サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
www.fund-no-umi.com
日経電子版に「積立投資を複利で語るなかれ(大江英樹)」という記事が掲載されています。そこで筆者の大江氏は「そもそも『価格変動商品には複利の概念はなじまない』ということだ。」と書いています。 なじまないかどうかは僕にはよく分かりませんが、価格変動商品、すなわちリスクがある金融商品で複利計算をしたときに結果がどうなるかを計算したくて作ったのが「長期投資予想/アセットアロケーション分析 」なので、ぜひこの機会にこいつを紹介したなあと思って久しぶりにブログを書きました。 こいつを使えば、積み立て投資で複利で価格変動(リスク)がある場合の結果も計算できます。そういう計算をしてくれるツールがどこにもなかったので自分で作ったのですから。 複利っていうのは、要するに利子が利子を生むというやつですね。1年で7%増える金融商品があったら、1年後に100万円が107万円になって、2年後には107万円がさらに7%
投資信託などの運用益にかかる税金は現在のところ10%なのですが、この優遇税制制度は今年で終わり、来年からは20%に戻ります。そこで、優遇税制が終わる前にいったん投資信託を売却して10%の税金を払って、また買い戻す「クロス取引」で節税できるのではないか? という話が水瀬さんのところの記事「【お詫び】「今年中にクロス取引やっておくべき」は誤りでした。正しくは「今年中にクロス取引してはダメ」」で紹介されていました。 水瀬さんの記事では、計算した結果「ほとんどのかたはクロス取引してはダメ」という結論。「クロス取引によって節税効果が認められるのは、クロス取引後からの資産評価額が2.25倍以下の時に売却を行った場合である。」ということです。 でもなんか直感に反しますよね? 将来税率が上がるのなら、税率が低いうちにいったん税額を確定してもいい気がします。というわけで水瀬さんのところの計算を見てみると、た
ドル・コスト平均法がそれなりに役立つことは、前回のエントリ「ドル・コスト平均法はどれだけ役に立つか?」で分かりました。ただ、多くの解説で見逃している面があると思うのです。 ドル・コスト平均法について、まとまって解説していた中でいちばん参考になったのは、Allaboutの下記の2つの記事でした。 ・ドル・コスト平均法って万能? ・たかがドルコスト平均法!されど 最初の記事では、ドル・コスト平均法の欠点として「一直線に値上がりしている場合には、最初に全額を投資していた方が有利」という例を紹介。こういう相場のときには、ちょっとずつ投資するというドル・コスト平均法の欠点が表れますね。しかし、価格がジグザグに上昇する場合や、ジグサグに下降していく場合には、ドル・コスト平均法はそれなりに有利な投資法のようです。 ドル・コスト平均法についてのほとんどの解説は、このように「平均購入価格が低く抑えられる」「
金融商品の値段が上がったり下がったりするリスクがある場合、その上がったり下がったりだけでいつの間にか値段が下がっていくんだよ、危ないよ、という話を前回書きました。そしたら、もうちょっとちゃんと説明しなさいな、というコメントをいくつかいただいたので、頑張ってもう少しこのことについて書くことにしましょう。 実はずっと以前にも、リスクについて似たようなことを書いたことがありました。それは吉本佳生氏の書籍「金融機関のカモにならない! おカネの練習問題50」の内容を紹介した記事「リスクがあるとき、複利はひとり勝ちを生む」で、でした。 そのときの内容を、もういちど振り返ってみます。 このときの例では、1年後に株価が30%上昇するか、もしくは30%下降するような株を2年間運用したと想定しています。 こんな株を2年間運用した場合、結果は4通り考えられます。こんな感じ。 図で分かるように、4通りのうち3通り
期待リターンが0%の金融商品があったら、長期で保有しても結果はだいたい0%だと、普通はそう思いますよね? でもリスクがあると、そんなに都合よくいかない、という話を今回は書きます。 投資信託など金融商品の説明でよくあるのが「期待リターンが5%なら、長期では5%の複利が期待できます」という話。でもそうじゃない、リスクがあったら複利にならないんだよ、ということを僕はこのブログでずいぶん調べてきました。 なんでリスクがあると複利にならないのか、実はrennyさんの「コツコツと〜く #5」でそのたとえ話を少し話したので、それをこのブログでも書こうと思います。 ある金融商品を思い浮かべましょう。期待リターンは0%、ただし2分の1の確率で値段が10%上がったり10%下がったりする、という価格変動のリスクがあります。 これを長期で保有したらどうなるでしょうか? 期待リターンが0%だから、値段が上がったり下
