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news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi
羽生善治九段(50歳)の通算成績は1485勝638敗(2021年9月16日公開分)。通算勝率は0.6995で、35年の長きに渡ってキープしてきた7割台を切ったことになりました。 改めて言うまでもないことですが、デビュー以来、それだけの長期間、高勝率を維持していた事実は驚異的です。 現役棋士で300局以上指して勝率7割以上の棋士は、永瀬拓矢王座(勝率0.7098、406勝166敗)の他にいません。 羽生九段は35年連続で勝ち越しという大記録も継続中です。 羽生九段はその間に着々と勝ち越し数を積み上げていったことになります。今年度はここまで4勝9敗と負け越しですが、それでも通算勝ち越し数はなんと847。他の1000勝以上をあげているレジェンドクラスの棋士を含め、歴代1位の数字です。 一方、新時代の旗手である藤井聡太三冠(19歳)は現在239勝45敗(勝率0.8415)という成績です。 藤井三冠
9月1日。宮城県仙台市・ホテルメトロポリタン仙台において第69期王座戦五番勝負第1局、永瀬拓矢王座(28歳)-木村一基九段(48歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。 9時に始まった対局は20時18分に終局。結果は128手で木村九段の勝ちとなりました。 第2局は愛知県蒲郡市「西浦温泉 旬景浪漫 銀波荘」でおこなわれます。 両者の通算対戦成績は木村4勝、永瀬3勝となりました。 将棋は逆転のゲーム 永瀬王座先手で戦型は角換わり腰掛銀。序盤からこれぞ現代将棋という展開で、両者ともに研究十二分を思わせるハイペースで進みました。 78手目、木村九段はあたりになっている飛車を玉近くに逃げます。ここで永瀬王座の手が止まり、熟慮39分で自玉の上部に歩を成ります。79手まで進んで、昼食休憩。形勢は永瀬王座ペースと見られました。 午後に入ってからはスローペース。木村玉は壁形で逃げ出すのが難
8月18日、19日。大阪・関西将棋会館においてお~いお茶杯第62期王位戦七番勝負第4局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太王位(19歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。 18日9時に始まった対局は19日19時14分に終局。結果は140手で藤井王位の勝ちとなりました。 七番勝負はこれで藤井王位の3勝1敗。王位初防衛まであと1勝と迫りました。 第5局は8月24日・25日、徳島県徳島市・渭水苑でおこなわれます。 両者の対戦成績はこれで豊島8勝、藤井6勝となりました。 一時は6番ほどの差がついていましたが、ついに2番差まで詰まりました。 藤井王位の今年度成績は22勝4敗(勝率0.846)となりました。 両者は王位戦第4局の前に、叡王戦五番勝負第4局を戦います。 藤井王位は叡王戦第4局で勝てば叡王位奪取。史上最年少三冠となります。 藤井王位、難解な中盤を制す 先手では角換わりメ
松本 では今回も講師に「水匠」開発者の杉村達也先生、ゲストに渡辺明名人を迎えて進めさせていただきます。第2回のテーマは「最近よく聞くGPUってなんなの?」です。 杉村 これもまた難しい質問ですが(笑) 渡辺 もちろん、わかりません(笑) 松本 ちょうどよかった。私もわかりません(笑)。多くの将棋ファンの方もわからないのではないでしょうか。 杉村 GPUとはGraphics Processing Unitのことで、主に3Dグラフィックを描画するためのパーツです。 松本 はい。本格的にゲームなどする人が重視するパーツというのが、私のざっくりした知識です。グラフィックボード(グラボ)とGPUは、ほぼ同義ですか? 杉村 ほぼ同義です。グラボの一部にGPUが付いています。 松本 なるほど。 杉村 よく言われるのはCPUは大学生。GPUは小学生がたくさん。 松本 といいますと・・・? 杉村 GPUだと
