サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
www.chugainippoh.co.jp
アメリカ国務省は26日、「2023年国際宗教の自由報告書」を発表。旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の宗教法人解散命令請求問題が日本関係レポートのほぼ半ばを占め、統一教会側の主張を大きく取り上げている。駐日米大使館が「統一教会とエホバの証人を巡る問題を注意深く監視」し、国会議員や政府規制当局、教会の代表者などと連絡を取り合い「あらゆる場合に宗教の自由の重要性を強調した」と米国政府の「関与(Engagement)」に言及している点は注目される。(詳細は2024年6月28日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
3月26日、東京地裁は旧統一教会に10万円の過料を科す決定を出した。文部科学省は質問権に基づく調査を計7回、500項目以上を質問したが、回答しない項目が多数あった。教団側は質問権の行使自体が違法であり、民法上の不法行為は法令違反に含まれないと反論したが、却下された。 この判決と現在東京地裁で審理中の解散命令請求は内容が重なっているので、解散命令が年内にも出される可能性がある。しかしながら、教団活動が「著しく公共の福祉を害する」と認められ、宗教法人として解散させられたとしても、被害の回復には程遠い現状がある。 全国統一教会被害対策弁護団は、149件約46億円の被害事件を集団交渉で教団に申し入れているが、教団は個別対応を主張して受け入れず、東京地裁で129件の集団調停が進行中である。まとまらなければ訴訟を起こさざるを得ず、一つの事件だけでも数年の裁判を要する。高齢の被害者と家族に残された時間と
安倍晋三元首相銃撃事件の背後には、容疑者の旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する積年の怨恨があったとされる。大臣を含む自民党議員の一部(野党の一部も該当)と旧統一教会がこれまで選挙で協力関係にあった事実が広く知られると、日本にもフランス流のライシテを導入すべきとする意見がSNSなどで見られるようになった。 ライシテは厳格な政教分離のイメージがあるからだろう。フランス共和国は政教分離法制定に至る過程で修道会を弾圧し、教皇庁とも国交断絶した。2001年には反セクト法を制定した。このような法を備える国は珍しく、国際的な反響も呼んだ。ただ、ライシテは良心の自由と礼拝の自由も保障しており、フランスは宗教に厳しい国と決めつけるのはやや短絡的だ。 同国がセクト(日本語のカルト)対策に関心を持つのは1980年頃に遡る。94年から翌年にかけて太陽寺院の集団死事件がスイス、カナダ、フランスで起き、日本でも
おおたに・ゆか氏=1978年、香川県生まれ。龍谷大文学研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。龍谷大特任准教授。東アジアの仏教戒律思想の変遷を専門とする。著書に『中世後期泉涌寺の研究』、論文に「越境する戒律問答」など。※経歴は応募時点 仏教では一般に「不殺生」を説く。律蔵においては教団追放となる重罪である波羅夷の第三に立項されて殺人が禁止されているし、多くの菩薩戒の中にも殺生を禁ずる項目が立てられている。自死はこの不殺生に抵触する行為であり、仏教では自死を禁じているとしばしば説かれる。 しかし戒律での禁止事項として挙げられる不殺生は、基本的に他の命を殺すことを誡めるものであり、所謂自死の行為がこれらの誡めの対象となっているのかどうかは曖昧である。李薇氏は律蔵の記述から自死について論じる先行研究を総括し、先行研究には仏教は自死を「罪ではない」と結論づけるものと、「罪である」と結論づけるもの
平安時代以来、約950年間中絶していた「天皇諡号」を1841年に復興させた文書の原本が京都市東山区の真言宗泉涌寺派総本山泉涌寺で見つかり、同寺心照殿で初公開されている。石野浩司研究員は「朝廷権威の復活を象徴する歴史的な一級史料。寺内の陵前で光格天皇号を奉った宣命で、本来は焼却すべきものだが、奇跡的に残ったのは皇室の菩提寺ならでは」と語った。(詳細は2022年3月4日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
