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いまではお馴染み「元町・中華街行き」だが... 渋谷駅を出発した東横線は、目黒川を渡って中目黒、学芸大学や都立大学を経て、自由が丘は大井町線と交差するターミナル。 田園調布駅では目黒線、多摩川駅では東急多摩川線と接続し、多摩川を渡ると武蔵小杉のタワマン群が見えてくる。日吉はいわずと知れた慶應義塾大学の門前駅だ。 かつては温泉があった綱島駅を過ぎると鶴見川を渡り、東海道新幹線と交差すると横浜線と接続する菊名駅。以後、横浜市郊外の住宅地の中を走って横浜駅に向かう。 ここからは地下を走ってみなとみらい地区へ。馬車道や日本大通りといった、幕末以来の港町・横浜の中心だったエリアを東に走り、終点の元町・中華街駅へ。北にはマリンタワーに山下公園、西側には駅名の通りの横浜中華街が広がる終点のターミナルである。 終点「元町・中華街」にある横浜中華街は観光客でにぎわう ©時事通信 正しくは横浜〜元町・中華街間
現在94歳。ドキュメンタリー界の巨匠の好奇心と行動力はまったく衰えていない。『パリ・オペラ座のすべて』、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』など、アメリカからヨーロッパまで様々な場所や組織にカメラを向け、数々の傑作ドキュメンタリーを手掛けてきたフレデリック・ワイズマン監督。 新作『至福のレストラン 三つ星トロワグロ』で彼がカメラを向けたのは、フランス中部にある三つ星レストラン〈トロワグロ〉。4世代に渡り家族経営を続け、55年間星を維持してきたこのレストランは、世界中から美食家たちが通う名店。240分という長大な時間のなかで、人々を魅了する美しく荘厳な料理が次々に映され、それを作りあげる人々の仕事、そして店に通う常連客たちとの交流が描かれる。
合宿では朝7時に起きて昼を挟んで8時間ほど練習し、22時には寝るというバレーボール漬けの生活。しかし夕食を終えて女子マネージャーたちが入浴しているところを、当時1年生だったA男にスマホで側面から撮影されたという。 合宿所は木造の古い建物で、風呂は男性用と女性用が壁で区切られているだけで上部がつながっており、長身男性が背伸びすれば壁の上からスマホを差し出すことができる構造だった。しかし、娘たちはそうした構造に全然気づいていなかったという。 写真はイメージです ©AFLO 「盗撮はバレー部ほぼ全員が知っている。証言をしてくれる部員もいる」 入浴時間がバラバラなため盗撮が行われた時に現場にいた男子部員の人数は定かではないが、少なくとも複数名が写真を見て、盗撮があったこと自体は2名を除く男子部員全員が知っていたという。さらに、5人ほどのLINEグループでも写真が共有されていた……。 盗撮被害が発覚
兵庫県で2か月半の間に2人の職員が自殺した問題を巡り、批判にさらされている斎藤元彦知事(46)。「週刊文春」は、斎藤氏のパワハラなどを告発する文書を作成した県職員X氏(故人)に対し、県側が行っていた事情聴取の音声を入手した。(音声全編はこちらの記事で公開中) 音声には、斎藤知事の指示を受けた片山安孝副知事(当時)が「なんでそれを知っとるんやって聞きよんやろが!」などとX氏を強い口調で詰問する生々しい様子が録音されている。X氏はこの聴取を受けた約3か月後の7月7日、「死をもって抗議する」とのメッセージを遺して自殺した。
世の中には、解決に至っていない犯罪が存在する。俗に言う「未解決事件」である。 何の手がかりもないまま何年も経過したり、公訴時効を迎えて迷宮入りになったりしたケースも少なくない。しかし、ふとした出来事が、未解決だった難事件を一気に解明に向かわせることも時として起こり得る。捜査関係者の執念なのか、あるいは天の配剤か。 意外なきっかけで真相が明らかになった“元・未解決事件”を追う。 石川千佳子さん ©共同通信社 小学校は夏休み中とはいえ、公立学校の教員は地方公務員なので、実際に休みが取れるのは、「夏季特別休暇」の5日間だけ。出勤してこない石川さんを心配した同校の校長は、彼女が一人暮らしするアパートに電話したものの応答がない。ちょうどお盆なので帰省した可能性もある。校長は北海道小樽市の石川さんの実家に連絡を取ったが、やはりそちらにも連絡は入っていないという。 この夏休み期間、石川さんは7月末から8
