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2023年から継続的に実施している「生成AIに関する実態調査」では、前回(2024春)の米国との比較により、日本企業が直面する課題を浮き彫りにしました。今回は新たに中国、英国、ドイツを調査対象に加え、世界における生成AI活用の潮流の中での日本の現在地を多角的に明らかにしています。日本は活用の推進度こそ平均的ですが、他国に比べて効果創出の水準が低くとどまっています。高い効果を上げている企業はいずれの国でも、生成AIを単なる効率化ツールではなく、業務や事業構造の抜本的改革の手段と捉え、業務プロセスへの本格的な組み込み、ガバナンス体制の整備、従業員への価値還元に取り組んでいます。日本では、このような先進的な取り組みを実現する企業の割合が少なく、それが全体としての成果の差となって表れています。今後は、経営層のリーダーシップと挑戦を後押しする環境づくり、そして変革を支える組織的マインドの醸成が不可欠
はじめに 近年、脆弱性の件数は右肩上がりに増加しており、直近10年間で見ると共通脆弱性識別子(CVE:Common Vulnerabilities and Exposures)発行件数は2015年が6,472件であったのに対して、2024年には34,553件と5倍以上に増加しています。対応すべき脆弱性が多すぎる故に既存の脆弱性管理プロセスでは運用が回らないケースが増えており、各組織では脆弱性管理プロセスにおける判断基準の見直しを行うケースが増えています。本稿では、脆弱性管理プロセスにおける判断基準として新たに活用できる指標がないかを探るため、直近2年間でCVEが発行された脆弱性のうち、実際に悪用が確認された脆弱性に対して一定の傾向が存在しないか分析を行った結果について解説します。 分析における前提条件 分析の対象は以下のとおり設定しています。 2023年1月~2025年1月の間にMITRE
インシデント検知から1週間以内に公表する企業は半数を超える 「サイバー攻撃被害に係る公表」に関する国内組織実態調査 第2回 1. はじめに ビジネスへのサイバー脅威が高まる中、サイバー攻撃被害(以下「インシデント」)時に情報を公表することは、ビジネスへの影響や風評被害を軽減する上で非常に重要です。また昨今、グローバルにおいてインシデント報告を求める法規制が強化される傾向にあり(図表1)、2023年は米国証券取引委員会(SEC)によるSEC登録企業へのサイバーリスクやインシデント報告の義務化1が話題を集めました。 今後、国内組織にはサイバーインシデントや個人情報漏えいについて「対外公表の迅速化」や「内容の適切化」が一層求められていきます。セキュリティ責任者は風評被害などの影響を最小にとどめ、事業継続を図るために、平時からインシデント発生時における対外公表の準備をしておく必要があります。そのた
有識者会議の成り立ち 近年、サイバー攻撃の増加や高度化に伴い、「社会全体でのサイバーセキュリティの確保」が求められています。日本国内では、政府が主導してサイバーセキュリティ対策の強化を進めており、関連するさまざまなガイドラインが策定されています。また、企業や組織においても、サイバーセキュリティの重要性が高まる中で、対応能力の向上が急務となっています。 「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」は、国家安全保障戦略(2022年12月16日閣議決定)に基づき、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるべく、当該分野における新たな取り組みの実現のために必要となる法制度の整備などについて検討を行うために立ち上げられました。 提言における「実現すべき具体的な方向性」 冒頭に記載したとおり能動的サイバー防御は、従来の防御壁を築いて攻撃を止めるサイバー防御とは異
デジタルおよびAI技術の急速な進展に伴い、営業フロント業務の生産性向上と新規ビジネスの創出機会は飛躍的に拡大しています。しかしながら、営業組織における人材不足は質・量ともに深刻な課題として存在します。特に国内B2B市場においては、限られた人員でのリード創出と、従来以上のビジネス獲得および維持、さらに潜在的な顧客課題・複雑化する顧客ニーズを的確に捉えた課題解決力が強く求められています。 PwCコンサルティングは、この課題に対して生成AIを活用した高度な解決策を提案し、営業業務の効率化・高度化を支援します。 営業現場への生成AI導入の壁 PwCコンサルティングが実施した「生成AIに関する実態調査2024春」では、企業における生成AIの認知度、活用状況、現状の課題が明らかになりました。これに加えて、企業のB2B営業領域における生成AI活用の推進担当者からは、特に営業現場における生成AIツールの活