データベースと「ソフトの定跡」 渡辺 連盟(日本将棋連盟)のデータベースも新しく変わりました。タブレット記録だから、終わった瞬間に棋譜が入るんですよね。終局して提出すると入る。これとか昨日の(棋譜)なんですけど。タブレットだからリアルタイムで見れるソフトもあって。いまはもう、ほぼほぼ全部がリアルタイムで見れます。すごい進歩ですよね。 杉村 うらやましい(笑) 松本 以前から言われてますけど、一般向けに、アマチュアの人でもサブスクで全部見られるようにしたら、需要があるでしょうね。 渡辺 モバイル中継がない将棋って、観戦記もないから、多くは埋もれてしまうんですよ。でもその棋士にもファンがいるからね。 松本 棋譜まわりに関してはいろいろありますからね。それは杉村さんが一番詳しい話なんですが。 杉村 いやいや(苦笑)。関係者向けのデータベース、むちゃくちゃ便利になってるんですね。うらやましいな。プ
ソフトはなぜすぐ千日手を主張するのか? 松本 将棋の中継を見ていると、ソフトはすぐに千日手を主張するような気がしますね。 渡辺 dlshogiはあまり千日手は言わないんですか? 杉村 言わないです。基本的には(評価値が)1ケタぐらいになったら千日手に近づくんですけど。 渡辺 水匠はわりとすぐに千日手って言うんじゃないですか? いままでのソフトは。 杉村 水匠はそうですね。でもdlshogiはほとんど千日手は言わないです。dlshogiの仕組みは「この局面から指し継がせるとどっちが勝つか」っていう仕組みに近い形で評価値を出すので。千日手で探索が終わるってパターンっていうのが少ないみたいですね。 松本 dlshogiは知らないんですけど、水匠はすぐに千日手が最善と言ってくるイメージがあります。 杉村 水匠が千日手ばっかりを示すのは千日手の評価値の設定を「1」にしてるからですね。人間同士の対局だ
「AIイコール神」ではない (渡辺名人が超ハイスペックのマシンを購入。ディープラーニング系のソフトも導入され、研究の準備が整って) 松本 そうだそうだ。△3一銀のやつ、やってみてくださいよ。 (△3一銀は2020年棋聖戦第2局▲渡辺明棋聖-△藤井聡太挑戦者で藤井挑戦者が指し『AI超え』『神の手』などと評判になった一手) 杉村 あれ、よくなかったですね(苦笑) 松本 まず反省から(笑) 杉村 「AIが読みづらい手はこうやって探すんですよ」というツイートの一環としてあれを出しただけなんです。 杉村 その前に豊島-永瀬戦とかの棋譜で「これも読みづらい」みたいな話をしてたんですけど。そのツイートから「棋聖戦第2局もそうでした」みたいに書いたのがバズってしまってよくなかったです。 松本 先日、ある大御所の先生にお会いしたときに「△3一銀、全然いい手に思えないんですけど。△3二金と比較してどうなんです
最善の研究手法を求めて 松本 思い出すのは2005年当時のBonanzaが出てきた頃のことですね。Bonanzaはそれまでの将棋ソフトとは全然違う手法で開発されて、突然彗星のように現れ、ブレイクスルーになりました。 (2007年、渡辺竜王と対戦したBonanza、上に乗せられているのは扇風機) 松本 ただしBonanza以前の、精巧に職人技で調整されたようなコンピュータ将棋ソフトだって決して弱くはなかった。むしろその強さはプロ棋士に迫ろうかという勢いでした。それらのソフトはしばらく競り合う期間があって面白かったです。Bonanza以来の流れを組む現在の型と、新興のディープラーニング(DL)系が拮抗している現在の状況もまたしかりですね。 渡辺 これ(DL系のdlshogi)道中は、従来のソフトと全然違うことを言うんですか? 杉村 同じようなことを言うことも多いです。(従来のソフトも)元から強
松本 今までの名人のパソコンで最新版の水匠を動かして、どれぐらいNPS出るか拝見していいですか?(Nodes Per Second=1秒間に何局面を読むか) 渡辺 どうぞどうぞ。 松本 えーと、300万と少しですね。こっちの新しいマシンだとそれが6000万とかになるわけでしょ? 十数倍か・・・。 杉村 そうですね。 渡辺 これ、計算能力でいうと、何倍みたいな言い方をするんですか? 杉村 ちょっと失礼します。スペックを見ると・・・。これ(古いパソコン)だとインテルのCore i7の6コア12スレッドで動くソフトなんですけど、こっち(新しいマシン)はCPUがRyzen Threadripper 3990Xで64コア128スレッドなので、そうすると128÷12だから・・・10倍ぐらいの頭脳があるってことですね。 松本 私はコンピュータに全然詳しくないんですけど「スレッドリッパー」という名はよく耳