兵庫県で2か月半の間に2人の職員が自殺した問題を巡り、批判にさらされている斎藤元彦知事(46)。「週刊文春」は、斎藤氏のパワハラなどを告発する文書を作成した県職員X氏(故人)に対し、県側が行ってい…
足立区の小学校教諭・石川千佳子さん(当時29歳)が行方不明になってから26年。彼女を殺害した男が名乗り出て、石川さんの遺体も発見された。しかし、すでに公訴時効が成立しており、男を殺人罪で起訴することはできない。このままでは犯人の逃げ得となる可能性もあったが……。 写真はイメージです ©AFLO 石川さんの遺族は黙って泣き寝入りすることはなかった。男に対して逸失利益等及び原告らの慰謝料等の支払を求め、請求総額およそ1億8000万円の民事訴訟を起こしたのである。補償金が欲しいわけではない、あくまで男に社会的な制裁を与えることを求めた決断だったろう。 「殺人」の損害賠償が地裁では認められなかったが、高裁で一転 不法行為(殺害)に基づく損害賠償請求権は20年で消失するものだが、その20年をいつから起算するかが裁判では焦点となった。男が石川さんを殺害し、死体を遺棄した時点から計算すれば、26年も
《兵庫県知事パワハラ疑惑に新展開》自殺職員が詰問される“証拠音声”を入手!「なんでそれを知っとるんやって聞きよんやろが!」知事側近が高圧取り調べ…《斎藤元彦知事は公開拒否》
パリ五輪・スポーツクライミング女子複合で4位となった森秋彩(もりあい・20)。メダルは逃したものの、リード種目で全体最高点をたたき出し、その粘り強い登りに観衆が沸いた。 一方で、154cmの森が高い位置のホールドを掴み切れず、0点に終わった課題があったことについては「不公平」などと批判の声も挙がっている。彼女のクライミングの“本当の強さ”、4年後に起こりうる“ある変化”とは……? 2013年からスポーツクライミングの取材を続ける津金壱郎氏が読み解く。(#1を読む) ◇◇◇ パリ五輪スポーツクライミング女子複合で4位だった森秋彩 ©JMPA リード1位で存在感を示した 五輪初出場の森は、準決勝を20選手中4位の成績で通過すると、8選手で争った決勝ではボルダー7位、リード1位で総合4位。メダルには届かなかったものの、リードでは完登に迫るクライミングで、五輪連覇を達成した“女王”ヤンヤ・ガンブレ
国家は税によってつくられ、税がつくられると必ず発生する脱税。「大化の改新」「源平合戦」「織田信長の延暦寺焼き討ち」そして現代に至るまで、歴史の大きなターニングポイントの裏には必ずといっていいほど脱税が絡んでいた。思わぬ事実に目からウロコ。脱税の視点で日本史を読み解く『脱税の日本史』(宝島社)より一部抜粋して紹介します(全3回の3回目/最初から読む) トヨタは日本でほとんど税金を払ってない 日本最大の企業というと言わずと知れたトヨタ自動車です。 令和6(2024)年3月期の連結決算でも、日本企業で過去最高となる5兆円を超える利益を計上しました。 にわかには信じられない話かもしれませんが、別に極秘ニュースでも何でもなく、トヨタの会計データを見れば誰でも確認できる事実なのです。 まず、トヨタは平成20(2008)年から5年間も法人税を払っていません。この5年間、トヨタは決して景気が悪かったという