東京都台東区の山崎法衣店が企画販売している「足袋靴」=写真=が好評だ。 製造のきっかけは顧客の一言。「大みそかの深夜に靴下一枚で4時間外に立っていたことある?」 ネル仕立ての温かい足袋はあるが、それもしょせんは室内でのこと。足元丸出しの雪駄を履いている限り、底冷えの寒さを防ぐのは難しい。そこで足をすっぽり覆う靴を考えた。やはり見た目も大事と足袋と雪駄を合わせた形に近づけたところ、意外と違和感のない形に仕上がった。 「使い方はお客さまも考えてくださる」と山崎尚蔵社長。靴底に滑りにくいソールを採用しているため、お彼岸の時期など墓前での読経で足元の定まらない場所でも歩きやすい。 定価は3万3千円。セミオーダーメイドのため納期が1カ月ほどかかるので「ご相談、ご注文はお早めにお願い致します」と。 問い合わせは同店=電話03(3844)3990。
阪本是丸氏(神社本庁教学委員、國學院大名誉教授) 18日死去、71歳。通夜祭は23日、葬場祭は24日に近親者のみで営まれた。喪主は妻の和恵さん。遺族の意向で弔問・供花・玉串料などは辞退するという。 1950年、熊本県・正院厳島神社の社家の出身。父の健一氏も神道学者で静岡県祭務官などとして戦前の神社行政に直接携わった。77年、國學院大文学部神道学科卒。79年、同大大学院文学研究科神道学専攻修士課程修了。神社新報社記者を経て同大神道文化学部教授、同大研究開発推進機構長、同大副学長を歴任した。神社本庁教学委員、神社新報社論説委員長。 編著書は『国家神道形成過程の研究』『近代の神道と社会』など多数。自他ともに認める「葦津珍彦の後継者」となり、神社界の論客として活躍した。
1月6日、トランプ元大統領の「不正選挙」に抗議せよという呼びかけに応じて、暴徒が米国議会議事堂を襲撃した。バイデン次期大統領就任確定作業の妨害だけでなく、ペンス元副大統領を裏切り者として殺害する計画も判明した。 日本でもネットやデモを通して不正選挙だと訴える人々がいる。江川紹子はこれをオウム真理教事件と重ね合わせ、警戒を呼びかける。「これはもう大統領選挙ではない 善と悪との戦いだ!」というスローガンを江川は紹介し、二元論、陰謀論、現実無視、独裁志向、被害者意識、他責思考、手段を選ばないやり方を「カルト性」と呼び、米国から伝播したと見る。 一方ネヴィン・トンプソンは米国Qアノンなどの陰謀論の単なる伝播でなくJアノンと呼ぶべきで、日本の「カルト」史に根ざした現象だとする。藤倉善郎、安田峰俊、大袈裟太郎らの観察も含めてまとめると、幸福の科学と日本サンクチュアリ協会(統一教会の分派)、中国政府から
つかだ・ほたか氏=1980年、長野市生まれ。東京大大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は宗教社会学。著書に『宗教と政治の転轍点』『徹底検証日本の右傾化』(編著)など。 「どうして、あんな男が、こんなところに…!」「あいつのおかげで、○○千万円[オウムに]持っていかれた人だって、知っているんだから」(ジャーナリスト・青沼陽一郎のブログ2014年1月27日)。 こう言って、オウム真理教家族の会(旧・被害者の会)会長の永岡弘行は、「宗教学者」・島田裕巳に激昂して怒鳴った。地下鉄サリン事件からすでに19年近くなる14年1月の東京地裁のロビー。逃亡容疑者3人の逮捕により、再開されたオウム裁判が進行する中での一幕だった。 オウム事件前後に複数の「宗教学者」がオウムを見誤って「擁護」し、醜態を晒したことはよく知られている(いた)だろう。 その後の宗教研究では「カルト問題」研究が櫻井義秀らにより切り拓か
米国大統領選挙が終了した。落選したトランプ候補は選挙の不正を訴えるが、デマとして扱われている。 選挙中に見えてきたのはトランプ支持者にQアノンの陰謀論が浸透していることだ。2018年頃、匿名掲示板4チャンなどから、「Qクリアランスの愛国者」「匿名のQ」(Qアノン)という名前で、デマが拡散するようになった。Qクリアランスとは政府の機密情報を知ることができるという意味である。彼らはQドロップという暗号のような投稿をし、閲覧者がそれを解読する形で拡散する。 その前身は16年の大統領選で出たデマ「ピザゲート」。あるピザ屋でクリントン民主党候補陣営が小児性愛者と連絡し、人身売買を行っているというものだ。人の血と体液を飲む悪魔崇拝の儀式もしたとされる。それを信じた男が子どもの解放のために銃撃するという事件まで発生した。 Qアノンの名が知られるようになってから、2件の殺人、1件の児童誘拐、山への放火、橋