(%、変化率) 総合 生鮮除く総合 生鮮エネ除く総合 食料エネ除く 総合 エネルギー 前年比 前月比 前年比 前月比 前年比 前月比 前年比 前年比 2022年 10 3.7 0.4 3.6 0.4 2.5 0.4 1.5 15.2 11 3.8 0.4 3.7 0.4 2.8 0.4 1.5 13.3 12 4.0 0.4 4.0 0.4 3.0 0.3 1.6 15.2 2023年 1 4.3 0.4 4.2 0.3 3.2 0.4 1.9 14.6 2 3.3 -0.6 3.1 -0.7 3.5 0.4 2.1 -0.7 3 3.2 0.3 3.1 0.3 3.8 0.4 2.3 -3.8 4 3.5 0.4 3.4 0.4 4.1 0.4 2.5 -4.4 5 3.2 0.1 3.2 0.1 4.3 0.3 2.6 -8.2 6 3.3 0.3 3.3 0.3 4.2 0.2 2.
2024年4月に実施した日本における生成AI実態調査から枠を広げ、同じ調査項目を用いて米国での生成AIに関わる実態調査を2024年5月に実施しました。本レポートでは日本と米国の活用、ガバナンス実態の比較を行っています。日本企業は生成AIを既存業務効率化に適用することで人手不足解消や人員削減を行い短期的なコスト効果創出に注力しているのに対して、米国企業は生成AIならではの新しい顧客体験を創出しながら、得られた効果を新規事業へ投資し、イノベーションサイクルを回すことで、新たなビジネスを生み、持続的な企業成長と競争優位性を担保することを狙っています。生成AIを活用した新規事業創出や価値創造のために、今後、日本企業は、挑戦する人材に権限を与え、リスク管理を徹底し、マネジメント層のリソースを高付加価値業務へシフトする必要があると考えられます。 はじめに PwC Japanグループは、「生成AIに関す
2040年問題とは 2040年問題とは、高齢化と人口減少が進行する中で予想される一連の社会的・経済的問題を指します。国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年代の日本では、全人口が1億1千万人ほどになり、団塊ジュニア世代が65歳を迎え、総人口に占める高齢者の割合が過去最大の約35%以上に達し、さらに後期高齢者である75歳以上の人口は20%以上にまで上昇すると試算されています(図表1)。 その時期には、高齢化による高齢者人口の増加と、少子化による労働人口の急減が同時進行で起こり、生産年齢人口(15~64歳)は2040年には55.1%まで低下する見込みで、2025年の推計と比較するとさらに約1,100万人減少し、日本経済や社会保障の維持が危機的状況に陥るとされています。 高齢者の急増に伴い医療・介護、福祉など公共サービスの需要が急増する一方で、生産年齢人口の減少により納税者は減少し、社会
1. CASEの解像度を上げることで浮かび上がるSDV モビリティ業界では近年、SDV(Software Defined Vehicle)という言葉が急速に広まっており、一般メディアでも日常的に取り上げられるようになりました。2016年にCASE*1という言葉が広がり始め、その後CASEを実現するためにAI技術の革新、サイバーセキュリティ対策、高性能半導体技術、コネクティビティの進化、サーキュラーエコノミー対応などさまざまな要素に分解されていきました。このように、CASEという言葉の解像度を上げた結果、重要な要素の1つとしてSDVという言葉が浮かび上がり、SDVの実現なくしてCASEおよびモビリティエコシステム変革の実現はないと言われるほどになりました(図表1)。 2. SDVとは何か a. SDVはモビリティそのものではなくエコシステムであり、その中心はユーザーである 自動運転車のSAE