【渡辺明名人】37歳。名人・棋王・王将の三冠を保持し、現将棋界の序列1位。近年はコンピュータ将棋(AI)を用いての綿密な研究でも知られる。ほとんどの棋士を相手に勝ち越し「現役最強」とも言われるが、棋聖戦五番勝負では藤井聡太棋聖に挑戦して敗れた。 (7月某日、LINEにて、渡辺名人が研究用の新しいマシンの購入を検討しているという話になり) 渡辺 将棋ソフト用のパソコンと最新のソフト事情について教えてもらいたいんですけど。 松本 それなら水匠開発者の杉村達也さんが適任です。ご紹介しますよ。 渡辺 ディープラーニング系のソフトってなに?ってところですよ、私は(笑) 松本 ますますちょうどいい。私もそのあたり、さっぱりわからないので(笑)。ところで新しいマシンを買うのだと、たとえば藤井聡太さんみたいなモデルはCPUだけで50万円らしいですね。 松本 ということは、トータルで予算80万円ぐらいですか
8月9日。愛知県名古屋市・か茂免において第6期叡王戦五番勝負第3局▲藤井聡太二冠(19歳)-△豊島将之叡王(31歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。 9時に始まった対局は17時39分に終局。結果は121手で藤井挑戦者の勝ちとなりました。 五番勝負はこれで藤井挑戦者の2勝1敗。あと1勝で叡王位獲得、および史上最年少19歳での三冠同時保持となります。 第4局は8月22日、愛知県名古屋市・名古屋東急ホテルでおこなわれます。 両者の対戦成績はこれで豊島8勝、藤井5勝となりました。 藤井二冠の今年度成績は19勝4敗(勝率0.826)となりました。 藤井挑戦者、またも先手角換わりで快勝 先手の藤井挑戦者は王位戦第3局、叡王戦第1局に続いて角換わりを採用しました。 藤井挑戦者の動向は別として、将棋界の最前線では、先手角換わりは多く指されるようになったのでしょうか。渡辺明名人に尋ねて
7月30日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・二次予選▲藤井聡太二冠(19歳)-△石田直裕五段(32歳)戦が始まりました。 藤井二冠は9時35分頃に入室。多忙をきわめる中、今朝もいつも通り、余裕をもって対局に臨みました。 藤井二冠は髪を切ったのか、少しすっきりした印象を受けます。 そういえば昨年のこの時節、師匠の杉本昌隆八段は散髪を勧めていました。 藤井二冠の今年度成績は16勝3敗(勝率0.842)です。 王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負を戦っている藤井二冠。竜王戦はベスト4に進み、王将戦、棋王戦でも今年度タイトル獲得の可能性を残しています。 9時45分頃、石田五段入室。石田五段の今年度成績は6勝5敗(勝率0.545)。厳しい一次予選を2年連続で勝ち抜き、今期二次予選初戦では井出隼平五段に勝利。初のリーグ入りまであと2勝となりました。 本局の勝者は二次予選決勝で稲葉陽八段と対
7月25日。東京都千代田区、江戸総鎮守・神田明神において第6期叡王戦五番勝負第1局▲藤井聡太二冠(19歳)-△豊島将之叡王(31歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。 9時に始まった対局は藤井二冠先手で角換わりに進みます。序中盤はそれほど差がつかず、終盤に入って藤井挑戦者がスパート。最後は藤井挑戦者が豊島玉を詰ませました。終局は18時11分。結果は95手で藤井挑戦者の勝ちとなりました。 藤井挑戦者は幸先よく先勝。あと2勝で初の叡王位獲得となります。 第2局は8月3日、山梨県甲府市、常磐ホテルでおこなわれます。 藤井挑戦者は今期、棋聖位を防衛。王位を保持したまま叡王を獲得すれば、史上最年少19歳で三冠同時保持を達成します。 豊島叡王と藤井挑戦者の対戦成績は豊島7勝、藤井4勝。直近では藤井3連勝と巻き返してきました。 藤井挑戦者の今年度成績は16勝3敗(勝率0.842)とな