新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」)は、身体症状だけでなく精神的感染症をも引き起こす。半年前の時評欄では兵器説と反中差別感情との関連を取り上げ、注意をうながした。その後、差別は外国人や「夜の街」だけでなく、医療関係者にまで広がった。韓国では教会がクラスター感染の場として繰り返し取り上げられている。その一つ新天地イエス教会は、2月段階で自らも被害者だと訴えた。その後、指導者は逮捕され、自治体は教団に対し、約90億円の賠償を求めた。韓国に限らず、宗教人口が一定程度ある地域では、宗教が感染爆発の引き金になると同時に、一般社会から被害者ではなく、加害者として差別される構造ができやすい。 一方の兵器説だが、さすがに中国人の犠牲を説明できず不合理である。だがトーンダウンした流出説をトランプ大統領が用いて中国の責任を追及し始めた。これは兵器説を暗に匂わせる効果もある。背景にあるのは、死者数が東アジ
「差別戒名」が刻まれた墓石を檀家の墓地から三界萬霊供養塔に移設する「改正」作業を進めてきた曹洞宗はこのほど、全国145カ寺にあった全ての「差別戒名」墓石の移設を完了させた。今年3月、最後の1カ寺となっていた埼玉県の寺院で追善法要を営み、あらゆる差別の撤廃と人権の確立の実現に向け、さらなる精進を誓った。 宗務庁は全国寺院へのアンケートや現地調査などを実施し、全国253カ寺に差別戒名が記された墓石(145カ寺)と過去帳(218カ寺)があることを把握した。(詳細は2020年6月5日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
天皇陛下の即位に際して、天下国家の安泰除障平和を祈る真言宗の大法「太元帥法」の伝授が10日、京都市伏見区の真言宗醍醐派総本山醍醐寺で始まり、真言各派の教師ら約140人の受者が理性院流の許可を受けた。 太元帥法は主に醍醐寺の理性院に相伝されてきた。戦時中に敵国降伏祈願などに用いられた影響で戦後しばらく営まれなかったが、今回の御代替わりに当たり、平和を祈る本来の目的で「太元帥御修法」の奉修を計画。種智院大(同区)が中心となり、醍醐寺や高野山など各山と協力して伝授を開筵した。(詳細は2019年10月16日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
日本に居住する外国人は総人口の2%を占め、訪日外国人も増加し、社会のあらゆる面で国際化は進む。曹洞宗の首座法戦式、スリランカのウエサク祭、在日ベトナム人物故者の慰霊祭など仏教にも国際化の波は及んでいる。 ブラジル人僧侶のメロ広法氏(58)が8日、曹洞宗桐ケ谷寺(東京都品川区)で営まれた首座法戦式の首座を務め、問答を通じてその力量を披露した。ブラジルとスイスから来日した僧俗23人が檀家と共に式の円成を祝った。(詳細は2019年7月12日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
キャッシュレス化の波が宗教界にも及びつつあることに対し、京都仏教会は6月28日に「布施の原点に還る」と題する有馬頼底理事長名の声明文を発表し、布施など宗教的喜捨をキャッシュレス決済で受け入れることをしないよう呼び掛けた。個人の宗教活動のデータが第三者に把握され、信教の自由が侵される可能性などを危惧するとしている。 声明文は宗教活動と世俗の事業の本質的な違いを強調し、宗教行為としての布施は対価取引の営業行為とは根本的に異なると述べるとともに、宗教法人においては法要・拝観・葬儀などの宗教行為と収益事業が明確に分離されていると、「聖俗の分離」の原則を強調している。(詳細は2019年7月3日号をご覧ください。中外日報購読申し込み)