参加者 明治大学 政治経済学部 教授 飯田 泰之氏 PwCコンサルティング合同会社 チーフエコノミスト 片岡 剛士 PwCコンサルティング合同会社 シニアエコノミスト 伊藤 篤 「財政政策とは、政府の負債の規模を決めること」 伊藤: 前回の議論では大幅な需要不足ではないことを踏まえた財政政策が必要ではないか──というところまで話が及びました。一方で世間では日本の財政状況は危機的であると懸念する声も根強くあります。折しも金融政策では変化の兆しが観測されるなか、いま私たちは日本の財政状態をどう考えていけばよいのでしょうか。 飯田: 「財政の危機」という表現は確かにあちこちで使われますが、広く共有された「危機」の定義があるわけではなく、その中身は極めて曖昧です。報道などでは「国の借金」という言葉もよく見かけます。ただしそこで語られる数字にはいくつかの算出根拠があって、「国と地方の公債等残高」は1
参加者 明治大学 政治経済学部 教授 飯田 泰之氏 PwCコンサルティング合同会社 チーフエコノミスト 片岡 剛士 PwCコンサルティング合同会社 シニアエコノミスト 伊藤 篤 世界が期待する日本の再起 伊藤: 飯田先生はマクロ経済学の実証分析が専門で、経済政策の効果予測や事後評価に統計モデルを駆使して携わってこられました。近年は経済のマクロ的状況が地方・地域に与える影響から、地域経済のプレーヤーである中堅・中小企業の実態や人材育成の実情にまで研究の幅を広げています。 日本経済は、賃金や株価の面で30年ぶりとなる改善の動きがみられる一方、賃金から消費への好循環には至っておらず、デフレ脱却は依然として課題となっています。本日はこの点を踏まえて議論を深めたいと思います。まず、激動する国際環境のなかで日本経済が置かれた新たな立ち位置について、現状認識を共有しておきたいと思います。まず飯田先生から
はじめに 2024年5月21日、生成AIを含む包括的なAIの規制である「欧州(EU)AI規制法」が成立し、8月1日に発効となりました。今後、規制内容に応じて2030年12月31日までに段階的に施行されていきます。 本規制では、リスクベースのアプローチが採用されており、AIをリスクの程度で分類し、その程度に応じた規制が適用されます。また、EU域内に所在していない日本企業であっても、EU域内でAIシステムを上市する等のプロバイダーに該当する場合、本規制の適用を受けます。そして、本規制に違反した場合には、その違反類型に応じて、全世界売上ベースでの制裁金が定められています。なお、生成AIの急激な進化と普及を受け、生成AIに対する規制等が追加されています。 企業は新たな規制を理解し、その施行に向けての対応に今から着手する必要があるといえるでしょう。 そこで、本コラムでは、初めての国際的な包括的AI規
高度なセキュリティ対策を実施していると思われる組織であっても、遠く海外の攻撃者からインターネットを通じたサイバー攻撃により組織内部のネットワークに深く侵入され、重要な情報が搾取されたり、システムが止められたりすることが連日、報道されています。このような報道を目にして、いつ自分の組織がこのような事態になるかもしれないと考えている経営者は少なくないのではないでしょうか。経営のテクノロジーやサイバー空間への依存度がますます高まっている現在においては、それが適切な感覚と言えるでしょう。 サイバーセキュリティへの対応は、いつ、何が起こるかわからないという不確実性に対するマネジメントの一要素と言えます。毎年の初めに世界経済フォーラム(World Economic Forum)から発表される「グローバルリスク報告書」においても、サイバー攻撃は発生可能性が高いリスクとして常に注目されています。 サイバーセ
(%、変化率) 総合 生鮮除く総合 生鮮エネ除く総合 食料エネ除く 総合 エネルギー 前年比 前月比 前年比 前月比 前年比 前月比 前年比 前年比 2022年 6 2.4 0.2 2.2 0.2 1.0 0.3 0.2 16.5 7 2.6 0.4 2.4 0.4 1.2 0.3 0.4 16.2 8 3.0 0.3 2.8 0.4 1.6 0.3 0.7 16.9 9 3.0 0.3 3.0 0.4 1.8 0.4 0.9 16.9 10 3.7 0.4 3.6 0.4 2.5 0.4 1.5 15.2 11 3.8 0.4 3.7 0.4 2.8 0.4 1.5 13.3 12 4.0 0.4 4.0 0.4 3.0 0.3 1.6 15.2 2023年 1 4.3 0.4 4.2 0.3 3.2 0.4 1.9 14.6 2 3.3 -0.6 3.1 -0.7 3.5 0.4 2.
