽光発電を実施している茨城県筑西市の水稲生産現場で、6年間にわたって日射量や気温、水稲の収量や品質を調査した。今後は、今回の研究結果も踏まえ、営農型太陽光発電水田に適した栽培管理技術の開発や新たな水稲品種開発に取り組んでいく。 【5刷決定】曲げられる「次世代型太陽電池」がよくわかる新刊「素材技術で産業化に挑む ペロブスカイト太陽電池」(技術監修:宮坂力)好評発売中
楽天モバイルが自社回線を持つ第4の携帯通信事業者としてサービスの本格提供を始めてから8日で5周年となった。〝携帯市場の民主化〟を掲げて月額980円(消費税抜き)からのシンプルな料金プランを打ち出し、国内の携帯料金引き下げをけん引。巨額の設備投資が重荷となり膨大な赤字を出し続けたが、積極的な販促などで契約数は850万を超えた。次の目標である1000万契約と通年での黒字化をどれだけ早く達成できるかが試される。(編集委員・水嶋真人) 「当社の電気代20%削減は可能だ。日本の通信市場全体として、(携帯通信料金が)まだまだ下がる余地がある」ー。楽天モバイルの鈴木和洋共同最高経営責任者(CEO)は国内の物価が高騰する中でも低価格の通信料金プランを維持する自信を示す。 その源は、同業他社に先駆けて導入した完全仮想化による携帯通信網だ。従来は専用機器と、機器に一体化したソフトウエアを基盤とする携帯通信網が
省力化栽培で儲かる仕組みを ―スマート農業関係の本はこれまで複数冊、執筆されています。初期の頃と現在で変わった点は。 「大きく違う点は二つ。一つは技術の革新。高齢農業者が自分でスマートフォンを活用できるようになり、無線技術のデータのやりとりも進歩した。二つ目は農業者自身の意識変化。10―15年前は農業者人口も今より多かったため、スマート農業というと『小規模農家を切り捨てるのか』との反対意見が強かった。今日では農業者人口が半減し、今後さらに半分になることが予想されている。スマート農業をやらないと地方が成り立たない時代になり、やらなければとの危機感が広がっている」 ―上空から作物の生育状況を飛行ロボット(ドローン)で撮影して収穫日を予測するなどのやり方は一定程度、普及してきました。 「ドローンもセンサーも高性能化が進み、直近では100点満点で90―95点の成績が取れるようになった。さらに点数を
東京大学は次世代エネルギー技術の核融合エネルギーを研究する「フュージョンエネルギー学際研究センター」を1日付で開設した。センター長には江尻晶教授が就任した。同センターでは基礎研究から社会実装までを目標に、国内外・産学連携のもとで研究を推進する。若手人材を育成し、核融合エネルギーの早期実用化と産業化の加速を目指す。 水素などの軽い原子核同士が高温・高圧下で融合して別の重い原子核に変わる「核融合」は、二酸化炭素(CO2)の排出を伴わずに膨大なエネルギーを放出する。核分裂と違い連鎖反応や爆発のリスク、高レベル放射性廃棄物がなく安全性が高いとされる。脱炭素社会と豊かなエネルギーの確保を両立できる次世代技術として期待されている。 同センターでは、核融合エネルギーの実用化に重要な要素技術を開発し、定常運転、革新的閉じ込め、先進計測・制御の各部門の成果を統合したシステム研究を推進する。
再生可能エネルギーや天然ガスから水素を生成し、地産地消でカーボンゼロを推進する事業が始まっている。海外からアンモニアや液化水素を大量調達するのを最終目的に、国内の再生エネの設置エリアで高効率の水電解装置を利用し、水素を生成する動きが活発化。三菱重工業など国内メーカーは水素キャリア・再生エネ由来水素の地産地消に動き出した。 三菱重工は水素の地産地消に向け、水素専焼発電機を「高砂水素パーク」(兵庫県高砂市)を中核に長崎造船所(長崎市)や日立工場(茨城県日立市)で開発する。出力45万キロワットのガスタービンで30%水素混焼を実証。同4万キロワット級では水素、アンモニア専焼を実証中だ。水素製造設備はアルカリ水電解、PEM(ポリマー電解質膜)電解に加え、AEM(アニオン交換膜)水電解、固体酸化物形電解セル(SOEC)による高温水蒸気熱分解、メタン熱分解によるターコイズ水素の実用化を進める。 SOEC
