アセットアロケーションの現代ポートフォリオ理論(MPT)に基づく分析には、資産の期待リターンとリスク、および価格変動の相関係数の推計値が必要である。「アセットアロケーションを分析してみる」で、「長期投資予想/アセットアロケーション分析」で用いている推計値が適切でないことを説明した。今回はより適切な推計値を紹介する。 前回示したGPIFによる推計値の問題点は大きくわけると二つある。一つは30年以上の長期のデータをもとに算出しているため、近年の傾向とかなり異なることだ。国内債券の5.40%という大きすぎるリスクにそれが表れている。もう一つは期待リターンにリスクフリーレート(無リスク資産の金利)の推計値を含めていることだ。 一般にリスク資産の期待リターンは、リスクフリーレートにリスクプレミアム(リスクの見返りの収益)を加えて求める。GPIFの期待リターンにはリスクフリーレートとして、実質短期金利