都立特別支援学校の元教諭のA子(当時30歳)が、同校に通っていた当時高校1年生の男子生徒Bくんと、商業施設に駐車場に停めたレンタカーの車内で性行為をしたとして、児童福祉法違反に問われている。8月15日に東京地裁で行われた被告人質問にA子が出廷した。 A子はBくんにレンタルの携帯電話を与えて休日に学校外に誘い出し、性行為をしたことは認めたものの、同意ではなくBくんに無理やり襲われたと主張し、起訴内容の一部を否認した。教員と生徒との間での性的関係が社会問題になる中で、厳しい判決が出るかが注目される。 法廷に現れたA子は、黒いショートヘアにメガネをかけ、口元はマスクで覆われていた。上下黒のスーツ姿だが、サイズが合っていないように見える。身長153cm、体重は本人が「犯行当時は40kgくらい」と答えるなど、小柄で非力な印象だ。証言中はマスクを外したものの、傍聴席から表情を伺うことはできなかった。
佐々木・渡部夫妻は2017年に結婚。芸能界の大物カップルとして注目されたが、「週刊文春」が2020年6月18日号で渡部の不倫を報じ、渡部は芸能活動を自粛することとなった。2022年2月から芸能活動を再開し、今年6月には『5時に夢中!』(TOKYO MX)で地上波生放送への出演も果たしている。 「妻の佐々木は一貫して夫に寄り添い、夫婦関係は盤石です」(スポーツ紙記者) 今年6月には地上波生放送への出演を果たした渡部建 ©時事通信社 佐々木からオーダーを受けたジュエリー職人の告発 そんな中、今回発覚したのが妻の佐々木が依頼したジュエリーを巡る金銭トラブルだ。 トラブルを告発するのは、佐々木から指輪制作の依頼を受けたことがあるジュエリー職人のA氏。指輪に続いて、第2子のアクセサリー制作のオーダーを受けたという。 「佐々木希さんから『将来、子供に渡すものだから予算はいくらでもいい』と言われて、彼女
虫好きで知られる養老孟司(86)さんと、最強のクワガタ・ハンター菊池愛騎(39)さんとの対談が実現した。養老さんはゾウムシを求めて、80代の今も海外まで採集に行くほどエネルギッシュだ。 一方の菊池さんは、最強の採集家集団“インフィニティー・ブラック”の二代目リーダー。彼らが探し求めるのは日本昆虫界のスーパースター・オオクワガタだ。採集難易度が極めて高いにもかかわらず、メンバーは新規生息地発見に挑む。断崖絶壁や雪山、真夜中の森での熊や心霊現象にも怯まない。好きな虫がゾウムシとオオクワガタであっても、ともに自然界のロマンに引き寄せられているのは同じだ。 菊池さんの属するインフィニティー・ブラックの活動を3年にわたって追った『オオクワガタに人生を懸けた男たち』(野澤亘伸著・双葉社刊)より、二人の熱血対談を紹介する。(全3回の3回目/最初から読む) 菊池愛騎(以下、キクリン) (ナラ枯れの原因と言
小池 極めてシンプルな理由からでした。まずひとつには、井上監督の思いがありました。昨年8月15日の終映に際してのトークイベント(「COURT SIDE in THEATER FINAL」)で監督自身も話されていましたが、映画を楽しみに待ってくれている人の楽しみを奪ってしまうことになるからです。プレゼントの中身を「これです」と言いながら渡す人はいないし、中身を知った時の喜びを大切にしてもらうのならば、ちゃんと包装して、しっかり渡したい、といった「思い」からでした。 事前情報ナシで公開に踏み切った事に対して、すごく高度な戦略のような評価の声もありましたが、決して「方式」でも「戦法」でも何でもなく、それが最良のプレゼントの渡し方だとスタッフ全員が理解し、一番喜んでもらえると思っただけでした。そこに、例えば、「焦らそうとしている」と思われるとか、少しでもマーケティング的というか戦略っぽい気持ちが入