2023年10月の前回調査から半年の期間が経過した今回の実態調査では、関心度・推進度が継続して高い水準を維持しており、各社、効果創出に向けた試行錯誤の時期に入っていることが推察される結果となりました。一方で、得られた生成AIの活用効果に対する当初期待値との差分を問う質問については、「期待を大きく上回る成果を上げた」と「期待を下回る結果になった」とで回答が分かれてきており、生成AI活用による成果の二極化の兆しが感じられます。 生成AIで期待を超える成果を生み出している企業は、生成AI技術の可能性とその技術活用により起き得る未来を経営層が理解して経営ビジョンに組み込んでいること、また、既存業務の効率化にとどまらない業界構造変化を意識した目線の高さを持って、適切な投資を促し早期から活用を推進していることがうかがえます。また生成AIをどういった業務で活用するのかといった「ユースケース設定」が、生成
「自治体のクラウドジャーニーの成功に向けて今なすべきこと」と題して、自治体におけるガバメントクラウド移行の“これまで”と“これから”を考察する全5回の連載コラムです。前回までのコラムもどうぞご覧ください。 第1回 旅路の始まり 第2回 自治体と金融機関の“クラウドジャーニー”の違いを考察する 自治体のクラウドジャー二ーの中で取り残されるコスト削減の取り組み 本連載「自治体のクラウドジャーニーの成功に向けて今なすべきこと」の第2回では、金融機関における取り組みと比較することで、“自治体のクラウドジャーニー”において求められる「移行期限」と「移行対象」という2つの特異な点がクラウドのメリットを十分に享受する上での大きな阻害要因となっていることを明らかにしました。 一般的に、システム開発やシステム移行を進める際は、発注者とシステム開発者はQCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、Del
他業界のクラウドジャーニーに目を向ける 本連載「自治体のクラウドジャーニーの成功に向けて今なすべきこと」の第1回では、ガバメントクラウド移行に関して、国が考えている真の狙いと現状を整理しました。現時点ではガバメントクラウド移行により期待されたコスト削減効果は十分なレベルに至っておらず、その背後には“さまざまな要因”が潜んでいることが伺えるという状況でした。 この“さまざまな要因”の真相に迫るにあたっては、他業界における一般的な“クラウドジャーニー”の様子を知り、ガバメントクラウド移行の特異な点を明らかにすることがポイントとなるとPwCコンサルティングは考えます。 では、どの業界の“クラウドジャーニー”を参考とするのがよいでしょうか。業界を選ぶ観点として、業務特性およびシステム特性の類似性に着目しました。 自治体業務は地域コミュニティとの連携が求められます。全国約1,700の自治体の各地域に
自治体のクラウドジャーニーの羅針盤 現在、全国の自治体において、大規模なクラウド移行が進んでいます。具体的には、まず2021年9月1日に「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が施行されました。この中で、全国の自治体は、標準化対象20事務 について標準化基準に適合した情報システム(標準準拠システム)を利用することが義務付けられました。また、2022年6月7日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を受け、全国の自治体はガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ円滑かつ安全に移行できる環境を原則2025年度末までに整備するよう、さまざまな取り組みを進めています。 自治体に限った話ではありませんが、組織におけるクラウド移行の様子は“クラウドジャーニー”と表現されます。クラウドへの移行、そしてその後の利活用の様子は、まさに“ジャーニー=旅”という表現が適しています。皆さ
「サイバーセキュリティおよびプライバシー情報開示」に関する日米投資家の意識調査2024 ――米国投資家の9割が「サイバーセキュリティ情報開示」を投資判断の1つとして捉え、「取締役会の関与状況」を最も注視 はじめに 現代のビジネスにおいて「サイバーセキュリティ」は重要課題です。とりわけサイバーインシデントは、企業の業績、信用、評判にマイナスの影響を及ぼすだけでなく、投資家にも損失をもたらします。このため、世界の投資家や格付け機関において、企業のセキュリティリスク評価への関心*1が急速に高まっており、近年、各国政府機関においても投資家との対話機会創出のため、サイバーセキュリティやプライバシーに関する情報開示の規制やガイドラインを強化する傾向にあります。米国においても、米国証券取引委員会(SEC)が2023年7月に公開した新たなサイバーセキュリティ開示規則*2が、同年12月より順次適用*3されて