長期投資をするなら、毎月一定額ずつ投資信託を買い付ける「積み立て投資がよい」と言われています。その積み立て投資をすると何が起こるのか? を丁寧に説明したのが本書。筆者の星野さんからご献本いただきました。 積み立て投資は、毎月少しずつ金融商品を買い付ける方法で、一定額ずつ買い付ける場合には「ドル・コスト平均法」と呼ばれたりします。 本書では、そのドル・コスト平均法での積み立て投資を行うことで、いかに安心して投資ができるかを具体的に示した点が特徴です。例えば、この表紙のグラフ。右肩下がりのグラフで最後にちょっとだけ上昇しています。こんな値動きの金融商品に投資した場合、いかにも損してしまっているようなイメージですが、実際に積み立て投資をした場合には、こんな値動きでも結果は儲かっているのだ!という驚きが、本書の最大の魅力。 このグラフでは、毎月1万円を10年投資するとして、最初の7年間は右肩下がり
今週、アセットアロケーションのシミュレーションができる「アセットアロケーション分析」ツールを大幅に強化したバージョンを公開しました。資産クラスにエマージング株式を加え、さらにこのアセットアロケーションで30年後にいくら増えているか、積み立てたらどうなるか、といったことが分かるようになりました。 2年前に「アセットアローケーション分析」ツールを初めて公開したときには、最大の売りは、いわゆる効率的フロンティア曲線が表示されて、自分のアセットアロケーションが効率的かどうかが一目で分かる、という点にありました。こんなグラフで。 このツールを公開して3カ月後、2008年の11月に、僕はブログにもらった読者からのコメントをきっかけにして、ある疑問「果たして投資信託のようなリスク資産は、複利で増えていくのだろうか?」の答えを求めてえんえんと金融工学の勉強へとはまっていくことになります。 その最初の記事が
ある金融商品の年率の期待リターンとリスクが分かれば、その金融商品を10年、20年と保有したときの期待リターンとリスクが計算できることを前回紹介しました。今回は、期待リターンだけではなく、中央値、最頻値も計算できることを紹介します。 10年、20年と長期における期待リターンとリスクの計算式を求める連載「リスク資産の複利確率」を続けていく過程で、1つの事実に気がつきました。それは、金融工学の一般的な前提である「ある金融商品の連続複利率の収益率が正規分布する」としたとき、リスクの分布が正規分布ではなく、対数正規分布になるということです。 ま、気付いてみればあたりまえのことなのですが。 これはどういうことかというと、ある投資信託の期待リターンが例えば5%だったとき、リスクはこんな風に上下に広がっていると考えるのが一般的です。期待リターンに対して価格が上ぶれするリスクも、下ぶれするリスクも同じように
このところ2つのインデックス関係のイベントに行って考えたことがあります。1つはマネックス証券で行われた、ピクテ投信の中国、ブラジルそれぞれのインデックス投信の説明会。そしてもう1つは、書籍「運用のプロが教える草食系投資」の著者3人による懇親会です。 マネックス証券で行われた説明会については先日のエントリ「ピクテ初のインデックスファンドはブラジルと中国。担当者「自分が欲しいものを作りました」」に書きました。 で、そのあとには草食系投資のイベント。これについては「長期投資でアクティブ型投資信託を選ぶ理由について考えた」で書きました。 そして僕は思いました。 例えば、インデックス投資とはいえ、「僕のアセットアロケーションはブラジルと中国のインデックスに全力投資です!」という人だっているかもしれませんよね。そういえば先日、梅屋敷で水瀬さんと話をしたときに例として挙がったのですが、「日経225のオプ
「運用のプロが教える草食系投資」の著者3人による懇親会の二次会でレオス・キャピタルワークスの藤野社長のお話をじっくり聞く機会がありました。そこで藤野社長からアクティブ型投資信託は継続的にインデックスを上回る方法がある、というお話を聞きました。 米国に、ピーター・リンチというファンドマネージャが運用し、10年以上に渡り素晴らしい運用結果を残し続けた伝説的なファンド「マゼランファンド」というのがありました(いまもあるのかな?)。 なぜあのファンドは継続的によい結果を出せたのか? 藤野氏は「継続的な資金流入があるかぎり、アクティブ型投資信託がインデックスを上回ることは可能だ」と説明してくれました。 説明いただいた内容を覚えている範囲で書いてみましょう。まず、ファンドの組み入れ銘柄の一部に、それほど流動性の大きくない銘柄を仕込んでおきます。そして、毎月流入してくる投資資金を継続的にそこへつぎ込み、
