目が覚めたら、僕は怪人に改造されていた。 それは夏休み初日の夕方のことで、僕はどこにでもいる高校生で、16才だった。 川原を一人で自転車漕いでいた。 目的地もなかった。 たまたまそこを通りかかったというだけで悪の組織に拉致され、そして改造されたわけだが、そのときの僕は、化け物になってしまったことも特に不幸と思えないくらい、大きな落ち込みを抱えていたところだった。 その日の前日。つまり夏休み前の終業式の日に、大好きなあの子に告白してフラれたばかりだったから。 『ごめんなさい。今はお付き合いとかしている暇がないんです。本当にごめんなさい』 いつものピンク色の髪留めが、申し訳なさそうに僕の前を上下する。紀州桃代さんは、まるで自分がフラれたみたいに目を赤くして、何度も僕に頭を下げていた。 中学の頃から憧れていて、遠くから眺めるだけに我慢できず、草食系のなけなしの勇気を振り絞った生まれて初めての告白