7月3日。静岡県沼津市・沼津御用邸東附属邸第一学問所において第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局▲渡辺明名人(37歳)-△藤井聡太棋聖(18歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。 9時に始まった対局は19時14分に終局。結果は100手で藤井棋聖の勝ちとなりました。 藤井棋聖は3連勝で五番勝負を制し、棋聖位防衛を達成しました。 藤井棋聖(18歳11か月14日)は史上最年少でタイトル初防衛を達成しています。 またタイトル通算3期(棋聖2期、王位1期)で、規定により八段から九段に昇段しました。こちらも史上最年少記録です。 藤井棋聖と渡辺名人の対戦成績は、これで藤井8勝、渡辺1勝となりました。 渡辺名人はタイトル戦で始めてストレート負けを喫しました。
10月29日。東京・将棋会館において第6期叡王戦に関する記者発表会がありました。 第5期までの主催は日本将棋連盟と、ニコニコ生放送を運営するIT企業・ドワンゴが務めていました。 第6期はドワンゴ社に替わって不二家の主催となりました。また特別協賛として、ひふみ、SBI証券が加わりました。 これまでの叡王戦は七番勝負で、持ち時間が変動制でした。それが第6期からは五番勝負で持ち時間は固定制(各4時間)となります。 予選が段位別におこなわれる点は変わりません。挑戦者決定戦はこれまでの三番勝負から一番勝負へと変更されます。 第6期の予選は10月31日、杉本和陽四段-伊藤匠四段戦から始まります。その模様はABEMAで放映されます。 社団法人・日本将棋連盟 佐藤康光会長談皆様、こんにちは。日本将棋連盟の佐藤康光でございます。 本日はお忙しい中、第6期叡王戦の記者発表会の方に多くの皆様にお越しいただきまし
8月4日9時。兵庫県神戸市・中の坊瑞苑で王位戦七番勝負第3局▲藤井聡太棋聖(18歳)-△木村一基王位(47歳)戦、1日目の対局が始まりました。 対局場は有馬温泉、中の坊瑞苑。王位戦の定宿の一つです。 昨年の王位戦第4局。木村挑戦者(当時)は豊島王位を相手に285手の死闘を制しました。 昨年の七番勝負では、木村挑戦者は2連敗スタートのあと、2連勝を返しました。そして最終的には4勝3敗でシリーズを制し、王位を獲得しています。 本局の立会人を務めるのは淡路仁茂九段(70歳)。神戸市出身の棋士です。 淡路九段の師匠は地元神戸に道場を構え、普及活動をおこなっていた藤内金吾八段(1893-1968)です。藤内一門は内藤國雄九段、森安秀光九段、谷川浩司九段(孫弟子)など多士済々。これらの棋士が棋界を席巻した頃には「神戸組」と称されました。 8時43分。藤井挑戦者が対局室に入ります。羽織の色は濃い緑。これ
7月30日。東京・将棋会館において第92期ヒューリック杯棋聖戦一次予選準決勝▲西山朋佳女流三冠(25歳)-△北島忠雄七段(54歳)戦がおこなわれました。持ち時間は各1時間。14時に始まった対局は15時56分に終局し、結果は51手で西山女流三冠の勝ちとなりました。 西山女流三冠は男性の棋士を相手に4連勝。女性として初めて棋聖戦一次予選を突破しました。 西山女流三冠、短手数で快勝 西山女流三冠先手で戦型は中飛車。角交換から北島七段が両成りに角を打ち、序盤から乱戦の進行となりました。 北島七段が角を成って馬を作ったのに対して、西山女流三冠は中央を突破して飛車を成り込み、龍を作ります。さらには銀桂交換の駒得で、トータルの損得勘定としては、西山女流三冠がややリードを奪ったようです。 西山女流三冠は3筋の歩を伸ばして、北島玉の上部から押していきます。形勢は難しかったものの、北島七段が馬と龍の交換をして