日本で進む生産設備の老朽化に工作機械業界が危機感を強めている。日本工作機械工業会(日工会)によると、日本の製造業では導入から10年以上経過した生産設備の割合が60%超と3台に2台に達し、20年以上が35%超と3台に1台を占める。最新設備の導入が進む中国企業と比べ、日本の中堅・中小企業の競争力が低下しかねない。政府は補助金にとどまらない効果的な施策を模索し、産業競争力の強化を促してもらいたい。 日工会によると、2024年の日本の工作機械メーカーによる日本での受注額は、前年比7%減の4415億円と2年連続の減少だった。一方、中国での受注額は同23%増の3371億円と2年ぶりに増加に転じた。中国では、24年に導入から10年以上が経過した生産設備を対象に、更新費用を補助する景気刺激策を実施している。日中の更新需要の差が、受注額で明暗を分けていることに留意したい。 日本でも設備投資を支援する各種補助
日本は地熱資源量が世界有数の2300万キロワットだが、この10年間で10万キロワットの増強にとどまる。数万キロワット級の大型発電所の稼働は21世紀に入って1件のみだ。国は30年度導入目標150万キロワットの実現に向け、「地熱フロンティアプロジェクト」として支援に乗り出した。 日本最大の地熱発電所は八丁原発電所(大分県九重町)で出力が11万キロワット、1号機は1977年に稼働した。国内では出力4万6199キロワットの山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)が19年に運転を開始して以降、「1万5000キロワット以上(の地熱発電所)は作られていない」(日本地熱協会)。24年は熊本県小国町での4990キロワット、北海道函館市で6500キロワット、岩手県で1万4900キロワットの地熱発電所がそれぞれ運転を始めた。 東北自然エネルギー(仙台市青葉区)は日本最初の商用地熱発電で66年に運転を開始した松川地熱発電
世界初のモーターサイクル型の量産ストロングハイブリッドモデル(カワサキモータース調べ)として開発した。当社は電動化の要望を受け電気自動車(EV)モデルの「ニンジャe―1」も発売している。EVは都市部の移動ではメリットがあるものの、長距離ではまだ内燃機関が必要になってくる。今回のモデルはEVと内燃機関の良いところをとった。 2輪車のレイアウトは元々余裕があるわけではない。操縦性や軽快なハンドリングを考慮するとコンパクトにしていく必要があるが、そこにモーターやバッテリーを配置していくパッケージングに苦労した。モーターやエンジンを協調させながら制御する技術開発のほか、ヒートマネジメントなども大きな課題だった。エンジンやモーターの出力、重量のバランスを考慮し工夫しながら、サイズを通常の内燃機関と同等にすることができた。 2輪車でハイブリッドという新しいカテゴリーだが、カワサキのコンセプトである「F
車載半導体メーカーが人員削減に動き出した。背景にあるのは需要低迷により、在庫調整が長引いているためだ。電気自動車(EV)が急拡大すると車載半導体需要も伸びると見込み、各社はパワー半導体などで供給力強化を急いでいたが、EV市場の失速が大きな誤算となった。業界では車載半導体の需要回復時期が見通せず、影響がさらに長期化する懸念もある。(小林健人) ルネサスエレクトロニクスは全従業員の数%に当たる最大数百人規模の人員を削減する方針だ。2025年春に行う定期昇給も延期する方針で、実施されれば2年連続となる。同社の24年12月期連結決算は減収営業減益だった。 ある従業員は「会社からの説明は少ない」と不安を漏らす。また、2年連続の人員削減について「(人員削減を)慣例化しようとしているのではないか」と述べ、「『日本はまだ離職者が少ないが、待遇が悪ければ海外では次々に辞めている』と説明があった。嫌なら辞めれ
活性酸素種が“嫌い” 治療薬開発への応用期待 がんはなぜ転移するのか―。そんな根源的な問いに迫る研究成果が2月21日付の英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に掲載された。京都大学などの研究グループは、がん細胞が有害な活性酸素種から逃れるために転移の第一歩を踏み出していることを突き止めた。転移を抑える新たな治療薬の開発につながる可能性がある。(大阪・村田光矢) 日本人の死因の第1位であるがん。しかも死亡する原因の大半は、がんが最初にできたところ(原発巣)ではなく、転移したがんの影響だという。がんの転移という現象自体は広く知られているものの、なぜ転移するのかについてはよく分かっていなかった。 京大の高橋重成(のぶあき)准教授らの研究グループは過酸化水素(H2O2)などの活性酸素種に着目。腫瘍の内部は活性酸素種が蓄積しやすい環境にあると考えられているが、腫瘍内の活性酸素種を細胞レベルで直