自分でアセットアロケーションをちゃんと考えるために計算してみたい、と思ったとき、必要なのは資産クラスごとのリスクやリターン、それに相関係数です。ところがこれを入手するのは簡単ではありません。インデックス投資が個人に広まるには、僕はこうしたデータを気軽に入手できる環境が必要なのではないかと以前から考えています。 それは以前のエントリ「アセットアロケーションの普及にはデータとツールが必要」でも書いたわけです。で、ここから一歩踏み出して、過去の資産クラスごとの時系列データがどれだけ入手可能なのかどうか、いろんな人に聞いたり自分で調べたりしましたので、ひとまずここで状況報告をば。 まず、どんな資産クラスの時系列データがほしいかといえば、以下あたりは押さえておきたいですよね。カッコ内はその資産クラスの代表的なインデックスです。 日本株式(TOPIX) 日本債券(野村BPI) 先進国株式(MSCIコク
過去のリターンの平均には、算術平均と幾何平均の2種類があり、この2つは異なる値を持つのであり、異なる目的で用いられる、ということを紹介してきました。 これまでの説明を振り返ってみましょう。例えば、5年間で次のように価格が変動した金融商品があったとします。左が変化率、右が基準価格を100としたときの価格です。 0年目 ±0% 100 1年目 +2% 102 2年目 +6% 108.12 3年目 -3% 104.8764 4年目 +1% 105.925164 5年目 -1% 104.86591236 このとき、過去5年のリターンの算術平均は1%、幾何平均は約0.95%です。それぞれ計算方法は次の通りです。 算術平均: 0+2+6-3+1-1=5、これを5年で割って1% 幾何平均: (5√(104.86592136)/100) -1 = 0.95477654%。つまりおおむね0.95% このとき
さて、以前の記事で「過去のリターンの平均」には、算術平均と幾何平均の2種類があるということに触れました。そして、算術平均で過去5年の平均リターンが1%だったとしても、幾何平均では過去5年の平均リターンは0.95%だったりと、両者が異なることを紹介しました。 そのときのエントリ「「過去のリターンの平均は5%です」←それ何の平均?」をちょっと復習。 例えば、5年間で次のように価格が変動した金融商品があったとします。左が変化率、右が基準価格を100としたときの価格です。 0年目 ±0% 100 1年目 +2% 102 2年目 +6% 108.12 3年目 -3% 104.8764 4年目 +1% 105.925164 5年目 -1% 104.86591236 グラフにするとこんな感じ。 このとき、毎年の平均の出し方として、 0+2+6-3+1-1=5、これを5年で割って1% これが「算術平均」。
リスクが同じでもリターンが大きくなれば、結果が悪くなる可能性が高くなる、ということを昨日のエントリ「リスクが高まるとリターンを蝕んでいく」で紹介しましたが、あのあと急に思い立ってプログラムを組んでみました。 前回の記事では、リスクが増えると20年後には高いリターンを得られる可能性が減少していくことを、エクセルのグラフで紹介しました。 例えばこれは期待リターン7%、リスク10%の投資信託を20年保有したときのグラフ。青い線は期待リターンどおりに複利で増えていったときの線。 これが、期待リターンは7%のまま、リスクを20%にすると、なんと最頻値が元本割れになる、つまりもっとも可能性が高いケースは元本割れである、ということになります。 で、こうしたグラフをご自身でも試せるようにとエクセルのシートを公開しました(probablity_distribution_of_20years.xls)。これを
投資信託のようなリスクのある金融商品を長期で保有したとき、期待リターンどおりになる確率はどれくらいなのか? について以前えんえんと連載で書いてきました。僕にとってはこのテーマはまだまだ続いていて、いろいろ考えを深めるためにエクセルで試行錯誤しているうちに新しいグラフを作ることに成功しました。 まずは結論から。表題通り、リスクはリターンを蝕むということがよく分かるグラフができました。以前書いたブログ「連載:リスク資産の複利確率(24)~リスクは結果のバラつきだけでなく、やはり危険度を表している」でも書いたことですが、あのときのグラフより分かりやすいはず。 これは期待リターン5%、リスク10%の投資信託を20年保有したときのグラフ。青い線は期待リターンどおりに複利で増えていったときの線。7%複利で増えると20年後には2.65倍になります。 でも、2.65倍に増える確率はどのくらいなのでしょう?