2020年6月28日におこなわれた棋聖戦五番勝負第2局▲渡辺明棋聖(36歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦は歴史的な一局でした。 中でも、藤井七段が指した61手目△3一銀は現在の最強コンピュータ将棋ソフト「水匠」がすぐには最善と判断できなかった一手として話題となりました。 その発端は開発者・杉村達也さん(33歳)の以下のツイートからです。 このツイートの真意について、杉村さんにうかがいました。 「6億手読む」とは、おおよそ28手先まで読むこと ――なんだかおそろしく話題になりましたね。 杉村「いやもう、びっくりしてます、正直なところ(苦笑)。けっこう今までも『これだけ読ませたら』みたいなツイートはちょっとずつしていました。例えば叡王戦の高見先生も相当いい手を指したとか」 ――2018年、第4期叡王戦七番勝負第1局▲永瀬拓矢七段-△高見泰地叡王戦(肩書は当時)。高見叡王は(72手目)△6五桂と
2020年3月。谷合廣紀さん(26歳)が奨励会三段リーグで2位の成績をあげ、四段に昇段。将棋の棋士の資格を得ました。谷合さんは現在、東大の博士課程で研究生活も送っています。 3月末。中倉彰子女流二段が主宰する「いつつ将棋教室」(東京都府中市)から谷合新四段の講座がオンライン配信されました。 以下はその時の谷合四段と中倉女流二段のトークをまとめました。 中倉 どうですか、心境は? 谷合 楽しみですね。4月からプロ棋士として対局をしたり、いろんなイベントに出たりすることが楽しみです。 中倉 初めて色紙を書いていただいたんですけれども。お読みいただいてもよろしいですか。 谷合 「初志貫徹」と書きました。最初に持った志(こころざし)を最後まで貫き通す、という意味ですね。 中倉 最初にまず、谷合廣紀さんのプロフィールを紹介していきたいと思います。1994年1月6日生まれ。東京都中央区出身。ちょっと長
新型コロナウイルスの影響により、将棋界では多くの対局、イベントが延期、中止となっています。 記念すべき第30回を迎える予定だった世界コンピュータ将棋選手権(WCSC)もまた、残念ながら中止となりました。大会を主催するコンピュータ将棋協会(CSA)にとっても苦渋の決断でした。 その代わりに5月3日・4日。「1年間の成果を披露したい方、プログラムの実力を試したい方が多い状況を考慮して」(CSA)、世界コンピュータ将棋オンライン大会が開催されました。WCSC申し込み55チームのうち40チームが参加を表明しました。 昨年優勝のやねうら王は、開発者の磯崎元洋さんがいろいろお忙しいようで、残念ながら不参加でした。 1日目は28チームによる8回戦。恐ろしく強いソフトから、人間にはちょっと理解できない妙な手(妙手にあらず)を連発するソフトまで、多士済々の感があります。 詳しい棋譜は公式ページをご覧ください
3月29日(日)。第70回NHK杯将棋トーナメント「出場女流棋士決定戦」▲西山朋佳女流三冠(24歳)-△里見香奈女流四冠(28歳)戦が放映されました。 結果は119手で西山女流三冠の勝ちとなりました。 西山女流三冠、豪腕で逆転 振り飛車党同士の両者。先手の西山三冠は初手でさっと三間飛車に振りました。対して里見四冠は20手目に向かい飛車の位置に振ります。戦型は相振り飛車となりました。振り飛車党の多い女性同士の戦いで、相振り飛車はよく見られる戦型です。 玉形は西山三冠が金を2枚横に並べる金無双。対して里見四冠は美濃囲い。西山三冠が7筋の歩を交換してきたタイミングで美濃囲いの銀を6三に上がりました。これが現代感覚のようです。 序盤から中盤にかけては、里見四冠がはっきりリードを奪っていました。 西山「苦しいと思いながら指していました」 里見「ここはちょっと指しやすいのかなと思っていました」 やや苦
3月24日。大阪・関西将棋会館において王位戦リーグ紅組▲藤井聡太七段(17歳)-△稲葉陽八段(31歳)戦がおこなわれました。 10時に始まった対局は19時36分に終局。結果は129手で藤井七段の勝ちとなりました。 リーグ成績は藤井七段3勝0敗、稲葉八段1勝2敗となりました。 また発表によれば、未放映のテレビ棋戦の結果も合わせ、藤井七段の今年度成績は52勝12敗に。3月31日におこなわれる残り1戦を残して2019年度勝率8割以上が確定しました。藤井七段は過去に誰もなしえていない、3年連続勝率8割超えという偉大な記録を、デビュー以来の3年で打ち立てました。 藤井七段、信念を貫く長考 戦型は角換わり腰掛銀の最新形。 62手目、稲葉八段が藤井陣に歩を垂らす手を見て、ここから時間を使う中盤戦となりました。 藤井七段は昼食休憩中、早めに席に戻って考え続けます。 62手目が指された後、藤井七段は休憩を合