出光興産は27日、全固体電池材料(固体電解質)の量産に向け、千葉事業所(千葉県市原市)に中間材料の「硫化リチウム=写真」の大型製造装置の建設を決定したと発表した。年産1000トンの設備を2027年6月に完成する。蓄電池換算で同3ギガワット時(ギガは10億)、電気自動車(EV)換算で同5万―6万台分の大規模なものとなる。全固体電池の実用化へ勝負に出る。 同社はトヨタ自動車と連携し、27、28年に全固体電池を搭載したEVの実用化を目指している。硫化リチウムから製造する硫化物系固体電解質も、25年度中に大型パイロット装置の建設を決定する。硫化リチウムの製造装置の総事業費は約213億円。最大71億円が助成される。出光の中本肇専務執行役員は「27、28年の実用化に全力で取り組む」と意気込みを語った。 全固体電池は現在のリチウムイオン電池に比べ、電池の長寿命化や充電時間の短縮、EVの航続距離の拡大が期
東京科学大学のザン・ズージュン特任助教、北野政明教授、細野秀雄特命教授らは、遷移金属を使わないケイ酸塩化合物をアンモニア合成触媒とすることに成功した。水素や窒素のマイナスイオン(アニオン)を反応に利用する。高価なルテニウムを用いなくても済む。単体ではルテニウム触媒に勝るが、ルテニウムと組み合わせると最高性能になった。触媒構成元素の選択肢が広がる。 ケイ酸バリウム化合物に水素や窒素のマイナスイオンを導入した混合アニオン化合物を開発した。結晶中の欠陥に電子が捕捉されており、欠陥に窒素分子が取り込まれると窒素原子と窒素原子の三重結合が切れやすくなる。三重結合の切断がアンモニア合成反応の最難関だった。 実験では混合アニオン化合物触媒は9気圧・300度Cの条件ではルテニウム触媒の10倍の活性を示すことが分かった。100時間以上安定して反応した。ルテニウムと組み合わせると、さらに100倍以上性能が向上
金沢大学の小林和樹大学院生と徳田規夫教授、産業技術総合研究所の牧野俊晴研究チーム長らは、ダイヤモンド金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の電気抵抗を1ケタ下げることに成功した。金属酸化膜とダイヤモンド半導体層の界面を原子レベルで平坦にする。すると電子散乱などが抑えられ電流密度が12倍に向上した。ダイヤモンドパワー半導体の実現につながる。 窒素を添加したダイヤモンド半導体層の上にアルミニウム酸化物薄膜を形成する。まず高品質ダイヤモンドに凹凸を作り、横方向に結晶を成長させて原子レベルで段差のないダイヤモンド半導体表面を作る。この表面を水酸基で覆うなどの処理をしてアルミニウム酸化物薄膜を形成した。 ゲート電極などを形成してMOSFETを作ると、界面抵抗の低下でドレイン電流密度が12・5倍向上した。MOSFETとしての基本動作を確認した。チャネル部が原子レベルで平坦なデバイスは世界
米クオンティニュアム(コロラド州)と理化学研究所は、理研和光キャンパス(埼玉県和光市)にクオンティニュアム製のイオントラップ方式量子コンピューターの設置を完了させ、運用を始めた。量子ビットを物理的に移動させることが可能なユニークなアーキテクチャー(設計概念)を採用した最新機で、米国外に設置したのは初めて。「黎明(れいめい)」と命名した。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、理研が2023年に発表したプロジェクト「量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発」の一環。スーパーコンピューター「富岳」との連携が目玉となる。 同プロジェクトでは量子と古典の両コンピューターのハイブリッド化に対応するソフトウエアスタックを作り、その上でアプリケーションを開発して有効性を検証する。 ハードウエアの連携ではクオンティニュアム製以外に、米IBM製の超電導方式量子コンピューターを理
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