きみしま・あやこ氏=1980年生まれ。大正大大学院文学研究科比較文化専攻修士課程、総合研究大学院大文化科学研究科国際日本研究専攻博士後期課程修了。博士(学術)。としまコミュニティ大学(東京都豊島区の生涯学習機関)講師。専門は宗教学における物質文化研究(特に近代現代の仏教と美術関連)。論文に「戦争と平和のモニュメントー近現代における観音像の変容から」など。 硫黄島、レイテ島、グアム島、サイパン島、アジア太平洋戦争の激戦地として知られる島々に「マリア観音」と呼ばれる像が存在している。マリア観音と聞いて思い出されるのは、密かにキリスト教を信仰し続けたキリシタン信徒が、「聖母マリア」に見立てて崇拝した観音像であろう11主要辞書で「マリア観音」は以下のように解説される。『広辞苑』「隠れキリシタンが江戸時代、中国渡来の白磁の観音像を聖母マリアの代用として、ひそかにあがめたもの」。『大辞林』「江戸時代に
CNNが「『無宗教』の米国人、カトリック教徒などと並んで最多に」という記事を発表し、話題を呼んだ(4月14日)。44年にわたって続けられている米国の総合的社会調査の最新結果の分析による。90年代に最も多い宗教グループは福音派で、今世紀はカトリックとトップ争いをしてきた。だが僅差ではあるものの「無宗教」がトップとなったのだ(23・1%)。 「アメリカで無宗教だと言うと白い目で見られると教わったが変わったものだ」というのが日本のネットの反応で目立った。だがこれは「無神論」と混同している可能性もある。無神論者はムスリムや同性愛者以上に米国社会にふさわしくないと思われており、今なお差別されている(Edgell他、2006)。「無宗教」は無神論とは限らない。教団に属さないが個人的に宗教的な人も含みうる。 米国では保守的な福音派に比べてリベラルなプロテスタント主流派が減少し続けている。80年代初頭まで
2018年10月12日付 中外日報(社説) 日本国憲法第20条は「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」と規定している。これは取りあえず、どのような宗教も信仰する自由があることと理解できる。そして「特定の信念体系を信じる自由を妨げられないこと」こそ主たる内容だと受け止められることが多い。そこには「特定の信念体系」とは、キリスト教、仏教、新宗教などの諸宗教集団が担うものだという前提がある。 だが、日本国憲法第20条には、第2項に「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」とも記されている。明治維新以後、第2次世界大戦の敗戦に至る時期の日本で起こったことに照らし合わせると、この第2項の意義が大きいことを忘れてはならない。 というのは、明治維新以後、とりわけ大日本帝国憲法の制定と教育勅語の渙発以後、「宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加すること」の国民への強制
いちさか・たろう氏=1966年、兵庫県芦屋市生まれ。大正大文学部史学科卒。現在、萩博物館特別学芸員、至誠館大特任教授、防府天満宮歴史館顧問。著書に『明治維新とは何だったのか』『フカサクを観よ』『語り継がれた西郷どん』など。テレビ出演、講演も多い。 東京の靖国神社は、戊辰戦争の戦没者の霊を祀るために創建された。その源流のひとつが楠木正成を祀る「楠公祭」にあると、私は考えている。 正成は河内国赤坂の武将で、後醍醐天皇のもとに馳せ参じ、鎌倉幕府打倒、建武の新政(中興)に功を立てた。しかし建武3(1336)年、叛旗を翻した足利尊氏と摂津国湊川で戦って敗れ、「七生滅賊」を誓い自決する。7回生まれ変わってでも、賊を滅ぼすという凄まじい決意だ。 軍記物語『太平記』では正成を「弓矢を取って名を得たるもの」として、その名将ぶりを絶賛する。だが、足利や徳川といった武家政権にとって正成は、不都合な存在でもあった
生きづらい世の中に風穴 1993年の『完全自殺マニュアル』で一躍ベストセラー作家に。「生きづらい」世の中に風穴を開けるためだった。 人々が生きづらさを感じる原因の一つに、金もうけ優先の経済体制があるという。こうした現状に警鐘を鳴らし、昨年末に『0(ゼロ)円で生きる』を上梓した。「金もうけが得意じゃなくても、社会に適応できなくても楽に生きる社会をつくりたい」。本当の豊かさを実現する社会を目指し、身の回りからできる草の根の活動を仲間と共に展開している。 (赤坂史人) つるみ・わたる氏=1964年、東京都生まれ。東京大文学部社会学科卒。大手電機メーカーなどを経て、フリーライター。主な著書に『完全自殺マニュアル』『無気力製造工場』『人格改造マニュアル』などがあり、社会や経済構造などの問題点を浮き彫りにし、生きやすい社会の実現を提唱している。 『完全自殺マニュアル』を書いた経緯は。 鶴見1991年か
