木星の大赤斑縮小にドロテア・ワットが関わっていることはSF読みにとっては周知の事実であって、私もまたそのように思わずにはいられない内の一人である。id:hageatama-の「10巻終了時には日本SFが1つの金字塔を打ち立てる生き証人になれます」という言葉を信じて読み始めた天冥の標であるが、1巻、2巻と読了していくたびに果たしてそれほどのものだろうかという疑念を払拭できずにいた。あとがきに「できることを全部数え上げた上で、できるかどうかわからないことや、やったことのないことをさらに盛り込んで、この話にしたという次第です」とあるように、1巻1巻趣向を凝らしたお話は非常にエンターテインメント性にあふれ、小川一水全部盛りといっても過言ではないだろう。しかしそれでも、それでももうひとつ何かが足りないとそう思っていた。第7巻、新世界ハーブCを読むまでは。 天冥の標7巻、それはようやく1巻冒頭へと繋が