はじめに NIST(National Institute of Standards and Technology、米国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワーク(以下、CSF)は、組織がサイバーセキュリティリスクを適切に管理するための手引きとなるベストプラクティスを提供しています。 2024年2月に発表されたCSF バージョン2(以下、CSF 2.0)では、バージョン1.1(以下、CSF 1.1)から重要な改定が行われました。これまで「国家や経済の重要なインフラに対するサイバーセキュリティ」を目的としていたものから、「全ての規模・全てのセクターの組織で利用される目的」にその対象を拡大しました。 今回、PwCコンサルティング合同会社はNISTから翻訳の許可を取得し、日本語訳を公開することになりました。以下よりダウンロードいただけます。 グローバルにビジネスを展開する組織は、最新の
人口増大、気候変動、地政学リスクなど、世界規模で新たな社会課題が次々と起こり、企業の持続可能性に大きな影響を及ぼしています。VUCA時代とも言われるこの不確実な現代において、企業を取り巻くマクロ環境についてはテクノロジーを活用することなどにより、今後の見通しを一定程度予測し、かつ説明することは可能です。しかし、世の中にあふれる多様かつ膨大な量の情報を適切に解釈することは困難であり、そのための羅針盤が今、必要とされています。
2023年5月の前回調査から半年の期間が経過した今回の実態調査では、生成AIに対する認知・推進度合いが大幅に向上し、生成AIの急速な普及を実感する結果となりました。一方で生成AI活用推進のモチベーションが「他社に負けないこと」にあることや、多くの企業が人材・ノウハウ不足に直面していることなど、新たな課題も見えてきました。また、半数以上の回答者が今後1年以内の生成AI本格導入を検討しており、生成AI活用による成果が問われるタイミングが訪れていることも明らかとなりました。日本企業が生成AIを効果的に活用し、国際的に競争力を持つためには、単なる業務効率化を超えた価値創造の模索やそのための業務プロセスそのもの見直し、人材の育成、ガバナンス体制の整備などが重要と考えられます。 はじめに 2023年5月に前回の実態調査を公表して以来、さまざまな生成AIのツールやアプリの登場、G7広島サミットでの広島A
はじめに EPSS(Exploit Prediction Scoring System)は、脆弱性対応の優先度を判断するための指標としてFIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)によって開発されている仕組みで、今後30日以内に脆弱性が悪用される蓋然性を一定の計算式によって算出するものです。脆弱性管理においてしばしば用いられるCVSS(Common Vulnerability Scoring System)が脆弱性そのものの深刻度を評価するのに対して、EPSSはあくまでも蓋然性のみを算出する全く別の仕組みです。EPSSは2019年8月に開発が開始され、2022年2月に現在のメジャーバージョンであるEPSS v2が公開されています。その後も日々スコアリングのロジック改善が行われています。 本稿ではEPSS v2について、その仕組みや
米国商務省の国立標準技術研究所(NIST)は2023年1月、AI技術のリスク管理のためのガイダンスである「AIリスクマネジメントフレームワーク」(AI RMF)を発表しました。日本の組織にとって非常に有益なドキュメントであるAI RMFについて解説します。 はじめに 米国政府は、AI規制についてソフトローによるガバナンスやエンフォースメントで対応を進めています。つまり、EUのハードローによる厳格な法規制とは異なり、ガイドラインなどによる緩やかな規制への誘導という戦略をとっています。 こうした考え方の下、米国商務省の国立標準技術研究所(NIST)は2023年1月、人工知能(AI)技術のリスク管理のためのガイダンスである「AIリスクマネジメントフレームワーク」(以下、「AI RMF」)1を発表しました。AI RMFは以下の点において、日本の組織にとっても非常に有益なドキュメントであると言えます