2017年10月18日付 中外日報(社説) 「マインドフルネス」が流行っている。これは要するに坐禅から宗教性を取り除いた瞑想で、精神安定上効果があるという。 宗教的な生き方から宗教性を除去して一般化した例は過去にもある。セーレン・キルケゴールは市民的文化となっていた当時のキリスト教を批判して、キリスト者は単独者として自覚的に信仰へと決断し、真理の証人として苦難を負って生きるものだと主張した。市民的一般性に埋没しない自覚的な主体性を説いたわけである。 20世紀になって「単独者の主体的決断」はいわゆる実存主義の源流の一つとなり、「汝自身であれ」という合言葉を生んだ。やがて実存主義はキリスト教性を失って哲学的となり、さらに無神論的にもなって、普遍的人間性を選び取る方向と「例外者」となる方向とに分かれ、さらに一般化して生き方の指針にもなった。 戦後の日本でも「主体性」「自分を見つけよ」「自分自身と
2017年9月25日 16時54分 浄土宗は、今年刊行した『新纂浄土宗大辞典』(浄土宗出版刊)の、ウェブ上での全面的な公開を予定している。先頃開かれた浄土宗総合学術大会で試験版が披露され、法然上人の教えと浄土教学を広く社会に発信する手段として注目が集まった。 『新纂浄土宗大辞典』は、宗義の正確な理解を伝えるため、法然上人800年大遠忌を記念して出版された。1974年刊行の『浄土宗大辞典』を全面的に改稿し、最新の研究成果を反映。見出し語は9100項目に及ぶ。 試験版は、浄土宗総合研究所の「浄土宗基本典籍の電子テキスト化」班が作成した。検索や語句同士の関連付けが容易なWiki形式を採用する。7月に正式公開された宗典検索システム「浄土宗全書テキストデータベース」とも相互参照が可能。『辞典』の内容の全文検索はもちろん、見出し語全てに内部リンクを施してあるなど、ウェブ版ならではの利点がある。 ウェブ
2017年9月11日 17時33分 一般財団法人同和教育振興会(理事長=石上智康・浄土真宗本願寺派総長)の中央研修会が6日、京都市下京区の本願寺同朋センターで開かれ、約80人が参加した。部落解放同盟広島県連合会の小森龍邦顧問、大阪市立大大学院創造都市研究科の阿久澤麻理子教授が講演。小森氏は浄土三部経の「観無量寿経」(観経)に出てくる「是栴陀羅(せんだら)」を問題視し、人間の平等を説いた親鸞聖人の遺弟である本願寺教団に、問題解決に向けての取り組みを進めるよう強く要望した。 「栴陀羅」はインドの被差別民を意味する言葉。被差別部落出身の人たちの墓石には「栴陀羅男」などの差別法名が刻まれているものもある。 小森氏は「被差別部落の人たちは『栴陀羅』の意味も知らないままに法事で『観経』が唱えられるのをありがたく聴き、差別法名が刻まれた墓石に手を合わせてきた。これほど情けないことはない。私は心が痛む」と
キリスト教の一派、コプト正教会(※)の教皇タワドロス2世(64)が27日、京都府木津川市の聖母マリア・聖マルコ・コプト正教会で聖別式を行った。エジプトに本拠を置くコプト教の最高位聖職者の来日は史上初で、式には日本在住の信徒ら約100人が参列した。 教皇の来日は、日本最初で唯一のコプト教会として2016年7月に開設された同教会を訪問し、日本在住信徒に聖体礼拝を行うことが目的。エジプトから司教4人を含む約10人が随行、26日に来日した。 午前8時から聖体礼拝・聖別式が行われ、イエスや聖人のイコン(聖像)が飾られ香炉の煙が漂う中、コプト正教会の伝統に基づき、アラビア語を主にコプト語、英語、日本語を交えた礼拝、祈りを捧げた。教皇は説教でコプト正教会の歴史に触れ「愛を無条件に捧げ、全ての人を守るというイエスの教えを広げるのが教会の使命だ」などと説いた。 式にはエジプトやエチオピア出身の留学生、在住者
昨年7月、鎮座1200年を祝った大阪府交野市の星田妙見宮。だんじり曳行や100人の稚児行列など2日間の奉祝大祭を100人超の近隣ボランティアが裏方として支えた。「地域の皆さんが目いっぱい頑張ってくださった」と佐々木久裕宮司(64)は感謝する。 妙見宮は星田神社(同市)の境外社。妙見山の石段を262段上った山頂近くに拝殿と社務所がある。縁起では816年、弘法大師空海がこの地を訪れ、秘法を修すると天上から北斗七星が落ち、星の道場として創建したという。 佐々木氏が訪れたのは40年ほど前。同府東大阪市の自宅で発見した古文書で、先祖の妙見宮への信仰を知ったのがきっかけだが、訪ねて驚いた。参道は草木が生い茂りクモの巣だらけ。社は傷みホコリにまみれていた。荒廃ぶりに呆然とする中、「ここにはすごい神様がいる。復興したい」という思いが湧き上がったという。 当時の宮司は高齢で、神社の資金はゼロ。コンピューター