小池 本作は、それぞれの国や地域ごとに異なる宣伝プランと素材を用意しました。例えばイギリスでは、すでに原作の知名度が高いアジアの国や地域に比べて、『SLAM DUNK』という作品自体の認知が低かった。ですので、そういう国や地域の人たちにこの作品を届けるには、原作の読者なら大きく反応する「山王戦」(※湘北高校 VS 山王工業戦)という要素は小さく見せて、むしろ「バスケットを通した男の子の成長物語」といった要素を押し出し、それに合わせた予告や宣材素材を用意しました。 ――特に反響が大きかった国や地域は? 小池 強いて挙げるなら中国と韓国でしょうか。人口は異なりますが、特に中国は短期間に多くの上映作品がひしめき合うという興行環境のなか、現時点でおよそ興収130億を上げていて、金額としても突出しています。一方、韓国は、個々のファンの熱量がすごく熱い。昨年の1月から公開を始めて、いまも上映中です。ま
「軽率な行為だった」 詐欺容疑で東京地検特捜部の家宅捜索を受けていた広瀬めぐみ参院議員(58)が8月15日、議員辞職願を提出し、許可された。 「広瀬氏は公設第一秘書だった男性の妻を公設第二秘書として届け出ていましたが、彼女には勤務実態が無く、国から給与約400万円を騙し取った疑いがもたれています」(社会部記者)
能登半島の中心部である七尾市に、「此ノ木隧道(ずいどう)」と呼ばれる“なんとも珍しい隧道”がある。そんな話を聞いたのは、数年前のことだった。 隧道とはトンネルのことで、古くからあるトンネルが隧道と表記されるケースが多い。能登半島の付け根にあるそれは、国内外を見渡しても他に例がないほど、珍しい隧道なのだという。気になった私は現地に向かった――。
「我々が自民党を応援したのは、憲法改正のためです」 そう語るのは、旧統一教会(現、世界平和統一家庭連合)の元幹部の大江益夫氏(75)だ。大江氏は、国際勝共連合や日韓トンネル事業を進める国際ハイウェイ財団の仕事に携わった古参信者。1992年に統一教会の広報担当となり、翌年から1999年まで広報部長を務めている。
安倍晋三元総理が銃撃されて、犯行の背景に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)への恨みがあるという話が流れたとき、私は「教団に天罰が下った」と感じました。 射殺された安倍元総理 山上徹也被告のお母さんの1億円を超えるといわれる献金は、ご本人の財産ですから信教の自由の範囲内です。しかし、そのせいで自己破産に至り、家族が路頭に迷うなら、教団は受け取ってはいけません。信教の自由には、「公序良俗に反しない限り」という制約と責任が伴う。現在の教団幹部にはそれがわからず、より多くのお金を集めることしか頭にない。 いまこそ統一教会は、霊感商法、高額献金など、日本社会に対してこれまで犯してきた罪を反省し、謝罪しなければなりません。 元幹部の大江氏 元朝日新聞記者でジャーナリストの樋田毅氏の『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』(光文社新書)が8月20日に刊行された。同書は教団幹部だった大江益夫氏(75
高齢者専門の精神科医として、36年間、延べ6000人の患者を診てきた和田秀樹氏。高齢者は重要な消費者で、「日本経済が復活する芽」だと考え、高齢者の生き方にスポットを当てた著書を多数出版している。 ここでは、そんな和田氏が、高齢者が人生を楽しむためのヒントを綴った新著『老いるが勝ち!』(文春新書)より一部を抜粋。少子高齢化によって進む「シルバー民主主義」について、和田氏はどのように考えているのか。(全2回の2回目/1回目より続く) 外国から見たら、日本は露骨に高齢者差別をやっている シルバー民主主義についてお話ししましょう。理屈の上では人口の3割の高齢者がいて、有権者の4割を占める。しかし、投票率が高いから5割くらいの影響力がある、というのがシルバー民主主義の意味するところです。 そのせいで日本の活力がそがれたり、年金問題に解決がつかないとか言われていますが、そんなものはシルバーのせいでも何