CVSS(Common Vulnerability Scoring System)は、脆弱性管理における基本的な仕組みとして広く利用されており、業界全体のデファクトスタンダードになっています。CVSSはFIRST(Forum of Incident Respones and Security Teams)内に設置されたCVSS-SIG(Special Interest Group)1によって策定され、2023年7月現在の最新バージョンは3.1となっています。2023年6月に次バージョンである4.0のパブリックプレビュー版2が公開されており、寄せられたコメントをレビュー・反映した後、2023年10月を目途にバージョン4.0の公開が予定されています。本稿ではパブリックプレビュー版に基づいて、現行のバージョン3.1との変更点を解説します。また、SSVC(Stakeholder-Specific
2023年6月、欧州連合(EU)欧州議会本会議で欧州における「AI法案」が採択されました。生成AIを含めた包括的なAIを対象とし、初の国際的なAI法案ともいえる本法案の枠組みを紹介するとともに、企業への影響と求められる対応について考察します。 はじめに(背景) 2023年6月14日、生成AIを含む包括的なAIの規制案である「AI法案」が、欧州議会の本会議において賛成多数で採択されました。今後理事会との調整を行い、早ければ年内の合意を目指すことになります。 欧州委員会は2年前にも規制案を発表していましたが、生成AIの急激な進化と普及を受け、生成AIに関する考え方や要求事項が追加で盛り込まれた形となっています。 本規制では、AIを特性別にカテゴライズし、そのリスクレベルに応じた規制が適用されることになります。他の欧州規制同様に、欧州市場に関係する日本企業をはじめ、域外企業が提供するAIも対象と
はじめに IIA(The Institute of Internal Auditors:内部監査人協会)は2020年7月20日、組織のリスク管理・統制活動のモデルである3つのディフェンスラインについてのディスカッションペーパーのアップデート(The IIA’s Three Lines Model※1)を公表しました。本稿ではその概要について解説します。 なお、本稿は執筆者の見解に基づくものであり、IIAの見解や解釈を表しているものではありません。 1 「3つのディフェンスライン」から「3つのラインモデル」へ 3つのディフェンスラインについては2019年6月にディスカッションペーパーが発行されており※2、今回さらにアップデートがなされました。すでに3つのライン間の連携や協働について述べていましたが、今回のアップデートではこれらをガバナンスの観点から整理し直しています。 なお、従来「Three
社会のあらゆる場面でAIが活用され始めた昨今、AIリスクを起因とするインシデント事例が世界的に増加しています。これに対応するため、国際機関や各国政府はAIリスクに対応するための原理原則や中間的ルールの整備を進めています。 世界的に増加するAIインシデント 産業界におけるAIの活用は大きく進展しており、消費拡大と生産性向上の2つの側面でグローバル経済に大きく貢献する見込みとなっています。2030年までのAIの世界的なGDPへの影響は、15.7兆ドルになると予想されており、その内訳は消費拡大によるものが約60%、 生産性向上によるものが約40%程となる見込みです1。特に米国・中国におけるAI活用によるGDPへのインパクトが大きく、日本においても、2030年までに実質GDPの約18.2%(132兆円、2016年比)の押し上げ効果が期待されています2。 一方、AIの社会実装が進む中で、AIリスクを
はじめに 2022年1月にPwC Japanグループは企業のAIの取り組み内容や活用状況に関して、日本では第3回目となるAI予測調査を行いました。調査結果から見えてくるトレンドと、今後AI推進のために企業が取り組むべき課題とアクションについて考察を行っています。 今回の調査はWebアンケートを通じて、売上高500億円以上でAIを導入済み、または導入検討中の企業の部長職以上300名を対象に実施しました。比較対象となる米国の調査1は、2022年1月にWebアンケートを通じて、1,000名の企業幹部に対して調査を実施しています。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が長引き、苦しい経営状況に直面している企業もある中、今回の調査を通じて、日本のAI活用が非常に明るい方向に進んでいることが2つのトレンドで見えてきました。1つは、米国ではAI活用に進捗が見られない中、日本では確実に活用企業が増
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