2017年3月30日 18時01分 真宗大谷派は28日、門首後継者の大谷暢裕鍵役(65)の長男・裕(ゆう)氏(31)が門首を補佐する鍵役に同日付で就任したと発表した。 裕氏はブラジル出身。2008年にサンパウロ州立大分子学科卒。11年に東京大大学院修士課程理学部数理科学研究科入学、13年に同博士課程に進学。今年3月24日に同課程を修了し、博士論文「代数的場の量子論におけるエンタングルメント・エントロピー」で博士(数理科学)の学位を取得した。 13年に得度し、16年から大谷大で真宗学や仏教学などの研鑽にも努めている。4月1~4日に真宗本廟で営まれる春の法要に、鍵役として出仕する。(2017年3月31日号をご覧ください。 中外日報購読申し込み )
しまぞの・すすむ氏=1948年生まれ。東京大大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は宗教学。東京大教授、国際宗教研究所所長など歴任。現在、東京大名誉教授、上智大神学部特任教授・グリーフケア研究所所長。著書は『現代救済宗教論』『国家神道と日本人』など多数。 現代の伝統仏教の活動様態という点から話を始めよう。葬祭仏教が日本仏教の底力を支えているとも言える。曹洞宗寺院の出身だった歴史学者の圭室諦成が1963年に『葬式仏教』(大法輪閣)を刊行したとき、この考えが背後にあった。浄土宗の宗教史学者・宗教学者である伊藤唯真と藤井正雄が97年に『葬祭仏教』(ノンブル社)を編んだときも同様だろう。 それは確かにそのとおりである。葬祭において仏教寺院と僧侶が大きな役割を果たしてきた、そのことによる日本伝統仏教の強みは、今後もその力を発揮していくだろう。だが、葬祭仏教の強みを生かしつつも、その枠を超えて
まつお・けんじ氏=1954年、長崎県生まれ。東京大大学院人文科学研究科博士課程を経て、98年から山形大教授。東京大特任教授、ロンドン大アジア・アフリカ研究所客員教授なども歴任。専門は日本仏教史、中世史。元日本仏教綜合研究学会会長。『勧進と破戒の中世史』『仏教入門』『忍性』など著書多数。 今年7月23日から9月19日まで奈良国立博物館(奈良市)で「生誕800年記念特別展 忍性 救済に捧げた生涯」(以下、「特別展忍性」と略記)が開催された。今月28日から神奈川県立金沢文庫(横浜市金沢区)でも開催される。私は、8月6日に奈良博での公開講座の講師を務めたが、予想外に多くの聴衆が集まり、入場制限がなされるほどであった。良観房忍性(1217~1303)に対する認知度が、以前よりは高くなってきたことを実感できたのは喜ばしい。しかし、まだまだ忍性の業績が人口に膾炙されているとは言いがたい。そこで、忍性伝を
浄土真宗本願寺派と真宗大谷派が経典の差別表現をめぐって、それぞれ部落解放同盟中央本部および同広島県連合会と進めてきた協議がヤマ場を迎えている。浄土真宗の根本聖典である浄土三部経の一つ、『観無量寿経』に出てくる「是栴陀羅(旃陀羅)」の言葉をどう扱うか。協議の中では、この言葉を削除することなども話し合われたが、教団側には経典の変更はできないとする意見も根強く、両派の対応が注目されている。(萩原典吉) 削除か注釈明記か 『観経』は、苦悩にあえぐ王妃・韋提希の救いを説く経典。父王を殺害した王子の阿闍世が母の韋提希も殺そうとした時、家臣が「古来、悪王を倒して王位に就いた王子は多いが、母を殺した王子はいない。それは栴陀羅のすることだ」と諫め、阿闍世が思い直したとされる。「栴陀羅」はインドの被差別民を意味する。 解放同盟広島県連の岡田英治副委員長は「長い間、墓石に刻まれた『栴陀羅男』などの意味を知らない
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『宗教と文化の専門新聞 中外日報ホームページ:中外日報』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く