3月5日。東西の将棋会館に分かれて、C級2組順位戦最終10回戦がおこなわれました。熾烈な昇級争いは、前節で決めた高見泰地七段に続いて、三枚堂達也七段、古森悠太四段が9勝1敗で並び、昇級を果たしています。 さて、この日は朝からハプニングがありました。▲中田功八段(52歳)-△阿部光瑠六段(25歳)戦で、中田八段が対局場を勘違いしていたようで、不戦敗となってしまったのです。 こうした勘違いによる不戦敗は、しばしば起こります。 中田-阿部戦は東京・将棋会館でおこなわれる予定でした。 中田八段は関西、阿部六段は関東の所属。一般的な棋戦であれば規定上、席次が下の阿部六段が大阪・関西将棋会館に移動しての対局となります。ただし順位戦では席次は関係なく、東西の遠征数が同じとなるように決められます。本局の場合は、中田八段が東京に移動して対局の予定でした。 現在の規定では、順位戦のように長い持ち時間の棋戦であ
2月27日。静岡市・浮月楼においてA級順位戦最終9回戦一斉対局がおこなわれました。 最後に残った▲佐藤康光九段(50歳)-△羽生善治九段(49歳)戦は1時13分に終局。結果は187手で佐藤九段の勝ちとなりました。 今期A級順位戦は、これで全日程終了しました。 佐藤康光九段、二転三転の大熱戦を制す 佐藤九段は角交換四間飛車→向かい飛車の作戦。そのあまりに独創的な序盤戦術は、ぜひ棋譜を並べてご覧いただきたいところです。ただし途中からは、オーソドックスな美濃囲いに組み換えられました。 一方の羽生九段は穴熊に組みます。 中盤ではずっと、佐藤九段が少しリードしていたようです。そして深夜の終盤戦に入ったところでは、勝敗不明の形勢となりました。 将棋会館での対局は10時に始まりますが、浮月楼での最終戦は9時に始まります。その1時間ほど終局も早くなる計算ですが、本局は日付が変わっても、いつ果てるともしれな
2月25日。東京・将棋会館において棋士編入試験五番勝負第4局▲折田翔吾アマ(30歳)-△本田奎五段(22歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は18時12分に終局。結果は161手で折田さんの勝ちとなりました。 折田さんはこれで五番勝負を3勝1敗とし、規定により四段昇段(フリークラス入り)を決めました。 将棋界で棋士編入試験に合格したのは花村元司九段(1944年)、瀬川晶司六段(2005年)、今泉健司四段(2014年)に続いて、史上4人目となります。 アゲアゲさん、満願のプロ試験合格 折田さんの人生がかかった大一番は、折田さん先手で、戦型は相掛かりとなりました。 両者は互いに駒組を進めた後、角交換から自陣角を打ち合います。 63手目、本田五段が桂を跳ねたのを見て、折田さんはその頭をねらい、積極的に動きます。本田五段はその動きに応じる形で、銀を捨てて飛車を成り込む順を実現させました。も
1月17日。大阪・関西将棋会館においてA級順位戦7回戦▲佐藤天彦九段(32歳)-△糸谷哲郎八段(31歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は22時54分に終局。結果は173手で佐藤九段の勝ちとなりました。 これで両者の成績はともに3勝4敗に。佐藤九段は残留に向けて、大きな1勝を挙げました。 佐藤九段、残留に向けて貴重な白星 A級は現在7回戦が進行中です。年明けの1月4日には渡辺明三冠が稲葉陽八段に勝っています。 名人挑戦権争いは7連勝の渡辺三冠が独走状態。以下は4勝2敗の広瀬章人八段、三浦弘行九段まで、可能性が残されています。 一方で残留争いは、熾烈な最終盤を迎えそうな気配です。前名人の佐藤天彦九段はここまで2勝4敗。同成績で羽生善治九段、木村一基王位というビッグネームが並んでいる状況です。 糸谷八段は1勝3敗から佐藤康光九段、羽生九段に勝って現在は3勝3敗。前局で羽生九段を破った
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