北陸新幹線が敦賀駅まで延伸開業して、5か月あまり。まだまだ乗り継ぎが不便だなんだという声も途切れないようだが、まあそれなりに敦賀駅までの新幹線、として定着した感がある。 ただ、北陸新幹線はこれで完成ではない。まだまだ先に線路を延ばし、最終的には京都を経て新大阪へ。京都までのルートには米原経由がいいだとかなんだとか、これまたいろいろな意見が上がっているものの、基本的には小浜経由で京都府内を南北に走るということで決着済みだ。 先だって、国土交通省と鉄道・運輸機構は新大阪までの詳細なルート案を公表している。気になるところがいろいろと盛りだくさんなのだが、その中でひとつ。京都~新大阪間に設置される予定の途中駅、松井山手駅である。
前線の将兵の死闘の裏で、司令部は何をしていたのか このインパール5部作の中で批判的に言及されているのが牟田口廉也中将だ。第15軍司令官としてインパール作戦を主導したが、インパール作戦への否定的評価に加え、司令部のお膝元に料亭を建てて芸者を集めて遊興に浸った等、「愚将」との表現も残る彼のイメージは、高木の著作によるところも大きいとする意見もある。 こうした高木の著作における牟田口中将の特異なエピソードや個性について、後年になって高木による創作か誇張ではないかという意見も出ていた。高木の記述には出典が明示されていないことも多いためだ。しかし、高木の著作における牟田口中将や彼が率いた第15軍の醜聞は出典を確認できるものも多い。 また、牟田口中将の連隊長時代に副官を務めた河野又四郎が、戦後に高木の著作を読んで手紙(立命館大学国際平和ミュージアム所蔵)を書いている。 筆者がその手紙を確認したところ「
「記録文学の巨匠」吉村昭氏は、戦史文学でも非常に優れた多くの作品を遺した。『戦艦武蔵』『帰艦セズ』『深海の使者』『総員起シ』などがその代表作だが、その圧倒的リアリティを支えたのは、氏がたった一人で行った太平洋戦争体験者への膨大な数の証言インタビューだった。 その数多の録音テープ記録から、選りすぐり9人の証言を集めた『戦史の証言者たち』。本書から、2回も沈没した数奇な運命を持つ伊号第三三潜水艦が引き揚げられた際に、内部を撮影したただ一人の新聞記者・白石鬼太郎氏の証言の一部を紹介する。(全2回の第1回/後編を読む) ◆ ◆ ◆ 「死臭というか、油の臭いというか…」 吉村 どこをあけたんですか。 白石 第一ハッチです、潜水艦の。 吉村 作業員が何人ぐらいでハッチをあけたんですか。 白石 二人だったと思います。 吉村 他社の記者たちも、見守っていたんですか。 白石 そうです。潜水艦の甲板の上にいて
前編では「史上最悪の作戦」を主導した牟田口廉也中将の第15軍司令部が遊興に使った料亭と、そのお膝元メイミョウの異質な雰囲気について触れた。では、その上級部隊であるビルマ方面軍とそのお膝元であるラングーンはどうだったのか。 メイミョウと同じようにラングーンにも料亭が著名な料亭が存在した。それが翠香園だ。もとは第18師団のお膝元である久留米にあった料理屋で、杉山元元帥陸軍大将と懇意であったことが伝わっている。ラングーンにおけるその偉容、繁盛ぶりを読売新聞の若林正夫記者は次のように伝えている。 それはともかくとして、ラングーン一流のクラブをいただいて、そこに陣取ったこの一隊は総勢百五十名になんなんとする大部隊で、芸妓、雛妓はもとより女中、下働き、料理番。これまではわかるがあとが凄い。髪結いさんに三味線屋、鳴物屋、仕立屋に洗張屋にお医者さんまで、これが婦人科兼泌尿器科医であることはもちろんのことだ
NHKの朝ドラ「虎に翼」は、日本近現代史を研究している立場からもとてもおもしろい。日本で初めて女性として弁護士・裁判所所長などを務めた三淵嘉子をモデルにしたドラマであるが、三淵とは実際は関係のなかった戦前の大疑獄事件である帝人事件(ドラマでは共亜事件)では父親が逮捕され、同じく実際は三淵と交流のなかったはずの山口忠良判事をモデルとした岩田剛典が演じる花岡悟(彼は敗戦直後に栄養失調で亡くなる)などが登場する。日本近現代史を知っていると、あの出来事と伊藤沙莉演じる主人公の猪爪寅子を結びつけるのか! という驚きがある。 「法の下の平等」が大きなテーマ この「虎に翼」は、根底には日本国憲法第14条第1項の「法の下の平等」が大きなテーマとなっている。そのため、男女の平等を含めて、様々な「不平等」が取りあげられる。さらに、第14条第2項が取りあげられたことでも注目される。それは、「華族その他の貴族の制
