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第十三回 「飛ばす人」への焦点化が国民映画作家の遠近法を狂わせる 『風立ちぬ』 © 2013 二馬力・GNDHDDTK 『風立ちぬ』 全国東宝系大ヒット公開中! 原作・脚本・監督:宮崎駿 2013 / 126分 配給:東宝 君が高く飛ぶとき、人から君は小さく見えるとニーチェは書いた。自分が特別だと信じている人間にとっては民衆がちっぽけな存在に見えるというわかりやすい通念を転倒させて、優れた個人の尊い行ないを民衆はしばしば無理解から嗤うものだと定式化してみせたのである。このいかにもニーチェらしい逆説が陳腐化された果てに、クリストファー・ノーランによる『ダークナイト』(2008)の空虚な自己荘厳化が現れることになるが、さしあたりそれは別の話だ。今、ここで述べようとしているのは、文字どおりに高く飛ぶ人と、そのような才能も手段も持ちあわせていない地上の民衆とを一貫して両極に配することで
第十一回 映画の存立さえ危うくしかねない「真実の声」に導かれて 『リアル〜完全なる首長竜の日〜』 © 2013「リアル~完全なる首長竜の日~」製作委員会 『リアル~完全なる首長竜の日~』 全国東宝系で公開中 監督:黒沢清 2013 / 127分 配給:東宝 テレビのために撮られた昨年の『贖罪』を除けば『トウキョウソナタ』(2008)以来となる黒沢清の新作が佐藤健と綾瀬はるか主演と聞いて、『回路』(2001)での加藤晴彦と小雪の組みあわせを思い出さずにはいられなかった。ことに綾瀬はるかの四肢の長いすらりとした透明感のある佇まいは、中谷美紀や小西真奈美など、近年顕著な黒沢的女優の系譜にあきらかに属しており、映画を見る前からロング・ショットの室内を端から端へ、浮遊するように足音も立てず通りぬけていく彼女の姿が目に浮かんだものだ。配給が東宝というのも『回路』以来のことで、何かまた、新し
第八回 リムジンの走行とともに2人のカラックスが激しくせめぎあう 『ホーリー・モーターズ』 © Pierre Grise Productions 「ホーリー・モーターズ」HOLY MOTORS 監督:レオス・カラックス 2012 / 115分 配給:ユーロスペース 4月6日よりユーロスペース、梅田ガーデンシネマにて公開 全国順次ロードショー 5月、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターにて公開 どうしてそんなことになるのかさっぱりわからないのだが、この春、都内のミニシアターでは、馬鹿馬鹿しいほど車長を引き伸ばされた真っ白なリムジンが、少なくとも2台、都市のただなかを走りまわることになるらしい。そのうえどちらのリムジンも、互いに直接の関係はなさそうだというのに、揃って24時間以内にすべての走行を終えるのだから、この偶然には薄気味の悪いものを感じないでもない。 最初の1台に乗
発掘された自主映画 これまで見ることができず幻だった映画を発掘して上映する。 市山隆次の『養護学校はあかんねん!』は、永らく持ち主と連絡が付かず上映の機会が絶たれたままであったが、今年になってプリントが関係者から神戸映画資料館に持ち込まれてきた。 加藤重二の『ばいばいあげいん』と『ロックアウト』は70年代末に大阪で作られた純粋な大阪映画だが、近年は上映される機会はなく忘れ去られていた。当時の「プレイガイドジャーナル」誌に華々しく紹介されたに伝説の2作品を、今は文筆家として活躍する加藤監督から入手して再上映が可能となった。 NDUの井上修とルポライターの竹中労が組んで作った『アジア懺悔行』と『山上伊太郎ここに眠る』は、題名のみキネマ旬報連載の「日本映画縦断」で知られていたが、実際に映画を見た人は極めて少ないのが実情だった。今回、井上修の努力でプリントが発見されついに上映が実現する。
伝説の映画集団NDUと布川徹郎 60年代末から70年代を疾走したNDU(日本ドキュメンタリストユニオン)の主要メンバー布川徹郎が今年2月に亡くなった。NDUは広河隆一(現「DAYS JAPAN」編集長)と立ち上げた早大カメラルポルタージュ研究会を出発点として、70年代の日本のドキュメンタリーを牽引した早大中退者で作る映画創作集団である。 これらの作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭で時折上映されたり、各地で希に自主上映されたりするものの、まとめて見る機会は少なかった。今回は、NDUと布川作品を一挙上映する。 ──安井喜雄(プログラムディレクター) 10月21日(日)16:00〜 鬼ッ子 闘う青年労働者の記録 (1969/78分/16mm) NDU作品 米軍燃料タンク輸送阻止の闘いを主に、ベトナム反戦、反合理化闘争、日米安保阻止を旗印に共闘する青年労働者の姿を追う。
第一回 映画において「撮るな」という禁止はまともに機能しない 『これは映画ではない』 ©Jafar Panahi and Mojtaba Mirtahmasb 『これは映画ではない』In Film Nist/This is not a film 9月、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開 監督:ジャファル・パナヒ、モジタバ・ミルタマスブ イラン / 2011 / 75分 配給:ムヴィオラ 「撮るな」という禁止の命令ほど映画においてあてにならないものはない。いくら性交を撮るな、性器を撮るなといったところで、大島渚が『愛のコリーダ』で世間を騒がせるはるか以前から、誰も全貌を把握できないほど夥しい量のブルーフィルムが地下で流通していたことは周知の事実だし、婚前交渉を撮るな、犯罪者を魅力的に撮るな等々と、表現上の禁止項目を延々と羅列したハリウッドの
今月の一冊 このコーナーでは、新規収蔵した書籍を紹介していきます。 原則的に新刊で、神戸映画資料館で新規購入したもの、あるいは、寄贈を受けた本を取り上げます。 是非、神戸映画資料館の閲覧室(神戸プラネットシネマ倶楽部会員限定)でご覧ください。 « 「映画論講義」 | メイン 「アニメーションの映画学」 編者:加藤幹郎 出版社:臨川書店 発行年月:2009年2月 本格的なアニメーション研究の出版をまずは何よりも喜びたい。本書は、タイトルの示すとおり、広く古今東西のアニメーションを対象に、映画学の観点から分析を行う6本の論文を収めた論文集である。6本のうち、2本は英語の論文の日本語訳、4本は日本語の論文で構成されている。日本においてはこれまで、概論や通史の紹介や、日本のアニメーションに関する仕事は徐々に蓄積されてきたが、国内外の短編やインディペンデント作品を含むアニメーション全般に目
兵庫県商店街活性化事業(2006-2008年度) 事業主体:新長田まちづくり株式会社 運営:神戸プラネット 協力:神戸市 今月の一冊 このコーナーでは、新規収蔵した書籍を紹介していきます。 原則的に新刊で、神戸映画資料館で新規購入したもの、あるいは、寄贈を受けた本を取り上げます。 是非、神戸映画資料館の閲覧室(神戸プラネットシネマ倶楽部会員限定)でご覧ください。 « 「恐怖の対談:映画のもっとこわい話」 | メイン 「映像身体論」 著者:宇野邦一 出版社:みすず書房 発行年月: 2008年3月 見えるものである映像(イメージ)は、見えないものという深淵の中に浮かびあがると本書の冒頭で著者は言う。本書『映像身体論』において映画とは、スクリーン上に投影されてある映像なのであるが、それが常に見えないものである身体を覆い隠してしまう、ある意味で否定的なものとして定義されている。というの
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