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」、実は投票者の責任が非常に重大だったことが判明! まだまだ続くインデックス投資ナイトのネタ。今回も「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」を振り返ってみます。これを読むと、あなたも「今年はブロガーになって投票したい!」と思うはず。 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」は1人5ポイントという持ち点を配分するという投票方式であるがゆえに、今年のランキングではこの投票方式特有のユニークな現象がありました。それは「投票者一人一人のポイント配分が非常に重要だった」ということです。今回はそれを取り上げてみたいと思います。 運営委員長のrennyさんが、今回の詳細な結果を「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」のWebサイトでレポートしてくれています
インデックス投資ナイトが終わってはや一週間。少し間が空いてしまいましたが、あらためて「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」の結果を振り返ってみたいと思います。 僕は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2009」の結果、すごく深いメッセージが込められていたように思います。それは、特に1位から5位まで上位に着目すれば一目瞭然でしょう。 1位:VT 2位:eMAXIS 新興国株式インデックス 3位:STAM グローバル株式インデックス・オープン 4位:STAM 新興国株式インデックスオープン 5位:eMAXIS 先進国株式インデックス ね。ここには低価格のインデックス型投資信託とETFしか入っていません。一般の投資信託に限ればeMAXISとSTAMの2種類しかありません。 要するに、ブログを書くような情報感度の高い投資家の注目は、自動的にこうし
住信アセットマネジメントが低価格なインデックス投資信託としてSTAMシリーズを発売し、多くのインデックス投資家から評価されてきましたが、ついにライバルが登場したそうです。 すでにrennyさんをはじめいくつかのブログで紹介されていますが、三菱UFJ投信からネット投資家向け投資信託の新ブランド「eMAXIS」が登場しました。日経225、TOPIX、国内債券、国内リート、先進国株式、先進国債券、先進国リート、新興国株式と、主立ったインデックスはすべて揃っています。 そして最大の特徴は、低い信託報酬です。信託報酬はすべてSTAMシリーズより低い割合に設定されており、明らかにSTAMシリーズを意識して設計されていることが分かります。 具体的に例をあげると、国内株式、国内債券、国内リートは信託報酬が0.42%、先進国株式、先進国債券、先進国リート、新興国株式は信託報酬が0.63%となっているわけです
世の中には「インデックス投資家」という人たちがおりまして、さらにその中にはブログを書いている「インデックス投資ブロガー」というさらに濃い人たちがおります。 などと他人事のように書いてはいますが、僕も「インデックス投資ブロガー」の一人だと見られているんですよね。 日経マネーに連載しているマネックスユニバーシティの内藤忍さんの今月の記事では、「インデックスブロガーから学ぶ投資の続け方」となっていて、僕たちインデックスブロガーについて紹介してくれています。 少し引用してみましょう。 下落局面でも淡々と続けることで結果を出してきたのが「インデックスブロガー」と呼ばれる個人投資家の人々です。 本業の傍ら、投資をしている人がほとんどです。彼らはインターネット上のブログを通して、自らの実践する投資法を公開しており、個人投資家の代表として手法が参考になります。 (略) インデックスブロガーの人たちは、お互
2月から半年近く連載を続けてきた「リスク資産の複利確率」も今回が最終回です。最終回ではこれまでを振り返りつつ総集編をお送りします。半年間の連載のダイジェストです。 ■問題提起 投資信託などの資産運用では、いま運用している資産の期待リターンとリスクがどれだけなのか、ということがしばしば問題になります。「自分に合ったリスクに抑えておきましょう」とか「そのリスクの範囲で期待リターンはできるだけ高い方がいい」とか、そういうことです。 そして、期待リターンとリスクは通常、1年間という期間で計算されます。例えば「1年間の期待リターンが15%、リスクが20%のポートフォリオ」などと。僕の作ったツール「アセットアロケーション分析」でも、アセットアロケーションを組み合わせることによって、期待リターンとリスクがどうなるのか、ということを過去のデータに基づいて計算することができます。 しかし僕たちは長期投資家で
連載:リスク資産の複利確率(28)~最終回「総集編」 2月から半年近く連載を続けてきた「リスク資産の複利確率」も今回が最終回です。最終回ではこれまでを振り返りつつ総集編をお送りします。半年間の連載のダイジェストです。 連載:リスク資産の複利確率(27)~これが合理的なリスクの取り方ではないのか! 高い期待リターンを求めて高いリスクをとってしまうと、結局のところ儲かる確率が下がってしまう。一方で、リスクを嫌ってしまうと期待リターンの高い商品はない。では一体どのようなバランスで期待リターンとリスクを考えればいいのでしょうか? 半年以上続けてきた超大型連載も、ついに今回で感動の大団円! 熱い涙でモニタが見えないぜ!