「要するに、彼(イーロン・マスク氏)に聞き入れてもらえるような能力が自分にはなかったということなのだと思います」。2014年からTwitterジャパンの代表取締役を務める笹本裕氏が同社を退職した理由には、世界的経営者イーロン・マスク氏との不協和があった。退職の真相を、笹本氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む) だから、少なくともアジア圏の事業について聞く耳を持ってもらえないのであれば、自分の存在は不要だなと思いました。 これは批判ではなく、イーロンは「アメリカをなんとかしないといけない」ということに99パーセント頭が行ってしまっていました。だから、もう少しイーロンが日本やアジアの事業に気を配ってくれていれば、という気持ちはあります。 エンジニアの配置についても疑問があり
「経営者と現場の乖離があまりにも大きすぎる。この20年ぐらいで特にアメリカで進んでいる状況ですが、これは問題だと思います」――元Twitterジャパン社長が、世界的経営者イーロン・マスク氏と働いて感じた「アメリカ型経営の限界」とは? 新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む) 元Twitterジャパン社長が語る「イーロンの問題」とは? ©文藝春秋(左)、Getty(右) ◆◆◆ イーロンの周辺が気を使ってくれた イーロンのまわりの人たちは、実はけっこう私に気を使ってくれました。評価してくれていたのかはわかりませんが「もう一度イーロンと話してみたら?」と提案してくれたんです。「イーロンは決断を変えることがあるから『残ってくれ』という話になるかもしれないよ」と。 でも私は、一度決め
「『のび太』のようないじめられっ子が長じて『ジャイアン』のように振る舞っているのが、今のイーロン・マスク」と語るのは、元Twitterジャパンの社長の笹本裕氏。実際に仕事をともにした彼だから語れる「イーロンの意外な人柄」とは? 新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む) 実際に仕事をともにしたパートナーだからこそわかる「イーロンの人柄」とは? ©getty ◆◆◆ Twitter買収後の2022年末、イーロンは「自分がCEOを続けるべきか?」というアンケートをTwitter上で行いました。結果的に「続けるべきでない」という票が多く入ったのですが、実は本人はがっかりしていたのではないかと思います。 表向きには「こんなクレイジーな会社、他にできるやつがいたらいつでも譲ってやるよ!」
太平洋戦争で日本を敗戦に陥れたエリート軍人を分析すると、現在の日本でも通じる巨大組織の問題が浮かび上がってくる。なぜエリートは愚策に走るのか。昭和の陸軍軍人を題材に、歴史、軍事、経営の専門家が座談会に集まり、「日本型エリート」の欠点を総括した。 ◆◆◆ 牟田口、服部、辻は人間的にも“悪玉” 楠木 昭和の陸軍軍人で、会社経営をするとしたら、最強の布陣はどうなるかを、経営学的観点から私なりに考えてみました。まず代表取締役社長は永田(鉄山)か石原(莞爾)。その下で、実際に事業を率いて貰うとしたら、栗林(忠道)、宮崎(繁三郎)、今村(均)、山下(奉文)などの方々が適任かと思いました。 新浪 栗林さんは経営者も出来ると思うな。競争相手に対してどう戦うべきか。その戦略を立てて実現する力は抜群ですから。あと海軍で恐縮だけど、最後の海軍大将の井上成美もいいと思います。先を見て人を育てていた。経営者は次世代
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