高い期待リターンを求めて高いリスクをとってしまうと、結局のところ儲かる確率が下がってしまう。一方で、リスクを嫌ってしまうと期待リターンの高い商品はない。では一体どのようなバランスで期待リターンとリスクを考えればいいのでしょうか? 半年以上続けてきた超大型連載も、ついに今回で感動の大団円! 熱い涙でモニタが見えないぜ! さて、これまでリスクのある金融商品というのは複利で増えることを期待したいけれど、実際には複利で増える確率はどう頑張っても完全に過半数以下であることが分かりました。それどころか、同じ期待リターンでもリスクが高ければ高いほど、複利で増える確率はどんどん減っていってしまうのです。 まさに、リスクは期待リターンの敵です。 例えば、期待リターンが4%、リスクが20%の金融商品の1年後と10年後の確率分布をグラフに描いてみると次のようになります。 この中央値の左右の確率がちょうど50%で
連載:リスク資産の複利確率(25)~期待リターンに対して、これ以上とってはいけないというリスクの上限がある 前回、期待リターンが同じでもリスクの大きさが変わることで、長期投資の結果が上昇しやすくなるのか、それともそれほど上昇せずに終わるのか、はっきりと確率が変わることを、グラフのピークの位置が変わることで視覚的にみてきました。 どうやら長期投資では、「リスクが高まると、損する確率が高まり、儲かる確率は低まる。ただし儲かった場合の儲けはでかくなるため、期待値は高まっていく」ということが分かりました。 今回はそれをもう少し詳しくみていくことにしましょう。高いリターンを得るには多少なりともリスクをとらなければなりません。リスクをとりたくないなら定期預金の金利で我慢するしかありません。 しかしリターンを得るためにリスクをとりすぎると、前述のように損する確率が高まっていきます。ある期待リターンに対し
前回は、「長期でみれば、リスクのある金融商品は複利で増えることが期待できる」という、よくいわれる説明が実は誤りだった、ということを見てきました。それは、対数正規分布の特徴から導き出せたのですが、それ以外にも大事なことが分かってきました。 なんどかこの連載で例に出してきた、期待リターン5%、リスク30%の金融商品があったとき、5年後、10年後のリターンはどうなっているか? を予測したグラフを見てみましょう。赤い線が1年後、水色の線が10年後です。 これは「連載:リスク資産の複利確率(21)~新しいシミュレーションを試してみる」で行ったシミュレーションの結果のグラフです。数式でもほとんど同じグラフを描けますが、このグラフで注目したいのは、ピークが左へ移動してるじゃないか!ということです。 もちろん、グラフは年を重ねるごとに左右に広がっていって、右にも広がっているということは順調にお金を増やせた
株式や投資信託のように株価が変動する金融商品を長期保有した場合、果たして複利で増える確率はどうなるのか? を徹底的に調べ続けるあの連載が、はやくも帰ってきました! 前回の連載の最終回「まとめ:もしくは再検討の予告」からいろいろと調査や勉強をして、またいろいろとブログに書ける内容がたまってきたので、時間をやりくりして連載を開始することにしました。 今回はその連載をはじめるにあたり、あらかじめ目的と前提を整理しておきたいと思います。 この連載「リスク資産の複利確率」の目的は、投資信託のようにリスクがある金融商品を長期保有したとき、本当に複利で増えることを期待していいのだろうか? ということを知ることです。リスク資産を長期保有したときに、複利以上に増える確率はどれくらいなのか(逆にいえば複利以下になる確率はどれくらいなのか)、シミュレーションを行い、できれば確率を表す計算式を求めたいと考えていま
ついに、リスクのある金融資産の期待リターンとリスクが分かれば、自動的に数年後のリターンとリスクも計算できるという公式を前回明らかにしました! 今回はその公式から、長期投資家にとって残念な結果を導き出してしまいますorz。 今回は、結論を先に書いておきます。 結論:よくみかける、「長期でみれば、リスクのある金融商品は複利で増えることが期待できる」という説明は誤りです。 さて、前回のエントリ「最も重要な公式、N年後の確率分布を求める式を記す」で書いた公式(の前半)は、このようなものでした。 ある金融商品の期待リターンとリスクが分かっている(期待リターンは年率)。そして、リスクのある金融商品の連続複利率の収益率が正規分布するとき、以下の式が成り立つ。 N年後の価格(分布) = e正規分布(μ×N、σ×√N) μとσは、金融商品の(期待リターン+1)をm、リスクをsとした以下の式を用いて求める。
元本が1万円、期待リターンが年10%、リスクが30%の金融商品があったとします。この金融商品の20年後のリターンとリスクを教科書どおりに計算してみましょう。 金融工学はしっかりとした学問ですから、当然のように教科書や参考書のようなしっかりとしたテキストが数多く存在します。例えば、僕が買ったことのある本では日本証券アナリスト協会編「証券投資論」、ツヴィ・ボディ著「証券投資(上)(下)」などがあります。 僕はこれまで本屋さんんで立ち読みしたり、実際に購入したりしてこうした専門家向けの本に何冊も目を通してきたのですが、1年間やもっと短い期間での金融商品のリスクとリターンを扱った計算は数多く出てくる一方で、僕が知りたくてこの連載で調査している、長期保有した場合のリターンやリスクの求め方についての解説を見つけることはできませんでした。 そんななか、長期でのリスクの計算式をばっちりと載せてくれた本を見
ほぼ1カ月にわたってえんえんと「長期保有した投資信託のリターンとリスクはどうなるのか」について調べてきたこの連載も、今回と次回でひとくぎりです。これまでに分かったこと、分からなかったことをまとめます。 今回は前編として、分かったことを1つの図にしてみました。 まず、時間がたつにつれてリターンは一定の利回りに収束する、なんてことはなくて! とりうるリターンの値の幅はどんどん広がっていきます。すごくアンラッキーなリターンから、すごくラッキーなリターンのあいだのどこかに、僕たちのリターンは位置するのです。ただし、そのどこに位置するかはもちろん予想できません。 そして時間がたてばたつほど、その取りうるリターンの範囲はどんどん大きくなっていく、つまりリスクは大きくなっていきます。 とはいえ、そのリターンがどこに位置する可能性が高く、どこに位置する可能性が低いかは、確率として予想することができます。そ
TOPIXを20年保有しつづけても、元本割れリスクが30%もあるというのが前回のシミュレーションの結果でした。今回は別のインデックスでシミュレーションしてみましょう。 まず外国株式でシミュレーションしたらどうなるでしょうか。今回も前回同様に、厚生年金と国民年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人が発表しているリスクとリターンを基にシミュレーションしてみましょう。 外国株式(恐らくはMSCIコクサイ指数)の期待リターンは5%、リスクは19.59%です。TOPIXの期待リターンは4.80%、リスクは22.15%でしたから、外国株式はリターンはやや高く、リスクはやや低くなっています(さすがは国際分散投資ですね)。さっそく、この外国株式の期待リターンとリスクを基に3000回のシミュレーションを繰り返した結果が下記です(対数正規分布に従うと仮定)。ばらつきのグラフを見てみましょう。 グラフを
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『投資信託のブログ|ファンドの海』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く